日本共産党 港区議団
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第1回定例会日本共産党港区議員団の一般質問


質問者 いのくま 正一 議員




1. 格差拡大の区政推進を改め、住み続けられる区政への転換を

区長の所信表明の中でも、また区内の各団体の新年会などでの区長挨拶の中でも、一時期15万人を割り込んだ人口が今では24万人を超えたことや、あらゆる世代が将来にわたって安心できる磐石な財政基盤を堅持していくなどと、この12年間の区政運営を押し出しています。
 もちろん、財政が縮小し不安定になることは好ましくありません。しかし、今の港区と区民の実態を正確に見るならば、歪(いびつ)な面が多々あると言わざるを得ません。
 貧困と格差は大きく広がっています。区内には大企業や外資系企業の役員や巨大投資家などの超富裕層が数多く居住しています。この方々の住民税納税で区財政を全国トップにしているのです。
 区がすすめる巨大開発の街づくりによって昔から港区に住んでいた方が、立ち退きでいなくなり、その土地には巨大オフィスビルや超高級マンションが建設され、そこに超富裕層が入居してきます。元々の住民がいなくなり、新たに超富裕層が流入しているのが実態なのです。港区の所得別の人口構成をみると、超富裕層と低所得者の二極分化が極端にすすんでいると思われます。
 個人商店が商売が立ち行かなくなり廃業し区外転居という方も結構でています。商店街はチェーン店が急増し、何代も続いてきた蕎麦屋、すし屋、酒屋、理容室などが激減しているのです。商店会の中には活動を休止したところもあります。町会でも、まちのお祭りができなくなったり、お神輿の担ぎ手もいなくなり、今回が最後の町会のお祭りになるかも、などの声も出てくるのです。近隣の町会と合併をすすめてなんとか町会を存続させようという状況もあるのです。それは「港区まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案)」に対しての区民意見でも、将来、町会、商店会の存続も大変難しいと思われる。このままでは、町が存続できず、街の人たちの繋がりが消滅してしまう、と、警鐘を鳴らす意見も飛び出ました。
 この実態を良く見るならば、財政が豊かで人口も増えて盤石の港区などとは言えないと思います。本来の自治体のあり方は、お金持ちも、中間層も、低所得者も安心して普通に住めることが一番の安全安心ではないでしょうか。
こうした港区の現状について、区長の見解を求めます。

 巨大開発を抜本的に見直し、庶民が住める港区政に転換するべきです。特に、市街地再開発補助金の支出を中止すべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
最初に、住み続けられる区政への転換についてのお尋ねです。
まず、港区の現状についてです。
全国的に人口が減少する中にあって、区の人口は現在24万4千人を超えました。
子どもからお年寄りまで、あらゆる世代にわたる人口の増加は、まちに新たな活力と発展をもたらす喜ばしいことであり、これまで住みやすいまちとするため、区民とともに取り組んだ成果が評価されたものと受け止めております。
私は、以前から港区に住んでいた方も、新しく住民となった方も、誰もが安全に安心して、豊かで健やかに暮らせる区民生活の実現をめざしています。
区は、地域コミュニティに配慮したまちづくり、町会・自治会、商店会への支援、高齢者・障害者施設の計画的な整備、子ども・子育て支援施策の充実などに積極的に取り組んでまいりました。
いずれも、区民の暮らしの様々な実態を踏まえて、先駆的に推し進めてきたものです。
今後も、区民の生活実態や意向を的確に把握し、区民一人ひとりの日常生活の隅々にまで目の行き届いた、質の高い行政サービスを提供してまいります。

次に、市街地再開発への補助金支出についてのお尋ねです。
市街地再開発事業は、土地の合理的かつ健全な利用により、道路、公園などの都市基盤を整備するとともに、広場、緑地などのオープンスペースを確保するなど、周辺を含めた防災性の向上と市街地の改善を図る公共性の高い都市計画事業です。
地元地権者の方々は、自らの発意と合意に基づき安全・安心な街づくりを協同して進めており、区は、地元地権者の保護の観点から、今後も市街地再開発事業への補助金は必要と考えております。

《再質問1》
 港区の現状について

《質問要旨》
 人口は増えているが、商店の数は減っている。港区の現状をしっかりと受け止め、巨大開発を進める現在のまちづくりの方向性を転換する必要がある。

《区長答弁要旨》
全国的に見ると、人口減少、消費者層の減により、シャッター通りが増えているなど、地方の商店街の衰退がいわれる一方で、港区では人口が増えているにも関わらず、やはり商店街などに大変課題があると認識されている。
政策創造研究所で今年度実施した消費者の実態調査の中でも、インターネットを利用した商品の購入、大型店の利用等の実態も浮かび上がっている。
こうした調査を行っているということも、商店会のあり方や今後の商店会振興に繋がる施策を導き出すために行っているわけであり、一つひとつのことについて、区としても、きめ細かく目配りをして、必要な施策を充実させていく。


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2. 借り上げ住宅の継続・充実と家賃助成制度復活について

 今述べたように、中間所得世帯と低所得者世帯が住みづらい港区になっています。
この間の区営住宅の応募状況では、家族向けで197倍と高い倍率になり、申し込んでも入れない方が沢山います。それなのに区は、定住人口が増加し安定したとの理由で、以前区が制度化した若者向けの家賃助成制度も廃止してしまいました。借り上げ住宅制度も続けてきましたが、民間住宅の契約が切れる時期にあわせて借り上げ住宅を無くす方向です。
 現在、6住宅で68戸ありますが、入居を募集しているのは4住宅のみで最終的には、平成34年で終了する計画です。
 中間所得世帯と低所得世帯が安心して住めるように借り上げ住宅制度を継続し拡充するべきです。答弁を求めます。

 家賃助成制度を復活するべきです。低・中所得者世帯への家賃助成、および、高齢者、障害者への家賃助成制度を実施するべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
次に、借上げ住宅の継続・充実と家賃助成制度の復活についてのお尋ねです。
まず、借上げ住宅制度の継続・充実についてです。
借上げ住宅事業は、区の人口が15万人台まで減少した背景を受け、平成4年度に中堅所得者層を対象に、定住化の推進を目的として創設いたしました。
区の人口は、現在、24万人を超えるまでに回復しております。また、民間住宅ストックも充足し、随時入居者を募集している借上げ住宅も、空室が発生している状況です。
そのため、借上げ住宅については、当初の事業目的を達成したものとして、貸主との貸借契約満了を迎えた住宅から、順次、事業を終了してまいります。

 次に、低・中所得者及び高齢者や障害者への家賃助成の復活と実施についてのお尋ねです。
区は、定住化の推進を目的として平成4年度から実施した家賃助成制度については、当初の事業目的を達成したものとして、平成14
年度の募集を最後に廃止しており、この制度を復活することは考えておりません。
低・中所得者及び高齢者や障害者など、対象者を限定した家賃助成については、現時点で予定しているものはありませんが、人口の回復傾向が続く中での、多様な住まいの確保策については、区としても重点的に取り組んでおります。
 
《再質問2》
 借上げ住宅の継続・充実と家賃助成制度の復活について
 
《質問要旨》
人口が増えたからといってこれらの制度が役割を終えたということはない。お金持ちも、低・中所得者も安心して住めるようになるためには、借上げ住宅の継続と家賃助成制度の復活はどうしても必要。人口だけでなく中身を見てほしい。

《区長答弁要旨》
借上げ住宅事業の目的そのものが、年間5~6千人の人口が減少していく中での施策だった。その事業実施当時の状況と大きく変わっていることから、借上げ住宅制度は中止することとした。
なお、区民の住まいの確保策については、区としても取り組んでいるところである。


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3. マイナンバー(社会保障・税番号)制度の凍結・中止について

日本国内に住民登録している人全員に12桁の番号を割り振り、国が一元管理するマイナンバー制度の運用が、1月から始まりました。市区町村の窓口での社会保障や税の手続きの一部などで番号提示が求められます。本人に番号を知らせる「通知カード」を届ける作業は完了のめどすらありません。自分の番号を知ることが制度運用の大前提なのに、それすらできない人がたくさ残されていること自体、制度の矛盾です。港区でも33000通が返送され、2月5日現在、約22000通が芝支所に留め置かれ、区民に届けられていません。
 自治体の窓口では、児童手当申請や国民健康保険の加入手続きなどで、書類に個人番号の記入を求めることを始めました。しかし、それを知らずに手続きにくる人が各地で相次いでいます。周知されてない仕組みに住民は戸惑い、自治体職員は窓口での説明や対応に追われる事態です。
 そもそも全住民を対象にした制度を掲げながら、いまだに全国で約300万世帯に「通知カード」が届いていないことが大問題です。
 この手続きが混雑と混乱に拍車をかける恐れがあります。港区でもこの間、国のシステム不具合などもあり、個人番号カードの交付に時間がかかったり、交付できず後日送付という対応もありました。マイナンバー関連詐欺が相次いでいるのも、制度周知の不徹底さに付け込まれたものです。 役所に届け出た写真の本人確認のため画像ソフトを使い、本当に本人かどうか調べる「顔認証システム」も導入され、「人権の侵害」との懸念も出ています。
 個人番号カードは、いまのところ身分証明以外にほとんど使い道はありません。多くの個人情報が集積されている個人番号カードを持ち歩く方がよほど危険です。紛失・盗難にあえば、詐欺や「なりすまし」などに悪用されかねません。メリットがないばかりか、持つ方がリスクを高めるカードの普及と活用の拡大ばかりに力を入れる政府の姿勢は、個人情報をリスクにさらすものでしかありません。48年前から個人番号を導入している韓国では、ハッキングや内部者による売買などで、個人情報の流出が後をたちません。どのような環境で育ったのか、学校で何を指導されたか、成績や病歴までわかります。番号一つで他人の人生を丸ごと垣間見ることができてしまう。自分は忘れていることでも国家は知っている、そんな恐ろしいことが起きる可能性があるのが番号制度です。
全ての事業所に働いている方の個人番号の提出を求めることも大問題です。どうやって対応するかわからないという事業者も数多くいます。セキュリティの費用もかかります。
 マイナンバーは、徴税強化や社会保障費抑制を狙った政府の動機から出発したもので、国民には不利益ばかりです。矛盾と問題点が次々と浮き彫りになるなか、本格運用を加速するのでなく、マイナンバー制度は中止・凍結し、廃止への検討を行うことが必要です。国に凍結・中止を求めるべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、マイナンバー制度の凍結・中止についてのお尋ねです。
 マイナンバー制度の実施に当たっては、区にも個人情報の漏えい対策等に関するご意見が寄せられております。情報漏えい等が現実のものとならないように、全国市長会を通じ、国へ個人情報保護に関する措置や丁寧な周知を積極的に要望しております。
 マイナンバー制度を凍結・中止するよう、国に求めることは考えておりませんが、引き続き、区といたしましても、特定個人情報の保護を徹底し、効果的に制度の運用を進めてまいります。


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4. リニア中央新幹線事業を白紙撤回させるために

 JR東海は、多くの課題や技術的に未知のものを抱えたまま、南アルプストンネル工事に続いて、1月27日にはリニア中央新幹線の起点となる品川駅の工事に着手しました。品川駅周辺が東京の東の玄関として発展するという期待や関心もありますが、失望と禍根を残すことになりかねません。
 そもそもリニア中央新幹線建設事業は目的が不明確です。「輸送力の増強」とか「老朽化した東海道新幹線の緊急時代替」などと言いますが、人口が減るときになぜ輸送力を増強しなければならないのか。また、品川から名古屋までのうち地下部分が86%を占め、品川駅の地下40メートルから掘り進め、地表から最大1400メートルの深さを掘ります。断層や水脈も複雑で出水や岩盤崩落の危険もあります。残土の量は東京都と神奈川県分だけで東京ドームの14杯分にもなり、その行き先は決まっていません。
 品川駅の工事だけでも工事車両は1日350台にもなり、交通渋滞や環境破壊になります。
電磁誘導を利用して車両を浮かせて走らせるため、強力な電磁波による健康被害の不安もあります。 新幹線の3倍を超える電力が必要であり省エネルギーに逆行します。
 総事業費9兆円にもなり、はじめから赤字になることをJR東海の社長も認めています。
 政府の審議会は、新幹線との比較でリニアの方が速いことだけを理由に認めましたが、そうしたニーズがどれほどあるのでしょうか。深いトンネル内を高速で走る乗り物が事故を起こした場合の避難も心配です。ドイツでは速いだけではだめとして国会で承認されませんでした。
 安全面、経済面、技術面、環境面など総合的に考えれば、あまりにも無謀な事業です。国とJR東海など関係機関に白紙撤回を求めるべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
次に、リニア中央新幹線事業の白紙撤回を求めることについてのお尋ねです。
リニア中央新幹線事業は、始発駅である品川駅の工事が着工し、日本の交通結節点として区内交通網がさらに充実され、港区の地域経済の発展や、新たなより良い街づくりに大きく寄与するものと考えております。
環境影響評価の際には、地盤沈下、温室効果ガス、大気、磁界など環境保全や健康被害への対策を求め、また区民に分かりやすく説明するよう、港区として意見書を提出しております。
工事の影響につきましては、これまでも大型車両が通学路を通行する際の安全確保対策について、事業者に意見を申し入れてまいりました。
区といたしましては、リニア中央新幹線事業の白紙撤回を国や事業者に求めることは考えておりませんが、今後も地元自治体として必要な申し入れを国や事業者に行ってまいります。


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5. 羽田空港の新航路案撤回について

 国土交通省が計画している羽田空港国際線増便の新航路案については議会ごとに質問してきました。都心区上空を通過する案は、騒音や落下物、事故などへの不安が強く住民に理解が得られていません。
 昨年の決算特別委員会で羽田空港以外での落下物事故の状況を質問した際には、「過去10年間で、福岡空港で民間ヘリコプターからの部品落下が1件」とのことでした。ところが成田空港周辺では昨年、航空機の部品や氷塊の落下が4件もありました。うち2件は12月に報告され、国交省・成田空港事務所と成田国際空港が航空各社に落下物防止策を要請しています。
1月に品川と高輪を会場に開催された住民説明会は、実際は「説明会」とはとは名ばかりで、増便の必要性を強調し、新飛行経路案を押しつける内容でした。
飛行機の騒音については、実際の音に近いものが聞けるというヘッドホンが用意され、1~2回だけ聞くなら耐えられるかもしれませんが、毎日4時間繰り返されれば体調への影響が心配です。 国交省は、近年の集合住宅等は機密性も遮音性能も高いから室内ではほとんど気にならないと説明し、その音を聞かせるほどの念の入れようでした。国交省は、「飛行時間帯は外に出ないこと」、「遮音性の低い古い住宅には住まないように」と言わんばかりです。
 騒音軽減策について、空港周辺の一定区域には防音工事に国の助成制度がありますが、空港の周りだけです。「着陸を開始する高度を引き上げることも考えられますが技術的検証が必要」とか、航空会社にさらに静かな航空機の使用を促すという他人任せで、やってみないとわからない、という無責任なものばかりです。
航空機事故や落下物などの安全対策についても、「安全対策を何重にも積み重ねてきた」「航空機、パイロット、地上部の各要素が相互に連携することで高水準の安全が実現されるよう努力している」と言うのみで、絶対安全を保障できるものではありません。
 飛行コースは、万が一に事故が発生しても最小限の被害におさえることを大前提にすべきです。
 区長は、予算編成方針の中で、誰もが住み慣れた地域で心豊かに生活できるよう地域福祉の充実を図りますと述べています。この立場からも、新航路案の撤回を国に要求するべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
次に、羽田空港の新航路案撤回についてのお尋ねです。
新たな飛行経路案につきましては、国の責任において区民等に丁寧な説明を行い、十分な理解を得て、検討を進めるべきものと考えております。
区は、これまでも国に対して区民の不安や疑問の解消に向けたきめ細かな説明等を要望してまいりました。
昨年8月の説明会以降に区民から寄せられた意見を踏まえ、本年1月に高輪地区と港南地区で国が開催した説明会では、詳細な飛行経路の提示や航空機の飛行音を体験できるブースを設けるなど、より具体的な説明がされました。
区は、説明会等で出された意見や地域からの要望を適宜、国に伝えてまいりました。
また、区は国に説明会の開催を強く申し入れ、それを受け、国は本年2月にも高輪地区と港南地区で地域の皆さんを対象とした小規模な説明会を開催しています。
飛行経路案の撤回について、国に申し入れることは考えておりませんが、今後とも区民の安全と生活環境を守る立場から、国へ意見、要望等を伝えてまいります。


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6. 白金・白金台地域への「ちぃばす」運行について

昨年の第4回定例会に「白金地域に『港区コミュニティバス』の運行を求める請願」が提出され、全会一致で採択されました。
白金、白金台地域は道路が狭く、現在運行されている大きさの「ちぃばす」では運行できません。
柏市では、道路が狭い交通不便地域に、乗車定員9人の「かしわ乗合ジャンボタクシー」を、3路線、4コース運行しています。また、「予約型相乗りタクシー」を2地域で運行しています。
柏市での取り組みは、道路の狭い白金、白金台地域には大いに参考になります。
柏市での「かしわ乗合ジャンボタクシー」の取り組みを参考に、導入に向けた具体的な検討をすすめるべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
最後に、白金・白金台地域への「ちぃばす」運行についてのお尋ねです。
平成26年度末に新たな地域交通サービス検討のために、高輪地区総合支所管内の施設利用者を対象として交通機関利用の形態、利用目的等の調査を行うとともに、都内や近隣県の乗合タクシー等の事例を収集しました。
白金・白金台地域につきましては、地域内の道路が狭隘(きょうあい)であることから、歩行者や車両等の安全、停留所の確保、また、都バスなどの公共交通機関との競合を避けることが課題です。引き続き課題解決に向け検討してまいります。


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