日本共産党 港区議団
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日本共産党港区議員団の代表質問


質問者 大滝 実 議員


 2012年第1回港区議会定例会にあたり、日本共産党港区議団を代表して、区長、教育長、議長に質問します。
 区長は、昨日の所信表明で「保育園の待機児童解消を最重要課題ととらえ、全力で取り組んできた」と述べましたが、保育園に申し込んでも4月に認可保育園に入れない児童は800人を超えようとしています。
 特養ホームの待機者は225名(1月10日現在)、区民生活が大変で、滞納者が3割を超えているのに国民健康保険料をまた値上げしようとしています。さらに介護保険料、後期高齢者医療保険料も値上げしようとしています。
 港区の財政は、特別区民税収入が4年連続で減収となり、今後も厳しい状況が続くと予想していますが、それだけ、区民の収入が減り、くらしが大変になっているからです。
 国の悪政いいなりの区長の姿勢では、区民のくらし、営業を守ることはできません。
 住民追い出しにつながる、大企業奉仕の再開発事業などへの多額の税金投入をやめ、福祉、くらし重視の区政への転換が必要です。
 「区民が主人公の区政」実現のため奮闘する決意です。


1. 税と社会保障の一体改革について

 はじめに、税と社会保障の一体改革について質問します。
 野田政権は最重要課題として、消費税の大増税と社会保障の大改悪をすすめようとしています。
 消費税の大増税が区民の暮らしにとっても、中小商工業者の営業にとっても深刻な打撃となることは明らかです。
日本商工会議所などの調査によれば現状でも消費税を価格に「転嫁することができない」事業者は、売上高1000万円~1500万円の事業者の64%、消費税をこれ以上引き上げたら「転嫁できない」と回答した事業者は71%になります。区内の中小や個人の事業者、商店から「消費税分は自腹を切っている」「わずかな年金収入も消費税納入分に消えている」との声があり「昨年末で店を閉めた」「今年いっぱいで店を止めようと借り手を捜している」など切実です。八百屋、肉屋、魚屋、酒屋など区内の小売商店は、この10年間で3~5割減っています。
消費税が現在の5%に引き上げられた1997年当時と比べ、会社員の年収は平均で、約55万円も減りました。さらにこの間、非正規労働者が雇用者全体の35,2%で過去最高になり、年収200万円未満の労働者は1600万人を超えています。貧困の広がりは少子高齢化を加速させています。
 消費税導入からの24年間で税収は251兆円、一方でこの間の法人3税などの引き下げによって233兆円の減税がされ、結果的には大企業などの減税の穴埋めに使われて、社会保障は切りすてられて来たのが実態です。
消費税10%への増税と社会保障の改悪によって、新たな国民負担は総額16兆円にものぼります。
現状でさえ冷え込み続けている家計を直撃し、個人消費を落ちこませ、日本の経済をどん底に突き落し、税収は益々減って国の借金を増やすことになります。
社会保障拡充と財政危機打開のための財源は、ムダづかいの一掃と、富裕層・大企業への応分の負担を求めること。さらに、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」への改革を進めることで消費税に頼らなくても確保できます。
区長は、区民の暮らしを守り、地域経済を守り、財源確保のため、「社会保障と税の一体改革」の名で進めようとする消費税増税と社会保障の切りすてを止めるよう国に申し入れるべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初に、税と社会保障の一体改革を止めるよう国に申し入れることについてのお尋ねです。
 本年2月、税と社会保障の一体改革の内容を具体化した社会保障・税一体改革大綱が閣議決定されました。
 社会保障・税一体改革は、社会保障の充実を図ることを目的としており、その安定財源の確保と財政健全化の同時達成のために、消費税率の引き上げが必要だとしております。
 消費税や年金などは、国民生活に身近な問題であり、多くの国民の理解が得られることが重要です。
 区として、国に申し入れることは考えておりませんが、今後も国の動向を注現してまいります。


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2. 災害時にすべての区民に正確な情報提供をすることについて

 次に、災害時にすべての区民に正確な情報提供をすることについての質問です。
 防災無線が聞きづらく、分からないと、多くの区民から苦情が寄せられています。災害が発生した時に、何を言っているのか分からなければ、かえって混乱を招きます。
 防災無線の改善も必要ですが、抜本的な対策が必要です。
 中央区では、地域コミュニティFM「中央エフエム」で災害情報を受信できる、緊急告知ラジオの購入費の9割補助を始めました。家庭の負担は1000円です。
 緊急告知ラジオは、大きな地震や水害、緊急を要する災害発生時に自動的に電源が入り、緊急地震速報、区の防災行政無線などが最大音量で流されます。通常は、中央エフエムのほか、5局の放送が受信できます。緊急時には、放送受信中でも災害情報が割り込んで優先的に放送されます。
 また、品川区などでは、NTTの緊急速報「エリアメール」を活用しています。これは、気象庁が配信する緊急地震速報や、国や地方公共団体が配信する災害・避難情報などを、特定エリアへ一斉配信するシステムです。いろいろ課題はあるようですが、auでも導入するようです。
 大きな災害が発生した場合、正確な情報を、すべての区民、滞在者にもれなく知らせることが重要です。そのためには、ひとつでなく、いくつかの活用も必要です。可及的速やかに対応すべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、災害時の情報提供についてのお尋ねです。
 災害時における情報は、正確かつ迅速に伝わることが重要です。
 区は、東日本大震災の教訓を踏まえ、広報みなとかわら版、ツイッターなどを導入してまいりました。
 また、防災行政無線放送が聞き取りにくいという課題解決のため、3月30日から防災情報メールや区のホームページで、防災行政無線の放送内容の提供を開始いたします。
 防災ラジオや地域コミュニテイFM、エリアメールなどの活用については、課題を整理し、他自治体の状況を踏まえながら、検討を進めております。
 引き続き、防災情報が区民等に漏れなく伝わる方策の充実に努めてまいります。


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3. 避難所について

 次に避難所についての質問です。
①発電機だけに頼らず、太陽光発電など、自然エネルギーを活用した発電を導入し、照明などの電気の確保をすすめるべきです。

②マンホールトイレの増設について。
 阪神・淡路大震災を教訓に、マンホールトイレの設置を提案してきました。設置が進んではいますが、避難所の規模に見合ったものではありません。
 来年度の予定は、港陽小・中学校の10基で、今後3年間で15基にすぎません。
 避難所の受け入れ人数にふさわしい、マンホールトイレを設置すべきです。
 高齢者や障害者が利用しやすいトイレの設置を行うべきです。


③水道管直結式貯水槽設置について。
 避難所での飲料水の確保については、都の給水施設などから水を運ぶことになっていますが、道路や車両の確保などを考えたとき、避難所で飲料水の確保対策を行うことが必要です。シティハイツ桂坂(70立方メートル)や都立青山公園(1500立方メートル)に設置されているような、水道管直結式の貯水槽を、設置可能な避難所に設置すべきです。


④簡易ベッドの確保について。
 新潟大学大学院の榛沢(はんざわ)医師が中越地震など4つの震災後の血栓症検査の共通点から、「窮屈、長時間の同じ姿勢、心的ストレスなどが血栓症の発症を高めていたと指摘」、「簡易ベッドなら安心して眠れ、血栓症ばかりでなく、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞の予防にもなる」と強調しています。
党区議団はこの間、避難所に簡易ベッドの設置を提案してきました。来年度予算に、避難所での高齢者等のための簡易ベッドを510台設置する計画です。歓迎すべきことです。しかし、避難所の規模からすればとても足りません。
 3カ年計画で、避難所の規模に見合う簡易ベッドを備えるべきです。
 それぞれ、答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、避難所の整備についてのお尋ねです。
 まず、自然エネルギーを活用した電気の確保についてです。
 東日本大震災の教訓から、避難所において、自然エネルギーを活用した電気の確保は必要であると考えておりますが、避難所となる小中学校などへの太陽光発電システムの設置につきましては、設置場所などの課題もあります。
 引き続き、現在進めている地域防災計画の改定作業の中で、石油や液化天然ガスなどを燃料とする発電機の活用とあわせ、総合的に検討してまいります。

 次に、マンホールトイレの増設についてのお尋ねです。
 区は、避難所に指定している小中学校等を対象に、マンホールトイレの設置の可能性について現地調査を実施しながら、順次、整備を進めてまいりました。その結果、24年度に整備を予定している港陽小中学校の10基の整備により、全ての小中学校においてマンホールトイレの整備は終了します。
 区立小中学校を含めた区有施設全体のマンホールトイレは、現在278基であり、24年度は33基、25年度は10基、26年度は25基を整備する予定です。
 引き続き、区有施設の新築や改築にあわせて、マンホールトイレの増設に努めてまいります。
 また、災害時には、マンホールトイレに加え、高齢者・障害者が利用しやすいトイレとして、手すり付きの組立式や、車椅子での使用も可能なトイレの備蓄を進めております。

 次に、水道管直結式貯水槽の設置についてのお尋ねです。
 災害時における飲料水の確保は、救援救護活動の中でも、人命尊重の見地から特に重要な対策の一つです。
 区はこれまで、水道管直結式による東京都の応急給水槽の誘致や、大規模井戸の設置、民間施設との飲料水使用協定に基づく確保、ペットボトルの備蓄などに努めてまいりました。
 避難所に水道管直結式貯水槽を設置することにつきましては、貯留した水は飲料水としての衛生基準を満たすことが重要であること、また、設置場所となる避難所の前面道路における水道本管の有無などの設置条件などの課題があります。
 今後、東京都と設置について協議してまいります。

 次に、簡易ベッドの備蓄についてのお尋ねです。
 簡易ベッドの備蓄につきましては、備蓄場所の確保が課題となっておりましたが、圧縮毛布の導入などの工夫により、一定のスペースを確保し、実施するものです。
 簡易ベッドのさらなる備蓄については、備蓄倉庫の新たな確保や、東日本大震災の教訓を踏まえて充実が必要である物資の備蓄など、総合的に検討してまいります。


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4. 白金2丁目の旧東京都職員住宅跡地を、防災機能を備えた防災公園として活用することについて

 白金2丁目の旧東京都職員住宅跡地を、防災機能を備えた防災公園としての活用についてです。
 3月11日の東日本大震災で、大量の帰宅困難者を見たとき、広域避難場所の整備の緊急性を痛感しました。最適の場所があります。
 白金2丁目の旧東京都職員住宅跡地について、東京都と協議・協力して、防災機能を備えた防災公園として整備すべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、旧東京都職員住宅の跡地活用についてのお尋ねです。          
 旧東京都職員住宅・白金住宅跡地は、面積約2ヘクタールと広大で、貴重な公有地であることから、東京都に対して問い合わせをしておりますが、現在のところ、建物解体後の利活用に関する情報は得られておりません。地域の方々の関心が高い土地であると認識しており、地域の活性化や安全・安心の確保、景観・緑地の保全などの観点から、区としても、引き続き東京都の動向を注視してまいります。



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5. 放射能から子どもたちを守るために

次に、放射能から子どもたちを守るための質問です。
 放射能については、これ以下なら安心という「しきい値」はありません。その立場から質問します。

 第1は、検出限界値についてです。
 父母たちの運動と、共産党区議団の提案で、放射能汚染について給食のサンプル検査、牛乳の検査を実施しています。しかし、検出限界値が10ベクレル/Kgでは、子どもの健全な成長を願う父母からすると安心できるものではありません。すでにいくつかの市や町、生協などでもっと低い限界値を設定したり、測定結果を発表しています。
 港区でも、検出限界値を下げるとともに、いま公表している「検出されず」ではなく、「何ベクレル」なのか、公表すべきです。
 答弁を求めます。

 第2は、除染についてです。
 区は「放射性物質除染実施ガイドライン」で、環境省の基準を参考に区有地、区施設については、0.23マイクロシーベルト以上について除染するとしています。しかし、屋内効果0.4というのは実態にあっていません。
除染基準をもっと引き下げるべきです。当面、0.19マイクロシーベルト以上とすべきです。
 また、個人宅は、個人の責任でといいますが、福島原発事故による放射能汚染の責任は、東電と安全神話にしがみついてきた歴代政府にあるわけです。個人には何の責任もないことです。
 区民から要請があれば、港区が責任を持って除染すべきです。
 それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、放射能から子どもたちを守ることについてのお尋ねです。
 まず、検出限界値についてです。
 区立保育園や区立小学校、中学校等の調理済みの給食及び牛乳の放射能測定は、検出限界値を1キログラムあたり10ベクレルとして実施しております。
 現在の食品に関する暫定規制値については、本年4月から食品衛生法に基づく食品一般の成分規格として、基準値が設定される予定です。 
 それによりますと、牛乳及び乳児用食品の放射性セシウムの新たな基準値は、1キログラムあたり50ベクレルとされることから、現在の10ベクレルという検出限界値は適切であると考えております。 
 現在の検出限界値以上の値が測定された場合については、引き続き「ベクレル数」を公表してまいります。

 次に、除染基準を引き下げることについてのお尋札です。
 区は、昨年11月「港区放射性物質除染実施ガイドライン」を策定し、区有地・区有施設における区独白の除染の目安を「地表から5センチメートルの高さで毎時0.23マイクロシーベルト以上」と定めました。
 この値は、国際放射線防護委員会の「平常時の追加被ばく線量は、年間1ミリシーベルト以下に抑える」との勧告を基に、環境省が公表している、「追加被爆線量年間1ミリシーベルトの考え方」と同様となります。
 区としては、除染について、国の考え方に基づく対応をしており、現在のところ、除染基準を引き下げる必要はないものと考えております。

 次に、個人宅を区が除染することについてのお尋ねです。
 区は、個人宅等の除染対象については、「港区放射性物質除染実施ガイドライン」に基づき、地表から1メートルの高さの放射線量が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い箇所としており、その場合、国と連携して最優先で除染を行うこととしております。
 また、毎時0.23マイクロシーベルト以上の値が測定された場合については、所有者の責任において除染することをお願いしております。
 この場合、区が個人宅を除染することは考えておりませんが、落ち葉等の除去や、土壌の上下入替えなど、状況に応じた除染方法等をお知らせするなどの支援をしております。


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6. 原発から撤退し自然エネルギーへの転換をすすめることについて

 次に、原発から撤退し自然エネルギーへの転換をすすめることについて質問します。
福島原発事故は原発と人間社会は共存できないことが事実を持って示されました。現在稼働している原発は2基となり、4月までに全ての原発が停止します。今こそ自然エネルギーの本格的導入へと急速な転換を図って行くことが求められています。
 日本の自然エネルギーは太陽光、中小水力、地熱、風力だけでも20億㌔㍗以上と推定され、現在日本にある原発54基の発電能力の約40倍です。7月からの固定価格買い取り制度が、企業の発電した電気を電力会社が全て買い取るため、大企業から中小企業、NPO法人まで多様な事業者が自然エネルギー事業に参入する動きが急速に広がっています。
 しかし、供給する側の特定規模電気事業者に申し込みが殺到しており、供給不足を解消するために大規模な太陽光発電施設の建設が計画され、地方自治体も参入しています。
 また、自然エネルギーの活用に向け、太陽光パネルの普及が進められていますが、設置費用は助成制度を利用してもなお多額の費用がかかります。このため促進させるねらいから、経済産業相は発電会社が家庭の屋根を借りて太陽光発電事業をできるようにする「屋根貸し」制度を、夏までに新設する方針との報道がありました。
 さらに、太陽光発電以外でも水道や下水道を使った発電施設が増えています。さいたま市大宮配水場をはじめ、関東地方で30ヶ所近い施設にマイクロ水力発電が導入されています。
 区でも自然エネルギーへの流れを促進するためあらゆる施策を行うべきです。 
①区内外の区有施設、区有地を見直し、条件のあるところに太陽光発電などを整備し、積極的に自然エネルギーの導入を図るべきです。
②公園や広域避難場所には、ハイブリット型の街灯や太陽光発電を設置すべきです。
③上下水道を活用した小水力発電の導入を図るよう、東京都に働きかけるべきです。
答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、自然エネルギーへの転換についてのお尋ねです。
 まず、区有施設等での太陽光発電などの整備についてです。
 区は、これまでも、区有施設を新築・改築する際はもとより、既存の施設についても設置の条件が整う施設に、太陽光発電や太陽熱利用設備等を順次設置してまいりました。
 区では、現在、区有施設の環境配慮の取組みを建築から運用まで一貫して進めるためのガイドラインを策定しております。今後は、そのガイドラインに沿って、全ての区有施設の整備にあたって自然エネルギーの導入を検討してまいります。
 引き続き、区有施設への自然エネルギーの積極的な導入に取り組んでまいります。

 次に、公園や広域避難場所へのハイブリッド型街灯等の設置についてめお尋ねです。
 これまで区立公園では、防災と環境教育の観点からハイブリッド型の街灯や太陽光発電を試験的に設置してまいりました。
 しかし、ハイブリッド型の街灯は、照度の確保が十分でないなどの課題があり、また、太陽光発電につきましては、発電効率や設置スペースなどに課題があります。
 今後、技術革新による機器の性能向上の推移を見極めながら、公園や広蟻避難場所への自然エネルギーの活用について検討してまいります。

 次に、小水力発電の導入を東京都に働きかけることについてのお尋ねです。
 小水力発電の導入についてのご意見を東京都に伝えてまいります。


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7. 特定規模電気事業者(以下「PPS」という。)の活用で、原発に依存しない社会の構築と、電気代節約について

 次に、特定規模電気事業者(以下「PPS」という。)の活用で、原発に依存しない社会の構築と、電気代節約について質問します。
 東京電力は、企業など事業者向け電気料金を4月に平均17%値上げすると発表しました。家庭向けも値上げの方針です。政府も認める方向です。とんでもありません。
 東電は原発事故を「人災」と認めず、被害者への賠償は遅れに遅れています。それを放置したまま広く国民の負担で復旧・復興するというもので、東電を“免罪”することになります。
 電気料金は、発電所の建設費や人件費、燃料費など、すべての費用に一定の利益を乗せる「総括原価方式」という特殊な計算式で定められ、電力会社は絶対に損をしない仕組みです。東電の電気料金には、原発への設備投資や交付金まで含まれています。昨年の4月から電気料金に「太陽光促進付加金」が加算されました。これは一般の家庭が太陽光パネルでつくった電力の余剰分を、電力会社が買い取る費用までも利用者に転嫁しています。
 電気の購入先を「PPS」に切り替えれば、経費の節減になります。
 世田谷区では、区施設111ヵ所を東電以外の「PPS」との契約に踏み切りました。これによって、年9000万円の節減になるとのことです。他にも実施する区が増えています。
 港区も、原発に依存しない社会の構築と電気代節約のため、区の施設について、「PPS」の導入を進めるべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、特定規模電気事業者の活用による電気代節約についてのお尋ねです。
 電力小売事業の自由化により、特別高圧又は高圧受電で、契約電力が原則として50k W以上の施設については、特定規模電気事業者から電力供給を受けることが可能となっております。
 区では、区立小中学校の5校において、清掃工場の熱エネルギーを利用した電気の供給を受けております。
 現状では、特定規模電気事業者において、供給できる電力量に限りがあること、発電の形態により二酸化炭素排出量を多く発生させ、環境負荷の観点から問題があるなどの課題もあります。
 こうしたことから、特定規模電気事業者による電力供給については、区有施設毎の経費節減効果などを踏まえ、検討してまいります。


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8. 保育園の待機児童解消について

 次は、保育園の待機児童解消について質問します。
 来年度の入園希望児童は、1月10日締め切り時点で、805名の定員に対して1,766名の申し込みとなりました。昨年と比べて約100名の増です。多くの待機児童が出るのはさけられません。特に多い0才、1才、2才児でみると、一番高い倍率が2歳児で5.5倍、1歳児が3.8倍です。この時期、子育て世代にとって保育園の入所ができるかどうかはほんとうに深刻です。若い子育て中の方の多くは、2人で働かないと生活ができない状況です。子育て世代が安心して住み続けられるためにも保育園の整備・拡大は緊急の課題です。
 昨日の所信表明で、区長就任以来(平成16年)2,249名の定員を拡大したと述べました。緊急暫定保育室の設置など、我が党の提案を受け拡大していることは認めますが、増え続ける保育園の入園希望者の願いに応えることにはなりません。
 区長の公約でもある待機児童ゼロを実現するためにも、早急に認可保育園・緊急暫定保育室を増やすべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、保育園の待機児童解消についてのお尋ねです。
 区はこれまで、港区独自の待機児童解消対策として、緊急暫定保育施設の整備や私立認可保育所の誘致など、様々な手法により積極的に定員拡大に取り組んでまいりました。
 私が区長の就任した平成16年度以降2,249名の定員拡大を図り、総定員は2倍強の4,227名と大幅な定員拡大を実現いたしました。
 平成24年4月には、定員121名の緊急暫定保育施設神明保育室の新設、既存の青南保育室、定員20名の拡大、南青山に定員50名の私立認可保育所を誘致します。
 9月には定員170名の本格施設である区立神明保育園の開設、12月には定員163名の区立たかはま保育園を開設するとともに、六本木に定員50名の私立認可保育所を誘致します。
 さらに、新たな事業として、パートタイム勤務や育児短時間勤務等の保護者の保育需要に対応するため、4月から、定期的保育を行う「みなと保育サポート事業」を白金3丁自で実施します。
 平成25年度以降も、田町駅東口北地区に区立保育園を新設し、区立保育園5園の改築にあわせて定員拡大を行います。
 今後とも、待機児童解消に向け、多様な手法により定員拡大を図ってまいります。 


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9. 「子ども・子育て新システム」について

 次に「子ども・子育て新システム」についての質問です。
 民主党政権は公的保育の解体につながる「子ども・子育て支援法案」「総合こども園法案(仮称)」を、3月中旬に国会に提出する考えです。
 幼稚園と保育所を一体化して「二重行政や待機児童を解消」することを目的にしていましたが、二重行政どころか三重行政になります。一体化する総合子ども園のほか、幼稚園と保育所の3種類の施設ができ、所管する官庁も、内閣府、文部科学省、厚生労働省となります。
 一体化の「売り」だった待機児童解消もほとんど見込めません。待機児童の8割以上を占めるのは3歳未満児ですが、一体化する「総合子ども園」には、3歳未満児の受け入れを義務付けていないからです。
 政府の作業部会が「新システム」の最終案をまとめましたが、いくつかの問題点が明らかになっています。
 市区町村の保育実施義務を明記した児童福祉法24条が変えられ、保護者と施設とが直接契約を結ぶことになり、保育所に入所を希望する人たちは、毎日保育所探しに奔走しなければなりません。当面、施設が不足している間は、市区町村が利用調整し、保護者に利用可能施設を「あっせん」するとしています。しかし、市区町村にその子の保育を確保する責任があるかどうかはあいまいで、責任が後退する危険があります。施設が足りなくても、市区町村は保育所を建設せず、民間頼みということになりかねません。
 保育する時間は、保護者がフルタイムかパートかによって、月単位で「長時間」「短時間」の2区分で認定を受けます。「長時間」と認定された場合は、今までのように朝から夕方まで1週間通して保育が受けられます。しかし、「短時間」の場合、月何時間の保育が受けられるのか、まだ決められていません。「長時間」の認定を受けられない人が、時間外の利用をした場合には、超過分は全額自己負担になる可能性もあります。
 施設では、「短時間」利用で、日によって登園する児童が変わったり、在園する児童が細切れに変わったりすることにもなり、園児の安全確保、保育計画に沿った保育、行事などにも支障をきたします。
 保育士の確保、待遇にも影響し、園の運営にも大きな影響を及ぼしかねません。
 問題の多い「新システム」関連法案を、今国会に提出しようとするのは、保育分野を営利目的に「市場化」しようとするネライがあるからです。最終案には、株式会社の参入を促進し、運営費からの株主配当や利用料の徴収を認めています。
 子育て施策の充実を一番に掲げる区長として、国や自治体の保育への責任を放棄し、保育と子育てをいっそう困難にする「新システム」関係法案を提出しないよう国に求めるべきです。
 議会としても、国に意見書を提出すべきです。それぞれに答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、子ども・子育て新システムについてのお尋ねです。
 平成24年2月13日、国から「多様な事業主体の参入」や「学校教育・保育を一体的に提供する(仮称)総合こども園の創設」などを内容とする「子ども子育て新システムに関する基本制度とりまとめ」が示されました。
 国は、この「とりまとめ」を基に、関連法案を国会に提出する予定です。法案成立後、地方公共団体のほか、子育てに関する団体などと丁寧に意見交換を行い、段階的に可能なものから実施することになっております。
 区としては、多様な就労形態や核家族化の進行など都心港区ならではの特徴を踏まえた子育て支援策の構築を検討し、実施をしてまいります。
 国に対し、関係法案を提出しないよう求めることは考えておりませんが、引き続き、国の動向を注視してまいります。


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10. 公契約条例について

 次に、公契約条例について質問します。
公共工事、公共サービスの品質確保と生活できる賃金への底上げを定める公契約条例を制定する自治体が広がっています。
 昨年12月に、都内初の公契約条例が多摩市議会で全会一致で可決成立し、4月から施行されます。条例では、「労働者等の生活の安定を図り、公共工事及び公共サービスの質の向上に資するとともに、地域経済及び地域社会の活性化に寄与する」としています。一人親方も対象になり、違反した事業者には制裁措置をとることができます。また、運用検証へ公契約審議会を設置し市長への提言など行うとしています。
 すでに、野田市や川崎市などで制定され、さらに都内でも、国分寺市で審議中、世田谷区では検討委員会で制定に向けた作業が始まっています。
 低入札価格でしわ寄せされ、低賃金に苦しむ下請け業者や労働者を地方自治体が作り出すことがないよう、区でも早期に公契約条例を制定すべきです。答弁を求めます。
国際的にはILOにより国際労働基準として公契約条例を定めています。公契約法を早期に制定するよう国に求めるべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、公契約条例についてのお尋ねです。
 まず、早期の公契約条例制定についてです。
 区が発注する契約においては、工事等の適正な履行を確保するためにも、下請けを含め労働者の労働条件が守られることが重要であり、区では、工事受注者に対して、労働関係法令を守ること、また、下請契約の際に代金を適正に支払うことなどを文書で周知し、指導しております。
 公契約条例については、条例を制定した自治体や制定を検討中の自治体の取組について、情報収集するなど引き続き研究してまいります。

 次に、公契約法の早期制定を国に求めることについてのお尋ねです。
 労働条件は、本来、事業主と労働者との問で決めちれることが基本であり、最低賃金法や労働基準法等、国全体の法制度の中で整理されているものです。
 区といたしましては、現在、国に対して公契約法の制定を求めていくことは考えておりません。


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11. 住宅リフォーム助成制度の実施について

 次は、住宅リフォーム助成制度の実施についてです。
地元業者に住宅リフォームを発注した住民に、費用の一定割合を助成する住宅リフォーム助成制度は、助成を受けた住民が喜ぶだけでなく、地元事業者も仕事が入って喜び、地域活性化になるとして、実施する自治体が広がっています。全建総連などの調査によれば昨年8月末現在で、4県と396市区町村(都内は6区10市町)になっています。
 区長はこれまで災害、高齢者、環境対策を重点に施策を推進しているので地域経済の活性化を目的の住宅リフォーム制度の創設は考えていないとの答弁でした。しかし、区内の中小事業者の実態は「地震による被害修復や補強工事は昨年中にほとんど終わり、今年に入り仕事がない」「仕事のない職人が沢山いて、1日仕事などを分け合っている」など深刻さを増しています。こうした実態も知らず、区内事業者の苦しみに耳も貸さずに冷たくあしらうことは許されません。
マンションのリフォームも含めて早急に制度の実施をすべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 最後に、住宅リフォーム助成制度の実施についてのお尋ねです。
 区では、平成20年度に策定した「第3次港区住宅基本計画」に基づき、災害に強い安全・安心なまちの実現、高齢者の方が暮らしやすい住まいの確保、環境負荷を低減する暮らしの実現の支援などに重点を置き、これらの施策を着実に推進することが重要と考えております。
 また、建物の耐震化や高齢者住宅のバリアフリー化、高反射率塗装や地球温暖化対策機器の設置などの支援制度を活用し住宅改修を行っていくことは、一般的なリフォームとは形が違いますが、結果的に住宅リフォーム事業者を含めた様々な建築関係事業者の活性化に繋がるものと考えております。 
 このため、現時点で、地域経済の活性化を主な目的とする住宅リフォームへの助成制度を実施することは考えておりませんが、区では、建設業を含めた区内
中小企業を対象とした融資相談や、経営基盤を強化し事業活動の継続・拡大を実現するための経営相談などを実施して、中小企業の支援に取り組んでおります。


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12. 4月からはじまる武道必修=柔道について

 4月からはじまる武道必修=柔道についての質問です。
 武道の必修化を前に、新聞、テレビで、安全をなおざりにして、「4月実施でいいのか」と問題を指摘する特集が行われています。 
 ある新聞は、「安全対策が不十分なら、必修化の実施は先送りすべき」だというものです。日本では、それだけ死亡事故が多発しているからです。日本の3倍近い競技人口を持つフランスは近年、重大な事故が起きていません。柔道指導者は、国家資格で、医学的知識も含め380時間以上の研修が義務づけられています。
 体育教師まかせにせず、専門家を配置すべきです。その際、安全対策を最優先すべきです。そのための財源を国に求めるべきです。
それぞれ答弁を求めます。

 中学に入学する際、制服からカバン、体育着やトレーナー、上履き等々、多額な費用がかかります。その上、武道の必修化によって柔道着を購入しなければなりません。文科省の責任で予算措置すべきです。
 国に予算要求すること。予算措置されるまでの間、教育委員会で備品として揃えること。または、購入費用助成すること。
 それぞれ答弁を求めます。

【教育長答弁】
 最初に、武道の必修化についてのお尋ねです。
まず、専門家の配置についてです。
 今年度、港区の中学校では、港区柔道会のご協力により、柔道の専門家を外部指導員としてお招きし、ご指導いただき、安全を最優先とした授業が実施できました。
 来年度以降も、生徒の安全を第一に考え、受け身など基本的な指導を基盤に、一人ひとりの生徒の体力や技術などの実態を見極めた安全な柔道の授業が実施できるよう、外部指導員を適切に配置してまいります。
 なお、外部指導員の財源措置につきましては、国へ要望することは考えておりません。

 最後に、柔道着購入費用の助成等についてのお尋ねです。       
 現在、体育の授業で必要な体操着等は各自の負担で用意することになっており、柔道着につきましても同様と考えております。
 教育委員会では、経済的理由により就学が困難な保護者に対しましては、負担を軽減するため、就学援助費により柔道着の購入費を助成しております。
 なお、柔道着購入費用の財源措置につきましては、国へ要望することは考えておりません。


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