安倍政権が発足以来すすめている生活保護の大改悪は、規模も内容も、歴代政権で最大・最悪ものです。3年かけて総額740億円の生活扶助費を削減する計画が、今年8月から始まります。9割以上の受給世帯が収入源に追い込まれ、月2万円以上も減らされる子育て世帯も生まれます。そのうえ受給者数を強引に減らすなどして年459億円も生活保護費をカットする施策も盛り込んでいます。生活保護基準の引き下げが行われれば、就学援助の適用除外、保育料の増額など、生活が困窮する子育て世帯が急増し、「貧困の連鎖」が強まります。憲法25条の生存権を保障し、生活保護法第1条の"最低眼の生活保障と自立の助長"を国の責任で行うことを遵守し、貧困・格差をこれ以上拡大しないために、健康で文化的な生活を保障する生活保護基準の引き下げをやめ、引き上げを国に求めるべきです。また、区が約束してきたとおり、他の施策への影響がでない対策を行うことが必要です。
安倍政権は5月17日、生活保護法改悪案と生活困窮者自立支援法を閣議決定し、国会に提出しました。改悪案は、本人の資産や収入、扶養義務者の扶養状況を記した申請書と、判定に必要な書類の提出を申請時義務付けます。現行法では、役所に口頭で意思表明すれば生活保護を申請できますが、改悪案はすべての書類が整わないと申請できないと条文化することによって、「水際作戦」を合法化し、申請者を入り口で閉め出すものです。また、生活保護の実施機関が扶養義務者や同居の親族に「報告を求めることができる」と規定。官公署などに「必要な書類の閲覧もしくは資料の提出を求め」、銀行や雇い主に「報告を求めることができる」としました。改悪案は、「健康の保持および増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握する」との責務を新たに課しています。また利用者には「可能な限り後発医療品の使用を促す」と法律上明確化しています。自公政権は、生活保護法改悪は2014年4月から、後発医療品の使用などは今年10月から実施することを狙っています。日本の生活保護の捕捉率はヨーロッパ諸国と比べても際だって低く、いまでさえ生活保護を受給できる人でも受けられていないという実態があります。それをさらに拡大するのが改悪の中身です。北九州や札幌市などでは、生活に困った人が役所に追い返され、餓死するなど、全国で「水際作戦」が原因と思われる悲しい事件が続きました。それを合法的にすすめようとするのが、今回の改悪です。生活保護法の改悪を行わないよう、国に働きかけるべきです。 (13 2定 風見議員)