建設産業従事者は、1997年の685万人のピーク時から2012年には503万人にまで落ち込み、182万人が減少しています。そのうち、技能労働者は20年前に比べ73万人の減少で、2012年には335万人となっています
。建設産業従事者の大幅な減少は賃金の低さが大きな要因です。厚生労働省の調査では建設業労働者の年間賃金は、全産業に比べて26%も低くなっています。他の調査でも、若手の建設技能労働者が入ってこない理由として、57.7%の人が「収入の低さ」をあげています。
政府は、4月「オリンピック・パラリンピックの成功に万全を期したい」として「外国人技能実習制度」を緩和することで、建設業の深刻な人手不足を外国人でカバーすることを打ち出しました。しかし、「外国人技能実習制度」は、発展途上国の人に日本で技術を学んでもらい、本国に戻ってからその技術・技能を生かし、母国の発展に役立ててもらう、という目的があり、日本の窮状を救う労働力として当て込む筋合いのものではありません。さらに外国人を低い賃金で雇い、その賃金をそのまま日本人労働者に持ち込もうとすることも考えられ、人手不足を加速しかねません。
このままでは、産業の存続に不可欠な技能の承継も困難になりかねないばかりか、公共施設建設にも大きな打撃を与えます。
区長も参加された建設産業従事者のある団体の会議では、代表が「公共工事設計労務単価が引き上げられたが、下請けにまで届いていない。千代田区公契約条例が制定されたが、職人の賃金確保のためにも、港区でも制定いただきたい」と述べています。この声に区長は、どのように応えていこうとするのですか。
住民の税金を使う公的事業で利益を得ている企業は、働く人たちに人間らしい労働条件を保障すべきであり、発注者の公的機関はそれを確保するための責任を負う必要があるのです。公共工事、公共サービスの品質確保と生活できる賃金への底上げを定める公契約条例を制定すべきです。 (14 2定 沖島議員)