区長の所信表明でも、また区内の各団体の新年会などでの区長挨拶でも、一時期15万人を割り込んだ人口が今では24万人を超えたことや、あらゆる世代が将来にわたって安心できる磐石な財政基盤を堅持していくなどと、この12年間の区政運営を押し出しています。もちろん、財政が縮小し不安定になることは好ましくありません。しかし、今の港区と区民の実態を正確に見るならば、歪(いびつ)な面が多々あると言わざるを得ません。
貧困と格差は大きく広がっています。区内には大企業や外資系企業の役員や巨大投資家などの超富裕層が数多く居住しています。この方々の住民税納税で区財政を全国トップにしているのです。
区がすすめる巨大開発の街づくりによって昔から港区に住んでいた方が、立ち退きでいなくなり、その土地には巨大オフィスビルや超高級マンションが建設され、そこに超富裕層が入居してきます。元々の住民がいなくなり、新たに超富裕層が流入しているのが実態なのです。
港区の所得別の人口構成をみると、超富裕層と低所得者の二極分化が極端にすすんでいると思われます。個人商店が商売が立ち行かなくなり廃業し、区外転居という方も結構でています。商店街はチェーン店が急増し、何代も続いてきた蕎麦屋、すし屋、酒屋、理容室などが激減しているのです。商店会の中には活動を休止したところもあります。
町会でも、まちのお祭りができなくなったり、お神輿の担ぎ手もいなくなり、今回が最後の町会のお祭りになるかも、などの声も出てくるのです。近隣の町会と合併をすすめてなんとか町会を存続させようという状況もあるのです。それは「港区まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案)」に対しての区民意見でも、将来、町会、商店会の存続も大変難しいと思われる。このままでは、町が存続できず、街の人たちの繋がりが消滅してしまう、と、警鐘を鳴らす意見も飛び出ました。
この実態をよく見るならば、財政が豊かで人口も増えて盤石の港区などとは言えないと思います。本来の自治体のあり方は、お金持ちも、中間層も、低所得者も安心して普通に住めることが一番の安全安心ではないでしょうか。 巨大開発を抜本的に見直し、庶民が住める港区政に転換するべきです。特に、市街地再開発補助金の支出を中止すべきです。 (16 1定 いのくま議員 )