公共事業の品質を確保し、行き過ぎたダンピング競争を是正するためには、公契約条例の制定が必要です。「公共工事業者がいない」と大きく新聞報道がされ、区内でも業者が集まらず入札ができない事態がおきているように、建設業界で人手不足が深刻化しています。この背景には建設労働者の賃金の低さがあります。厚生労働省の調査でも建設業労働者の年間賃金は全産業に比べて26%も低くなっています。ダンピング競争の「つけ」を下請け業者や建設労働者にしわ寄せしてきた結果が、賃金の低下を招き、技能労働者が育たない建設産業を作り出してきたのです。このため建設業界の就業人口はピーク時より3割近く減少しています。25歳以下の建設従事者では、全国で5万人。ピーク時の5分の1にまでになっています。
昨年12月に開かれた、総務常任委員会の区内建設産業従事者との懇談会では、最低制限価格を70%に設定していることが、現場労働者の賃金低下に直結するものとなることや、生活できる賃金確保のためには公契約条例の制定が必要との発言がありました。また、 今定例会の議案にも賃金水準及び物価水準の上昇による契約金額の変更議案が8件提出されていますが、可決されても、これまでの区の答弁では「引き上げ分が労働者に渡ったかどうかの確認は困難」となっているのです。
公契約条例によって、公共事業に従事する労働者の賃金が地域の標準的な水準を下回らないように条例で規制し、生活できる賃金水準を守ることが求められています。
すでに都内でも多摩市、国分寺市、渋谷区、足立区が条例を制定しています。条例制定は建設労働者の生活できる賃金を保障するだけでなく、地域経済の活性化にもつながるものとなります。
区としても公契約条例の制定を一刻も早く行うべきです。 現場労働者の賃金にしわ寄せが行き、官製ワーキングプアを生む、最低制限価格70%の引き上げを行うべきです。 (14 1定 大滝議員)