横浜市の大型マンションの傾きに端を発して明らかになった旭化成建材の杭打ち工事のデーター偽装は、公営住宅や学校など全国各地の公共施設まで広がり、港区では調査の結果、2件でデーターの改ざんが明らかになりました。横浜市のマンションの現場責任者だけでなく、旭化成建材の社員数十人が偽装に関与した疑いや、同社以外の工事でも偽装を指摘する証言が報じられるなど、建設業界の構造的問題として広がりを見せています。今回の問題では、建物の安全にとって最も重要な基礎杭が支持層(強固な地盤)に届いておらず、杭を固定するコンクリートのセメント量のデーターも偽装していました。元請建設業者である施工主の三井住友建設の監理責任も問われています。建築士には、建築法令や条例で定める基準に適合するよう設計、監理することが義務付けられています。今回はこうした安全確保のための法制度がまったく機能していなかったことを示しています。
建物の安全を確保すべき行政が、偽装を見抜けなかったことは深刻です。この問題は、1998年の建築基準法改定で、地方自治体が行っていた建築確認審査を、民間の「指定検査機関」でも可能にするなどとした建築行政の規制緩和が背景にあります。施工主である多くの建設会社は、自社と関係の深い民間検査機関に検査をまかせているのが実態です。
建設業界の重層下請け構造も、偽装発見を困難にし、責任の所在を不明確にしています。販売期日を優先する元請けが、完成を急がせたことが、下請けの手抜きを助長し、偽装を見抜けなかった原因と考えられます。販売主、元請け、下請けなどは全容の公表、原因と責任の糾明を急ぐべきです。
住民への被害補償など誠意ある対応も必要です。 国・自治体は、徹底糾明とともに、再発防止に向けて安全性確保のための建築確認検査についての体制整備、中立・公正な第3者による検査体制の確立など抜本的改善を図る必要があります。国に対し、安全性確保のための建築確認検査についての体制整備、中立・公正な第3者による検査体制の確立など、抜本的改善を求めるべきです。 ( 15 4定 大滝議員 )