日本共産党 港区議団
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日本共産党港区議員団の一般質問


質問者 熊田 ちづ子 議員


 2012年第1回定例会において、日本共産党港区議員団の一員として区長に質問します。

1. 介護保険制度について

 最初の質問は、介護保険制度についてです
 厚生労働省が2012年度介護保険報酬を決定しました。介護労働者の賃金引き上げ分を介護報酬に組み込んだため実質0.8%のマイナス改定です。
 今回の改定の大きな柱は「医療から介護へ」「施設から在宅へ」の名で病院や介護施設から高齢者を閉め出すねらいです。特養ホームでは個室の利用料を引き上げ、とくに要介護5の引き上げ幅を大きくし、大部屋入所への報酬を減額しました。これは、事業者に大部屋を減らし、個室を増やすよう促すのがねらいです。
 老人保健施設では、ベッドの回転率が高い(自宅へ戻った人が50%超えると報酬が高い)施設の報酬を増やし、長期の入所ができない仕組みを作りました。今でも、特養にも入れず、老健施設を利用している方にとって、早期退所を迫られ、行き場がなくなります。
 在宅介護でも24時間巡回型サービス事業を新設しますが、担い手となる事業所や、介護士、看護師の確保も課題です。
 利用者負担は定額払いで、月額9,641円(要介護1)から3万1,668円(要介護5)とそれぞれ介護度によって使える上限額ぎりぎりに設定されているため、1割で利用できる限度内では「他のサービスを使えなくなる」などの不安の声も上がっています。 政府のねらいは、施設から在宅へ移すことによる給付費削減です。私たちは、誰もが安心して介護が受けられるよう取りくんでまいります。
 介護保険の改悪が進む中でこの4月から、私どもが機会ある毎に質問してきた在宅サービス利用料の負担軽減が、すべての訪問系の在宅サービスに拡大されたことは、区民のみなさんとともに大いに喜びたいと思います。

 具体的な質問に入ります。

 国の介護報酬の改定を受け、第5期の保険料は、基準額、5,250円と750円の値上げとなりました。今でも払えない、高すぎる、との声は多く寄せられています。
 今回から1号被保険者の負担割合は20%から21%に引き上げられたうえに、調整交付金の不足分1.5%分も加算されるので、実際の負担は22.5%にもなります。この加算分が無ければ363円引き下げることができ、基準額が4,887円になります。区は、昨年7月に「介護保険レポート」で、調整交付金の5%は別枠とするよう申しいれています。国が実施するまでの間、調整交付金の不足分を一般財源から支出し、1号被保険者に負担を押しつけるべきではありません。答弁を求めます

 ホームヘルパーが行う掃除や調理など生活援助の時間削減(60分を45分)も大問題です。45分を超えた分は自費負担になります。
 87才のAさんは週2回のデイサービスとヘルパーさんの支援を受けて一人でがんばっています。こうした高齢者にさらに負担を押しつける改悪です。
 前回の介護保険の改悪でも、要支援1・2の方の生活援助が改悪されました。港区は、一人暮らし高齢者や高齢者世帯を対象に実施している、「高齢者家事援助サービス」の対象に要支援1・2の方にも拡大し、大変喜ばれています。
 生活援助の基準時間を60分に戻すよう申し入れるべきです。改善されるまでの間、港区としても時間短縮で生活に影響の出る方について「高齢者家事援助サービス」で補完すべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 ただいまの共産党議員団の熊田ちづ子議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初に、介護保険制度についてのお尋ねです。
 まず、調整交付金の不足分を一般財源から支出することについてです。
 介護保険制度では、介護サービスを賄う財源については、介護保険法及び介護保険法施行令で、保険料と公費によって一定の割合で負担することが定められています。
 調整交付金の不足分を一般財源から支出することは、介護保険の財源構成を崩し、給付と負担の関係を不明確にすることになります。
 したがいまして、調整交付金の不足分を一般財源から支出することは、適当ではないと考えております。
 なお、調整交付金制度の見直しについては、引き続き国に要望してまいります。

 次に、訪問介護の生活援助に係る時間区分の見直しについてのお尋ねです。
 生活援助の時間区分については、国の介護給付費分科会において「45分での区分を基本として見直し」がされました。
 今回の生活援助の時間区分の見直しによる利用者や訪問介護事業者等の影響を把握し、必要に応じて国に要望してまいります。
 また、家事援助サービスについては、今回の改定が介護保険制度上の生活援助の時間区分の見直しであることから、対象を拡大することは考えておりません。
 区は、今後も介護が必要な高齢者が、安心して在宅での生活が継続できるよう、心身の状況、生活環境や家族状況等を踏まえたケアプランの作成や、介護従事者の一層の技術の向上にむけた研修を実施し、必要な介護サービスを提供できるよう努めてまいります。


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2. 特養ホームの建設について

 次は特養ホームの建設についてです
 特養ホームの待機者は、12月末で225名です。ありすの杜ができても待機者の解消にはつながっていません。
 今年の1月の申込者は400名弱です。申込者の内、要介護Ⅳ・Ⅴの方が55%を超えています。介護者の高齢化で家族への負担が大きくなっています。特養ホームの建設には計画から開設までは数年を要することから、私たちは次の計画を早急に立てるよう再三取り上げてきました。
 2011年の第3回定例会では、「入所申込者の調査分析の結果を踏まえ、要介護認定者数の推移も見定めながら、多床室の整備も含め、在宅介護施策や小規模多機能施設、サービス付き高齢者向け住宅など、高齢者の多様な住まいについて、地域保健福祉計画の改定の中で本年度中に明らかにします。」と答弁してきました。
 後期計画で、具体化されたのは 小規模多機能施設だけで、ベッド数は5床です。サービス付き高齢者向け住宅は具体化の目途も立っていません。高齢者向け住宅は、安否確認と生活相談サービスを提供する専門家が日中常駐することが条件となっているだけで、特養にとって変わることはできません。
 第5期の計画によると要介護認定者数は3年間で547名の増を見込んでいます。
 入所を待っている方がいる以上、建設計画を早急に作るべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、特別養護老人ホームの建設計画についてのお尋ねです。
 区は、特別養護老人ホームの整備に努め、区内の総ベッド数は711床となり、高齢者人口に占める特別養護老人ホームのベッド数の整備率が23区で最も高い水準になりました。
 地域保健福祉計画の改定のために平成22年度に実施した港区保健福祉基礎調査では、在宅サービスを利用している約8割の高齢者が、介護が必要になった場合、在宅での介護を希望しております。
 区としては、このような調査結果などを踏まえ、小規模多機能型居宅介護施設や、サービス付き高齢者向け住宅など、在宅介護を支える多様な住まいの整備を地域保健福祉計画のなかで示しております。
 さらに、24時間訪問介護サービス、高齢者宿泊デイサービスや認知症高齢者介護家族支援事業を実施し、介護が必要な高齢者の在宅生活を支援してまいります。

《再質問 2》
 特別養護老人ホームの建設計画について
《質問要旨》
 計画されている小規模多機能型居宅介護施設は、1施設だけでは不十分。早急に計画をつくるべき。
 また、サービス付き高齢者向け住宅の整備は、いつ実現するのか。
《区長答弁要旨》
 区は、在宅介護を支える小規模多機能施設やサービス付き高齢者向け住宅の早急な整備に努めることとしている。
 小規模多機能施設については、麻布に設置する施設の状況を見ながら今後実施していく。
 サービス付き高齢者向け住宅については、早急な整備に努める。


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3. 暫定保育園、放課GO→クラブ等での障害児受け入れ時の職員加配について

 次は、暫定保育園、放課GO→クラブ等での障害児受け入れ時の職員加配についてです。
 入園の申し込みをした保護者が、「発達の遅れがあると言われている」と話したら「暫定保育室では障害児の職員加配がないので、申し込みできません」と言われたとの相談がありました。
 「区立保育園における障害児保育実施要綱」で、障害児の受け入れについては、すべての保育園で実施し、必要な職員を配置し、必要な施設の整備に努める」と規定しています。
 緊急暫定保育室は、公立保育園と同様の施設です。緊急暫定保育室での障害児および特別のケアが必要な児童は、2011年4月現在27人です。区は1年契約なので年度途中での職員加配はできないとしています。障害や発達の遅れを理由に断られる保護者の気持ちがわかりますか?早急に障害児保育実施要綱に暫定保育室を加え、どの子も安心して保育が受けられる環境を整えるべきです。答弁を求めます。

 放課GOや放課GO→クラブでも同様です。児童館等での障害児の受け入れについても、「児童館等における障害児受け入れに関する実施要綱」で必要な職員や施設の整備を規定しています。対象施設は、「区立児童館」、「中高生プラザ」、「児童高齢者交流プラザ」で、「放課GO→クラブ」や「放課GO」はふくまれていません。
 身近な児童館を廃止し、「放課GO」や「放課GO→クラブ」への移行が進んでいます。今後、学童クラブの待機児童が増えるとして、2013年4月開設で飯倉小学校跡地に「緊急暫定学童クラブ」が計画されています。しかしこのままでは、障害児や特別なケアが必要な児童は選択の幅を狭められることになります。「要綱」に「放課GO」や「放課GO→クラブ」、「緊急暫定学童クラブ」を加えるべきです。答弁を求めます。 

【区長答弁】
 次に、児童施設等の障害児受入れ時の職員の配置についてのお尋ねです。
 まず、港区立保育園における障害児保育実施要綱についてです。
 今後、緊急暫定保育施設での障害児の受け入れについて、関係する要綱を整備し、区立保育園と同様の対応をしてまいります。

 次に、港区児童館等における障害児受入れに関する実施要綱についてのお尋ねです。
 現在、児童館、子ども中高生プラザ、児童高齢者交流プラザのほか、放課GO→クラブや放課GO→においても、障害児の受入れを行っております。今後、実施予定の緊急暫定学童クラブ事業である(仮称)東麻布学童クラブにおいても同様に対応していく予定です。
 放課GO→クラブや放課GO→、緊急暫定学童クラブにおける障害児の受入れにつきましては、関係する要綱を整備し、対応してまいります。

《再質問 1》
 児童施設等の障害児受け入れについて
《質問要旨》
 緊急暫定保育施設や緊急暫定学童クラブにおける障害児受け入れのための関係要綱の改正は4月からか。
《区長答弁要旨》
 要綱改正は4月から実施する。


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4. 不育症について

 次は、不育症についてです。
 厚生労働省研究班は昨年3月、2回以上の流産、死産、あるいは早期新生児死亡の既往がある場合を「不育症」と定義しました。患者は推計で約140万人。原因がはっきりしない人が65%ですが、原因がわかり、適切な治療を受ければ、80%以上の人が出産できると言われています。
 しかし、治療の多くは健康保険がきかず、出産までの費用は、通常の約2倍、費用が高くあきらめてしまう人もいます。
 治療費が高額になるため、全国で約20の自治体が助成しています。
 血栓症を伴う不育症の患者にヘパリン自己注射で、80.3%の人が出産出来たという調査結果から、治療指針をまとめ、今年1月1日からヘパリン自己注射が保険適用となるなど、予防・治療に対する状況も変化しています。
 「赤ちゃんを産みたい」の願いに応え、治療費の助成をすべきです。

 カウンセリングを受けた方は、流産リスクがあっても、妊娠成功率が高いこともわかっています。職員研修を行い、不育症に対する相談を保健所、各総合支所で行うようにすべきです。それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、不育症についてのお尋ねです。
 まず、不育症治療費用の助成についてです。
 厚生労働省研究班は、不育症の6 4.3%を占めるとされる、原因不明の偶発的流産は、特別な治療を行わなくても次回の妊娠予後は良好なため、正確な情報提供と相談支援が重要であるとしております。
 また、不育症の原因の一つである血栓症の治療である、ヘパリン在宅自己注射が保険適用となるなど、治療環境も改善されつつあります。
 こうした状況のため、区は、不育症の医療費の助成は考えておりませんが、今後も国の動向を見守り、正確な情報提供に努めてまいります。

 次に不育症相談の実施についてのお尋ねです。
 区では、不育症について、既存の母子保健事業や保健所、各地区総合支所窓口で、厚生労働省研究班のホームページの紹介や専門医療機関の情報を提供してまいりました。
 不育症については、原因不明の場合が多く、専門家の正しい知識・経験に基づく的確な診断と治療が不可欠であり、区における不育症相談や、相談に先立つ研修の実施は今のところ難しいと考えております。
 厚生労働省研究班は、「不育症相談対応マニュアル」の作成を予定しており、今後は、このマニュアルを活用し、区の窓口で今以上にきめ細かな情報提供を行ってまいります。


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5. 子どものインフルエンザ予防接種費用の助成について

 次は、子どものインフルエンザ予防接種費用の助成についてです。
 今年は今までにない大流行です。
 インフルエンザによる感染が広がらないように、規則正しい生活と手洗いやうがいと共に、重症化しないように予防接種が必要です。
 子どもの場合、2回にわけて接種するため7、200円かかります。2人で14,400円、3人で21,600円にもなります。家庭状況によって子どもの健康維持に差が生じてはなりません。
 中学生以下の子どものインフルエンザ予防接種費用の助成を行うべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、中学生以下のインフルエンザ予防接種費用の助成についてのお尋ねです。
 イシフルエンザに罹患した場合、特に高齢者は重症化しやすいため、国は予防接種法の定期接種に位置づけ、区としては全額を助成し、実施しております。
 中学生以下につきましては、ワクチンの有効性の評価が確定されていないこと、及び国の予防接種制度の見直し対象にも含まれていないことから、区独自で子どものインフルエンザ予防接種費用の助成を行うことは考えておりません。


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6. 生活保護について

 次は、生活保護についてです。
 生活保護受給者は、全国では205万人を超え、港区でも、10年前に比べ、約300世帯増え、昨年12月現在1,804世帯となっています。中でも、稼働年齢の人たちの増加が著しく、経済環境の悪化、雇用をめぐる深刻な状況が生活保護にも現れています。
 厚生労働省は、昨年12月「求職者支援制度の訓練を受けない生活保護受給者への保護の停廃止の検討」を発表しています。
 65歳までの稼働年齢の人たちが「求職者支援制度」の職業訓練を受けるよう指導され、うち8割以上の出席を義務付けられ、一度でも「合理的理由」(親族の危篤や葬儀などに限定)なく訓練を欠席したり、ハローワークの就職支援を拒否すると給付金が不支給となり、3回繰り返すと初日にさかのぼり給付金の返還が命じられます。
 Aさんは、難病で50代の男性です。外見上は、比較的元気に見えるため、なかなか病状を理解してもらえないといいます。就職活動をするようにと、頻繁に指導がはいりました。
 自立に向けた就労支援は必要ですが、稼働年齢だからと機械的に行わず、その人にあったやり方で、支援すべきです。
 
 稼働年齢の受給者が増えてはいるのは、深刻な不況と、精神的な疾患を抱えている人が増えていることがあります。
 来年度から、精神保健福祉士等の専門的な知識を持つ「メンタルケア支援員」が配置されます。非常に大事なことですが、民間への委託を考えているため、プライバシーが守られるか不安があります。
 正規職員で配置すべきです。それぞれに答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に生活保護行政についてのお尋ねです。
 まず、生活保護受給者に対する就労支援の実施についてです。
 生活保護の増加傾向が続く中、保護受給者個々の事情を考慮して、ていねいに自立を援助していくことが重要です。
 区は、専門の就労支援員を配置し、職業訓練の紹介や福祉施設等での就労体験など、様々なメニューを用意して、保護受給者の年齢や健康状態など、一人ひとりの実情に応じた就労支援に取り組んでおります。
 さらに、区とハローワークとの連携により、健康で就労意欲の高い保護受給者には、ハローワーク職員がマンツーマンで担当するなど、手厚い就労支援を行う取組みを昨年の12月からスタートいたしました。
 今後とも、保護受給者に寄り添いながら、きめ細かい支援を行ってまいります。

 最後に、生活保護受給者に対するメンタルケア支援事業についてのお尋ねです。
 区は、精神疾患を有する生活保護受給者の増加に対応するため、本年4月以降、専門医療機関に委託し、専門的支援が必要な保護受給者に対し、精神保健福祉士によるきめ細かな相談・支援を行ってまいります。
 その際、個人尉報の保護に関しましては、受託医療機関の職員には、区職員と同様に、法により守秘義務が課されております。さらに、区としても業務委託契約締結の際に、港区個人尉報保護条例の遵守を明記し、厳重に個人時報の保護を徹底してまいります。
 そうしたことから、メンタルケア支援員を正規職員として配置することは考えておりません。


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