区は、工事請負契約の入札制度で予定価格と最低制限価格を事前公表しています。しかし、この間矛盾もでてきています。資材価格は労務費が高騰し、価格や人手不足などを原因に公共工事の入札不調が相次いで発生し、港区でも区が発注した公共工事が契約期限を過ぎても完了しないことも起きました。人手不足の要因としては、長引く不況で建設業が縮小し、技能労働者、特に専門技術者の育成が十分に行われてこなかったことが上げられます。
そこで、国は法改正を行いました。昨年6月に「改正 公共工事の品質確保の促進に関する法律(改正品確法)」が施行されました。「現在及び将来の公共工事の品質確保」と「担い手の中長期的な育成・確保」を新たに目的として追加し、その実現のための発注者の責務を明記しました。 国土交通省は、すべての自治体発注者が「発注者の責務」を果たすために、自らの発注体制や地域の実状に応じて発注関係事務をおこなえるよう、「発注関係事務の適切な実施に係る制度の運用に関する指針」(運用指針)を1月30日に策定しました。 わかりやすく言えば、発注者である自治体の責務を明確にし、適正な積算による予定価格にすることなどをまとめました。この中では、公共工事の品質確保の担い手である人材の育成と確保のために、適正な利潤を確保するためにも、予定価格を適正に定めることが不可欠だと指摘しています。
この点で、現在の区の予定価格の積算方法は、東京都の見積もり基準をもとに積算し、その基準に単価に無いものは、建設物価、積算資料や公表カタログ価格とともに3社からメーカー見積もりを受け予定価格を算出しています。しかし予定価格に反映するのは、3社の中で一番低い見積額を採用しています。せめて3社の平均額を採用するなど改善も必要だと思います。
国土交通省の指針では、入札しても落札者がなかった場合は、発注者の積算した予定価格と事業者の応札額に開きがあるときは、入札参加者から工事の見積もりを徴収し、その見積もりを活用して積算内容を見直すなども具体的に指摘しています。そして、予定価格と最低制限価格は、入札の前には公表するべきではないと指針に盛り込みました。
区民が利用する施設などを安全で快適に利用できる公共施設にしていくためにも、区は、国の運用指針をふまえ、予定価格及び最低宣言価格の公表のあり方について、早急に検討すべきです。 (15 2定 いのくま議員)