JR東海は、多くの課題や技術的に未知のものを抱えたまま、南アルプストンネル工事に続いて、1月27日にはリニア中央新幹線の起点となる品川駅の工事に着手しました。品川駅周辺が東京の東の玄関として発展するという期待や関心もありますが、失望と禍根を残すことになりかねません。
そもそもリニア中央新幹線建設事業は目的が不明確です。「輸送力の増強」とか「老朽化した東海道新幹線の緊急時代替」などと言いますが、人口が減るときになぜ輸送力を増強しなければならないのか。また、品川から名古屋までのうち地下部分が86%を占め、品川駅の地下40メートルから掘り進め、地表から最大1400メートルの深さを掘ります。断層や水脈も複雑で出水や岩盤崩落の危険もあります。残土の量は東京都と神奈川県分だけで東京ドームの14杯分にもなり、その行き先は決まっていません。
品川駅の工事だけでも工事車両は1日350台にもなり、交通渋滞や環境破壊になります。
電磁誘導を利用して車両を浮かせて走らせるため、強力な電磁波による健康被害の不安もあります。
新幹線の3倍を超える電力が必要であり省エネルギーに逆行します。
総事業費9兆円にもなり、はじめから赤字になることをJR東海の社長も認めています。
政府の審議会は、新幹線との比較でリニアの方が速いことだけを理由に認めましたが、そうしたニーズがどれほどあるのでしょうか。深いトンネル内を高速で走る乗り物が事故を起こした場合の避難も心配です。ドイツでは速いだけではだめとして国会で承認されませんでした。
安全面、経済面、技術面、環境面など総合的に考えれば、あまりにも無謀な事業です。
国とJR東海など関係機関に白紙撤回を求めるべきです。 (16 1定 いのくま議員)