区長は昨日の施政方針で、「区民の皆さんへの安全対策の着実な実施、放射能対策など迅速かつ効果的に進めることができたものと自負しております」。と述べました。これらの多くは区民の運動や、わが党区議団が提案し、区長も受け入れざるを得なくなり実施したものです。
今後4年間、「安全で安心できるまち」を実現するとし、6つの柱の実施を言っています。これから機会あるごとに、質問、提案していきますが、何点か指摘をしておきます。
まちづくりについてですが、「民間の開発事業者が地域特性に応じた、都市と住環境が調和した開発となるよう誘導する」と言っています。いままで、こういう街づくりを進めた結果、超高層ビルが林立する港区、60メートル以上のビルが265棟(計画中も含む)、100メートル以上が119棟、都内の4分の1が港区に集中する異常なまちになったではありませんか。
「待機児童の解消を最重要課題と位置づけ」ながら、保育園の建設には一言もふれていません。これで「子育てするなら港区」とはいえないはずです。
区民の強い願いである特別養護老人ホームの建設計画もありません。
区長は、「2期8年で築き上げた区民の皆さんとの信頼関係と、迅速で着実な取組が高い評価につながり、多くのご支持をいただいた」と述べました。しかし、10人のうち8人近くが投票に行かないのですから、「多くの支持を」と胸をはって言えるような状況ではないのではありませんか。
共産党区議団は、地方自治体・港区の役割である「住民の福祉の増進」のため、引き続き奮闘する決意を述べ、質問に入ります。
1. 原発事故から区民の命と健康を守るために
福島原発の事故は、人間社会と原発は共存できないことを明らかにしました。国民の運動の結果、5月5日に泊原発が止まり、(50基ある日本の)すべての原発が停止しました。
野田首相は財界の意向を受け、「電力不足」を口実に、原発の再稼動が必要だと、関西電力大飯原発3・4号機の再稼動を表明しました。しかし安全対策が不十分で危険な原発を再稼動させることは、「国民生活を守る」どころか「国民の命」を危険にさらすことです。
野田首相は「安全を保障する」といっていますが、政府が示した30項目の多くが先送りされ、安全の保障は全くありません。大飯原発のような出力が100万キロワット以上の原発を稼働すれば、毎日、広島型原発3発分の死の灰をつくり、処分できない大量の使用済核燃料がたまる一方です。
世論調査で、大飯原発の再稼動「反対」が5割を超え、しかも、再稼動がなく電気使用が制限された場合でも「我慢できる」77%(「毎日」6月4日付)、「不便があってもよい」60%(「日経」5月28日付)、これが国民の声です。
昨年の夏、冬、国民の節電努力によって乗り切りました。全原発が停止した今年の夏を乗り切れば、原発に依存しなくても生活できることが明らかになります。
原発事故の影響は、1年3カ月過ぎたいまも全く変わっていません。福島県民だけでも16万人、県外に6万人を超える人が避難を余儀なくされ、いつ帰れるか、見通しさえ経っていません。子どもの教育も大変です。福島原発の事故で避難した学校、県内で避難した小学校、中学校、高校、養護学校の計68校のうち、小・中学校12校がまだ休校中です。ここに通学する子どもは事故前の35.9%にとどまっています。小学校が29.9%、中学校が34.4%、高校が52.7%と、大変な状況です。
放射能を心配して小さい子ほど県内外に避難して帰ってきていません。
区長選で根本候補が演説しているところに、小学3~4年生の子どもが「げんぱつとめてね。がんばれ、ねもとさん」との手紙を持ってきました。子どもたちにこんな思いをさせているのが、原発事故なのです。港区主催の「講演会」で、若いお母さんが講師の先生に「ふたり目を産んでもいいんでしょうか」と、真剣に質問していました。これ以上区民にこのような思いをさせるべきではありません。
ところが、区長は「『脱原発めざす全国首長会議』に参加することは考えていない」旨の新聞報道がありました。施政方針で「区民の生命と財産を守る自治体の使命の重さを、改めて肝に銘じました」と言いますが、区民の気持ちを全く理解しないものです。
ドイツは福島原発事故のあと2022年までに原発をゼロにする決定を行いました。
日本共産党は、今こそ「原発ゼロの日本」への政治決断を行い、再生可能エネルギーの爆発的普及に力を尽くし、原発に依存しない持続可能な道筋を選択すべきと考えます。
国に、原発の再稼動はやめること。「原発ゼロ」の決断をするよう、申し入れるべきです。
区として、区民の命と健康を守る立場から、「港区原発ゼロ宣言」を行い、「脱原発をめざす首長会議」に参加し、首都東京の中心地から脱原発を全国に発信すべきです。
それぞれ答弁を求めます。
【区長答弁】
ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、原子力発電所の再稼動についてのお尋ねです。
まず、国に対し原子力発電所の再稼動をやめ、原発ゼロを決断するよう申し入れることについてです。
現在、国は、現行のエネルギー基本計画を見直し、平成24年夏を目途に、新しいエネルギー基本計画を策定するための検討を行っております。
原子力発電を含め、我が国のエネルギー政策は、国の責任において取り組むべきものであると考えております。
こうしたことから、区は、国に原子力発電所の再稼動をやめ、原発ゼロを決断するよう申し入れることについては考えておりませんが、今後とも、国の動向を注視してまいります。
次に「港区原発ゼロ宣言」と脱原発をめざす首長会議への参加についてのお尋ねです。
原子力発電を含め、我が国のエネルギー政策は、国の責任において取り組むべきものであると考えていることから、区として「港区原発ゼロ宣言」を行うことについては考えておりません。
また、区として、脱原発をめざす首長会議への参加は考えておりません。
2. 東京電力株式会社の電気料金値上げについて
東京電力は、「火力発電の燃料費等の大幅な増加により、電気料金の値上げをお願いさせていただくこととしました。」と値上げのお知らせを配布しています。
東電は、7月1日から家庭向け電気料金の値上げを(平均10.28%)を申請し、経済産業省の電気料金審査専門委員会で議論がされています。そもそも値上が必要かどうかの結論も出されていない中でのお知らせの配布などとんでもありません。
東電の一方的な電気料金の値上げについては、「原発事故のツケを国民にまわすな」との批判の声が上がっています。
長引く不況の元で国民の生活は大変です。電気料金の値上げが強行されればさらなる国民生活への打撃になることは間違いないとして、葛飾区議会や、横浜市議会などが電気料金の値上げの再考を求める意見書を全会一致で提出しています。
電力業界は破綻している核燃料サイクル計画推進のための「使用済み核燃料再処理等積立金」などの原発埋蔵金をため込んでいます。2011年3月末時点で5兆円にもなっています。この原発埋蔵金を活用すれば電気料金の値上げは必要ありません。
東電はもうけの91%が家庭向けなどの規制部門(販売電力量は4割)で自由化部門からは、たったの9%と言うことが明らかになりました。「東電の『電力使用量の多い』10社」の1キロワット時当たりの電気料金の平均単価は11.8円。家庭など向け平均23.34円で、大企業向けの2倍の料金単価になっています。
大企業には安く提供し、家庭や中小零細業者からはごっそり利益を上げている仕組みだったことが明らかになっています。
①こうしたいびつな構造は改めること。②電気料金のもとになる「総括原価」の内容を明らかにさせること。③家庭や中小零細業者への値上げを止めるよう、東電と国に申しいれるべきです。答弁を求めます。
事業部門の値上げにより、港区の128施設で、値上げの見込額は9,470万円です。多くが指定管理者が運営を担っています。中には特養ホームなど福祉施設も多く含まれます。値上げ分は区が負担すべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、東京電力の料金値上げについてのお尋ねです。
まず、東京電力及び国に対する電気料金値上げ見直し等の申し入れについてです。
本年3月、特別区長会を通じて、東京電力及び国に対し、今回の電気料金値上げの見直しや中小企業に対する特段の措置を講じるとともに、明確な情報開示などを行うごとについて要請いたしました。
今後も引き続き、国や東京電力の動向を注視してまいります。
次に、指定管理者が管理している施設の電気料金値上げ分を区が負担することについてのお尋ねです。
指定管理者制度を導入している施設の光熱水費は、直営施設と同様、区が負担しております。
3. 消費税増税の反対を国に申し入れることについて
民主、自民、公明3党は26日、消費税率を10%に引き上げ、社会保障の大改悪を押し付ける「一体改革」法案の衆院本会議採決を強行し、賛成多数で可決しました。3党が密室談合で決めた修正・新法案の8つを、わずか13時間余の審議で国民の声を聞く公聴会も開かずに強行したものです。全国で怒りがわきおこっています。
どの世論調査でも国民の50%~60%は消費税増税に反対しています。
日本経済は厳しい状況が続いています。今でも消費税の負担は大変で、自分の年金から消費税分を払っている。」「給料を減らしている。」「消費税は売り上げにかかる税金で、赤字でも払わなければならない。」区内の商店や中小業者からはこうした悲鳴が上がっています。
13日の公聴会で、全国商工会連合会長は(石沢義文氏)「消費税は規模が小さいほど価格転嫁が困難で、消費税が上がると滞納が急増し、必然的に廃業が増加する。こういう状況を前にして反対せざるを得ない・・・消費税の引き上げは疲弊した中小・小規模企業に大打撃を与えると思う」と述べ。全国商店街振興組合連合会理事長(坪井明治氏)は「消費マインドを冷え込ませ、低所得者層の購買意欲を抑制する。・・・中小小売り商業者は自己負担せざるを得ない苦しい立場に立たされている」といずれも増税に反対との、意見陳述をしました。
第1回定例会でも、消費税の中止を国に求めるよう取り上げました。区長は「消費税や年金などは国民生活に身近な問題であり多くの国民の理解が得られることが重要です。」と述べました。半数以上の国民が反対し、今国会での成立に反対は7割を超えており国民の理解が得られているとはいえません。
改めて、国に中止を申しいれるべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、消費税を増税しないよう国に申し入れることについてのお尋ねです。
消費税率の引き上げにつきましては、国民生活に多大な影響を及ぼすことから、多くの国民の理解が得られることが重要です。
現在、6月26日の衆議院本会議において、消費税率引き上げを含む社会保障と税の一体改革関連法案が可決され、同日、参議院に送付されております。
区といたしましては、消費税を増税しないよう国に申し入れることは考えておりませんが、基礎自治体として、区民生活や区政に与える影響等の情報収集に努めるとともに、今後も国の動向を注視してまいります。
4. 保育園の待機児童解消のために
2012年4月入園申し込みをされた方で認可保育園に入れなかった方は、1、138名です。依然として待機児童が解消されていません。
区長は施政方針で「待機児童の解消を最重要課題と位置づけ、保育園の定員拡大を図るとともに年齢別定員の弾力的運用や、パートタイム勤務者等の保育需要に対応する「みなと保育サポート事業」など多様な手法により待機児童の解消に取り組んで参ります」と述べています。
ところが、現在の待機児童解消の対応は、定員の弾力化による定員拡大、改築時の定員拡大による大規模保育園の建設、5年間という短期間の緊急暫定保育室の拡大、認証保育室の誘致等が主です。保育環境の質を考えると問題があります。
子どもは一日の大半を保育園で過ごします。保育園の役割は、ただ預かってもらうだけでなく、子どもを育てる大切な場所です。だからこそ、子育て世代の多くは、園庭が整備され、経験豊かな安定した職員が配置されている、認可保育園の入所を希望しています。今回入園申し込みをして、入園できなかった1,138名の声に応えて、認可保育園の建設を急ぐべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、認可保育園の建設についてのお尋ねです。
区はこれまで、港区独自の待機児童解消対策として緊急暫定保育施設の整備や私立認可保育園の誘致など様々な手法により、積極的に定員拡大に取り組んでまいりました。
このような取組みの結果、平成24年4月1日現在の待機児童数は175名と前年同月より90名減少いたしました。また、主に私立認可保育園や緊急暫定保育施設の0歳児、及び3歳児から5歳児では定員に空きが生じるなど、待機児童の状況にこれまでとは違う変化が生じるようになりました。
しかしながら、未だに1歳児を中心に待機児童が生じており、引き続き努力をしてまいります。
1歳児の待機児童に柔軟に対応するため、本年8月から桂坂保育室の1歳児の定員を45名増やし95名とするなど、年齢別の定員を弾力的に変更いたします。
また、本年9月には、新設の区立認可保育園の「神明保育園」、12月には新設の「た
かはま保育園」と私立認可保育園の「(仮称)六本木一丁目保育園」を開設し、認可保
育園で合計130名の定員拡大を図ります。
さらに、新たな事業として、本年4月からパー十タイム勤務や育児短時間勤務等の保護者の保育需要に対応するため、定期的保育を行う、みなと保育サポート事業を白金三丁目で実施し、利用者から好評を得ています。
今後も、待機児童の解消を最重要課題と位置付け、保育園の定員拡大を図るとともに、年齢別定員の弾力的運用や、みなと保育サポート事業など、多様な手法により待機児童の解消に取り組んでまいります。
再質問
《質問要旨》
4月に入れなかった方に対し調査を行い、利用しやすい地域に認証保育所を建設するべき。
《区長答弁要旨》
多様な保育需要に応えるために今年度4月からパートタイム勤務等の保育需要に対応するための新しい事業「みなと保育サポート事業」を開始した。こうした工夫もあわせ、様々な手法で待機児童解消のため全力で取り組んでいく。
5. 特養ホームの建設について
特養ホームの今年1月の申込者は365名です。申込者の内、要介護Ⅳ・Ⅴの方が55%を超えています。
私たちは、介護の実態を述べ、建設計画を持つべきだと度々質問していますが、区長は「2010年度に実施した保健福祉基礎調査では、「在宅サービスを利用している約8割の高齢者が、在宅での介護を希望している」」と答弁しています。
しかし、この実態は、家族の涙ぐましい努力で介護されているのです。
保健福祉基礎調査で、介護者は75才以上が2008年で22.2%、2011年には22.6%と、介護者の高齢化がすすんでいることが調査で明らかになっています。
老老介護が増加している中で、介護疲れで命を奪うという痛ましい事件が全国で発生しています。
区長は一昨日の施政方針で、特養ホームは「既存施設の中で、増床を図っていく」と述べていますが、これは特養ホームが不足していることを認めたものです。
待機者を出さないために早急に建設計画を持つべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、特別養準老人ホームの建設計画についてのお尋ねです。
区は、これまで特別養護老人ホームの整備を計画的に進め、平成22年3月にありすの杜南麻布が開設し、8施設、合計711床を整備しております。これは高齢者人口に対する整備率で23区で一番となっております。
今後とも、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、在宅で介護サービスを受けている約8割の方が、引き続き、在宅でのサービスを受けることを希望していることから、在宅介護を支える小規模多機能型居宅介護施設を整備するとともに、サービス付き高齢者向け住宅の整備を推進してまいります。
特別養護老人ホームにつきましては、高齢者人口及び要介護認定者数の推移や、特別養護老人ホームの入所申込者の動向を見極め、必要に応じて既存施設内での増床を図ってまいります。
再質問
《質問要旨》
小規模でもいいので、各地域に特別養護老人ホームを建設するべき。
《区長答弁要旨》
区は、これまで高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう区内の施設整備に努めてきた。小規模多機能型居宅施設やサービス付き高齢者向け住宅の早急な整備に取り組んでいる。また、在宅での介護への支援についても取り組んでいる。そうしたことを総合してこれからも高齢者施策の充実に取り組んでいく。今後の整備については、要介護認定者数の推移や入所申込者の動向を見極め、必要に応じ既存施設を活用する中で増床を図っていく。
6. 生活保護について
芸能人の母親のケースに乗じて、生活保護の改悪をすすめようとしています。生活保護は、憲法25条に基づき、国民の生存権を保障する最後のセフティーネット(安全網)です。
生活保護法上、親族による扶養は生活保護の要件ではありません。仕送りなどがされている場合に、その額を収入として認定し、保護額を減らすというものです。「扶養しなければ生活保護を受けさせない」というものではありません。
今回の芸能人の母親のケースは「不正受給」ではありません。そのことは、厚労相も認めています。
自民党は、基礎年金とのバランスなどの口実で生活保護費の10%引き下げを求めています。厚労相も「検討」することを表明しました。基礎年金が低いことが問題であって、根拠もなく「数字ありき」ですすめる問題ではありません。
生活保護費の10%引き下げは、保護受給世帯の生活を困難にするだけでなく、住民税などの非課税基準の引き下げ、保育料や各種減免制度の切り下げ、最低賃金や年金の引き下げ、就学援助の引き下げなど、国民全体に波及し、「負のスパイラル」を招くことになります。
生活保護の受給者の割合は、欧州先進諸国に比べても低く、貧困水準未満の世帯のうち生活保護を受けている世帯の割合(捕捉率)は、日本が2割程度なのに、欧州は5~8割と大きな差があります。
生活保護制度の見直しや、生活保護費の引き下げを行わないよう、国に要請すべきです。
答弁を求めます。
異様な生活保護報道は、自立をめざす人々への偏見を広げ、真に援助を求める人を排除しかねません。
港区として、援助を求める人を排除するような対応はしないこと。
答弁を求めます。
いま生活保護の相談が増えています。それは、非正規労働者のまん延による低賃金労働者や失業者の増大、脆弱(ぜいじゃく)な社会保障が原因です。
相談内容も複雑になり、時間もかかります。相談者に寄り添い、懇切、丁寧に相談にのり、きちっと対応するためには、一人のケースワーカーが受け持てる限度があります。
ケースワーカーの人員を増やすべきです。当面、法定配置基準、ケーワーカー一人当たり80世帯を超えている高輪総合支所への人員配置をすぐに実施すべきです。
職員の中には、社会福祉士の資格を持っている職員がいます。その方は福祉の仕事をめざしてきたはずです。また、生活保護の相談経験が豊かな職員がいます。
職員の希望を聞き、適材適所の人員配置を行うべきです。
それぞれ、答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、生活保護についてのお尋ねです。
まず、生活保護制度の見直しと保護費の引き下げをしないよう国に要請することについてです。
現在、生活保護制度や保護基準の見直しにつきまして、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会にそれぞれ専門の部会が設置され、検討されております。
生活保護制度につきましては、国の責任において対策が講じられるべきであり、区は、特別区区長会を通じた国に対する要望において、生活保護制度の充実・改善を求めております。
今後とも、生活保護制度の見直しに向けた国の動向を注視してまいります。
次に、援助を求める人を排除しない対応についてのお尋ねです。
生活保護は、国民生活の最後のセーフティネットとなる制度です。
今後とも法令等を遵守し、相談・申請時における適切な窓口対応と客観的な資料に基づく公正な審査と保護の決定を行うことで、真に保護を受けるべき人が生活保護を受けられるよう、適正に対応してまいります。
次に、高輪地区総合支所のケースワーカーの増員についてのお尋ねです。
高輪地区総合支所区民課生活福祉係のケースワーカーにつきましては、生活保護受給者数の増加に対応するため、平成23年度に1名増員したところです。さらに、その後の保護受給者数の増加に対応するため、総合支所間の連携・協力体制を強化するとともに、今年度から精神疾患を有する被保護者への自立支援を行うメンタルケア支援員を配置するなど、相談支援機能の充実を図っております。
今後とも、被保護者に寄添った、きめ細かな相談支援に支障が生じないよう、各地区総合支所のケースワーカーの適正配置に努めてまいります。
次に、ケースワーカーへの適材適所による職員配置についてのお尋ねです。
生活保護を担当するケースワーカーにつきましては、職員の希望や資格・経験などを総合的に勘案し、適材適所と職員の長期的な育成を考慮して配置しております。
また、公募制人事異動を活用して、福祉に強い意欲と能力をもった職員を庁内から募り、ケースワーカーとして配置しております。
今後とも、ケースワーカーの配置につきましては、国民生活の最後のセーフティーネットである生活保護を担うにふさわしい職員の配置と人材の育成に努めてまいります。
7. 奨学金の返済免除、給付型奨学金制度の創設について
家庭の経済状況によって、学ぶ機会が奪われてはなりません。そのために港区で実施している奨学金制度は大事です。しかし、いま深刻なのは、卒業してもなかなか就職できないことです。
総務省が5月29日に発表した労働力調査によると、4月の完全失業率(季節調整値)は、4.6%と前月に比べ0.1ポイント悪化しました。
完全失業者数は前月に比べて2万人増加、299万人になり、就業者数は前月に比べ16万人減少、6255万人となりました。
完全失業率(原数値)を年代別にみると、15~24才の青年層は9.9%。男性は10.6%、女性は9.7%でした。男女とも他の世代に比べ高水準となっています。
厚生労働省が同日発表した正社員の有効求人倍率は、前月に比べ0.02ポイント悪化の0.44倍でした。2人に1人分の求人もない状況が続いています。
大学・高校を出ても非正規で働かざるを得ない状況です。派遣やパート、契約社員など、いつ仕事を失うかわからない不安定な非正規労働者は年々増加傾向で35%(全雇用者に占める割合:11年は平均で35.2%)を超えています。1200万人以上が年収200万円以下という状況です。
厚生労働省の2011年の賃金構造基本統計調査によると、大卒の初任給は約20万円。卒業と同時に年収の倍の借金を抱え、「返済生活」が長年続きます。
給付型奨学金制度がないのは経済協力開発機構(OECD)の中で日本とアイスランドだけで、アイスランドは授業料が無償です。
私たちは奨学金の返済免除と、給付型の奨学金制度の創設を提案してきました。しかし、「返済金を原資にした奨学金」だからとか、「成績優秀者の免除を検討している」とか、卒業した人たちのおかれた状況をまじめに考えない答弁に終始しています。質問内容をみれば、区の方針の転換を求めていることはわかるはずです。
国に給付型奨学金制度を実施するよう、申し入れること。
日本高等学校教職員組合(日高教)の調査によると、47都道府県1742自治体のうち、返済の必要のない給付型奨学金制度があるのは234自治体(13.4%)に拡大しています。富山では53.3%、神奈川では48.5%、大分では44.4%、兵庫では41.5%(40%以上の自治体で実施しているところのみ)の自治体で実施しています。決してやれないことではないのです。やる気の問題です。
港区として、返済免除の実施、給付型奨学金制度の創設を実施すべきです。
それぞれ答弁を求めます。
【教育長答弁】
最初に、奨学金制度についてのお尋ねです。
まず、国に給付型奨学金制度を実施するよう申し入れることについてです。
家庭の状況にかかわらず就学意志のある高校生、大学生が、安心して勉強に打ち込める社会をつくることは、大切なことと考えております。
そのため、特別区教育長会からの要望も踏まえ、全国都市教育長協議会では、「平成24年度文教に関する国の施策並びに予算についての陳情」において、奨学金事業の充実を国に要望しております。
文部科学省は、このような要望も踏まえ、平成24年度に給付型奨学金事業の創設を企画しましたが、最終的には予算化されなかった経緯があります。
今後、このような文部科学省の奨学金制度の拡充の動きを注視するとともに、特別区教育長会などの機会を捉えて国に要望してまいります。
最後に、区として返済免除の実施と給付型奨学金制度を創設することについてのお尋ねです。
区の奨学金制度は、卒業後に返還していただく資金を原資として、次の世代の学生を支援するという基本理念と仕組みで運営しております。
そのため、現在の制度に、不慮の事故等の事情がある場合以外の返済免除制度を導入することは、多くの課題があり、慎重に検討する必要があると考えております。
今後、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金返還特別免除制度や、東京都福祉保健局の看護師等修学資金の返還免除制度などを参考にしながら、返済免除の導入について研究してまいります。
また、給付型の奨学金制度の創設につきましては、現行の奨学金制度の基本理念と仕組みが成り立たなくなることから、困難であると考えております。
なお、今後とも、事情により奨学金の返還が困難な方に対し、返還の猶予や返還方法の変更など、柔軟かつきめ細かな対応を行ってまいります。
再質問
《質問要旨》
卒業しても就職できない青年が増えている状況下では、新たな区独自の奨学金制度として、給付型奨学金制度を創出すべき。
《教育長答弁要旨》
給付型の奨学金は、多額の財源が必要となることが予想され、現行の財源を利用する場合には利用者が少なくなり、申込者全員が利用できなくなる恐れがある。
給付条件が厳格すぎると利用者が少なくなり、制度を創設した効果がなくなる。
今後とも、国の動きを注視していく。
8. 選挙の投票率向上について
先に行われた区長選挙の投票率は22.13%と、史上最低でした。
区政参加の有効な手段が選挙であるのに、この低投票率は、区長が日頃から唱えている 「参画と協働」からも、大きくかけ離れています。低投票率は区政への批判です。
区長は、選挙後の記者会見で、過去最低の低投票率について「慢心しないように、との私への戒め」と述べていますが、あらためて問います。
10人のうち8人近くが投票に行かず、当選したとはいえ、有権者の16.8%の支持しか得ていないことを認識し、今後の区政に活かすべきと思うがいかがですか。
答弁を求めます。
「今回は記号式で注目を集めている、目標として(投票率)30%突破」(選挙管理委員長、9日付読売)を掲げていた区長選でしたが、投票日当日、従来行われていた、防災無線での「投票日のお知らせ」も行わず、自動車による選挙啓発の活動もありませんでした。
鳴り物入りで実施した、記号式投票にも、区民からはさまざまな意見が寄せられています。
「私は、自分の意思としてしっかりと名前を書きたい」、「丸印の投票は、一票の重みが、これまでよりも軽くなったように感じられる」、「記号式投票は区長選挙だけ。これではますます混乱する」等の意見や、ゴム印のキャップがあけられず、投票所で大きな声で助けを求めていた人も見受けられたということです。
目玉としていた時間短縮も出来ず、経費も増え(総務委員会での理事者の説明)、投票率の向上にもつながらなかった記号式投票です。区民ばかりか「明るい選挙推進委員の一部にしか意見を聞いてこなかった」わけですから、記号式投票の是非を含め、改めて区民意見を聴く必要があります。
区長は、第三者機関に低投票率の原因調査を委託する意向のようですが、第三者機関に委託するのではなく、選挙管理委員会として、投票率向上のための議論を真剣に行い、具体化するよう、区長は要請すべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、選挙の投票率向上についてのお尋ねです。
まず、今後の区政運営についてです。
私は、今回の区長選挙におきまして得票率77%強の票を得て当選することができました。2期8年の実績と区政に取り組む姿勢が支持されたものと考えております。
しかしながら、投票率が前回を下回る結果となったことは、重く受止めております。
今後も幅広く区民の皆さんの意見に耳を傾け区政運営の基本姿勢である「参画と協働」をさらに推進するとともに、港区ならではの質の高い行政サービスを提供し、区民の誰もが安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現に取り組んでまいります。
最後に、選挙管理委員会に投票率向上の議論を要請することについてのお尋ねです。
今回の低投票率の原因を調査し、分析を行うことは、今後の区政運営にとって意義があるものと考えております。
なお、選挙管理委員会においては、これまでも投票率向上のための様々な取組みがされており、今後も、投票率を向上させるための取組みがされるものと理解しております。