「私立大学で経営学を学ぶ21歳の佐藤君には、多額の借金がある。大学を出るまでに、その額は1千万円余に膨らみそうだ。彼は2歳の時、父を病気で失った。母は月収7,8万円のパートで育ててくれた。だから高校・大学に進学するには借金をするしかなかった。卒業後は20年にわたり、月3,4万円ずつ返済することになる。『本当に不安です。親元から通える就職先でなければ、返済は難しいでしょう。自分の家族を持ち、子どもを育てていけるのでしょうか?』と佐藤君は話す。一般新聞の記事です。
港区でも、高校・大学と借りると最低318万円~最高468万円になります。そして、卒業1年後から15年間にわたって返済しなければなりません。 いま、大学を出てもなかなか就職できない。就職できても正社員になれない。正社員になっても給料は下がる一方。年収200万円以下のワーキングプアといわれる人が1000万人を超える状況です。こういう社会ですから、返したくても容易に返せないのが実態です。債権回収会社に頼めば、本人の置かれた状況に関係なく、連帯保証人を含め返済を迫ることは目に見えています。今やるべきことは、返済が滞っている人の実態を良く聞き、免除、一部免除、猶予、変換方法の変更等々の相談にのることが必要です。
港区で行っている奨学金制度の目的は、「経済的理由により困難な者に対して、奨学資金を貸し付け、将来社会のために有為な人材を育成する」(奨学資金に関する条例第1条)ことが目的です。この目的を本当に達成するのであれば、給付型の奨学金制度が必要です。昨年9月、政府が33年ぶりに「中等・高等教育の漸進的無償化」を定めた国際人権規約(社会権規約)第13条2項(b)・(c)の留保を撤回したのですから、国に給付型奨学金制度の創設を求めるべきです。港区として、給付型奨学金を制度化すべきです。 (13 4定 風見議員)