安倍政権の「アベノミクス」と呼ぶ「3本の矢」の経済政策の是非が問われています。 内閣府の発表したGDPの1~3月期は、前期に比べ0.9%増、年率換算では3.5%増として、マスコミでは景気の回復傾向が鮮明になったと報じました。
しかし、その実態を見ると、第一の矢である「次元の違う金融緩和」によって、ユニクロの会長は4人家族で合計資産増加額が半年で1兆円を超えるなど、ごく一握りの富裕層、機関投資家、外国人投資家が巨万の富を積み上げつつあります。一方で労働者は賃金が減っているうえに食品、光熱費などの値上げが家計を直撃し、中小企業・業者は原材料の高騰に悲鳴を上げています。貧困と格差がますます広がる経済政策であることが明らかになっています。最近の株価の乱高下(らんこうげ)と長期金利の急騰は、金融緩和で投機とバブルをあおる危険性を示すもので、金融緩和先行はアベノミクスが制御不能になる危険があります。
第二の矢は「機動的財政運営」ですが、中身は大手ゼネコンだけが儲かる巨大開発が中心です。このまま進められれば今年度末の国の借金は、1107兆円と予想され財政破綻の深刻さは計り知れないものとなります。
第三の矢の「成長戦略」では、トップセールスとしてこれまで世界が経験したことがないような重大な事故を引き起こした原発を「最高水準の技術」、「安全性」などと外国に売り込む異常な感覚の輸出強化や、実現性の低い農業などの国際競争力強化などの一方で、ターゲットになっているのが雇用です。「限定正社員」としていつでも首が切れるようにしようとし、「限定なし」の正社員には「残業代ゼロ」のホワイトカラー・エグゼンプションを導入し、雇用破壊と低賃金を押しつけようとしています。
「アベノミクス」の暴走は景気をよくするどころか国民の暮らしと日本経済に大きな被害をもたらします。さらに追い打ちをかけるのが来年4月の消費税大増税の実施と社会保障の大改悪です。1~3月期の経済指標では雇用者報酬は前年比0.3%の減少、企業の設備投資は5期連続減少です。回るべきところにお金が回らず実体経済は冷え込んだままです。このうえ、消費税増税を実施すれば、区内中小企業・商店の営業も区民生活も底なしの泥沼に突き落とすことになります。消費税増税は実施しないよう国に求めるべきです。 (13 2定 風見議員)