介護保険制度の「改定」案は、要支援者が利用している予防給付サービス全体の6割を占める訪問介護、通所介護を、現在の予防給付から切離し、市町村が実施する事業に移行させるというものです。要支援2と要介護1との区別は微妙であり、線引き自体が問題です。 その受け皿として、「新たな総合事業(介護予防・生活支援サービス」を市町村の事業(地域支援事業)の一環として創設する案が示されています。 この「新しい総合事業」は、在宅生活を困難にし、病状や要介護度の悪化、家族の介護負担の増大をもたらすことになるでしょう。そして事業者の経営にも多大な困難をもたらします。もし、地域支援事業に移行されることになっても、従来の介護サービスが提供できるよう、必要な予算と必要な人員と体制を確保すべきです。
改悪案は、特養ホームに入所できる人を介護度3以上にしようとしています。それは、特養ホーム建設を行わず、待機者52万4千人のうち要介護4、5の在宅での待機者が10万人に達していることから、「特養の機能を中重度に重点化すべき」(介護保険部会「意見」)が理由です。しかし、入所を必要とする人は介護度3以上の人だけではありません。現在特養に入所している要介護1、2の人の入所理由の6割が「介護者不在、介護困難、住居問題等」、2割が「認知証のBPSD(周辺症状)その他の理由による判断力の低下、喪失」という調査結果があり、入所対象を3以上にすることにはムリがあり、入所させないのは契約違反です。
港区の待機者405名のうち介護度1・2の方58名(14.3%)が(平成26年度前期特養ホーム入所希望者介護度分布。26年5月現在)除されかねません。特養の入所希望者(待機者)は、在宅介護やサービス付高齢者住宅での生活では、その代替えとはなり得ません。 待機者に見合う特養ホームの建設を急ぐべきです。 (14 2定 風見議員)