安倍政権は、2015年度から介護報酬を全体で2.27%引き下げます。前回に続く削減で現場からは不安の声が上がっています。介護職員の処遇改善と認知症や中・重度者対応は加算されますが、特養ホームや小規模デイサービスなどは4.48%も引き下げられます。特養ホームは大部屋一人分の基本料(1日510円減)は5.9%の減額となり、運営している事業所では大幅な減収となります。全国老人福祉施設協議会会長は、「現在でも特別養護老人ホームなどは赤字施設が3割で、そうした施設では、ボーナスカットや非正規雇用への切り替え、賃金を引き下げざるを得ない危機的状況に陥るおそれがある」と指摘しています。厚労省は賃金については「処遇改善加算で月12,000円程度の賃上げを見込んでいると説明していますが、加算は介護職にしか適応できず、介護職以外の賃金は持ち出しになります。また、正社員化などの処遇改善などを行った事業所を対象とするなどの条件もあり全体の処遇改善にはつながらないとの不安があります。東京都の介護職員の有効求人倍率は10.5倍まで急増し、10施設が1人の職員を奪い合う状況です。今でも人手不足で求人を出しても職員が集まらない状況が更に深刻になります。介護報酬が引き下げられたら「小規模の事業者はもうやっていけない」「大規模の事業者しか生き残れない」「せっかく職員を育てたのに大規模の事業所に移ってしまう」など事業者や従事者からは不安の声が寄せられています。社会保障のためという理由で、消費税を引き上げておきながら、サービスの切り捨てや負担増をおしつけるなどとんでもありません。介護保険の改悪はこれだけではありません。要支援1・2の方を介護保険制度からはずし、各自治体が行う地域支援事業に移行します。港区は2016年(H28年)4月から移行する方向です。新たな介護予防・生活支援サービスでは、比較的軽度なサービスが必要な人にはボランテイアやNPO等多様な担い手によるサービスを提供できる仕組みを作るとしており、シルバー人材センターもサービスの担い手としていく考えも明らかにされました。
①要支援者のサービス低下にならないよう区として取り組むべきです。
②2014年5月に出した介護保険レポートでも指摘しているように、NPOやボランテイアといった地域資源は十分ではありません。質の確保や環境を整えるには十分な時間が必要であり、移行期間中に移行できない場合は、移行期間を延長するよう国に求めるべきです。
③要介護度の判定は、専門家による訪問調査、医師や福祉の専門家を交えた審査会で慎重に判断されています。介護を必要として申し込んでいる高齢者を要介護認定抜きで地域支援事業に振り分けることがないよう介護認定を受ける権利を保障すべきです。
以上3点について答弁を求めます。 (15 1定 熊田議員)