2012年第3回港区議会定例会にあたり、日本共産党港区議団を代表して、区長に質問します。
1. 消費税の増税を許さないために
8月10日の参院本会議で民主、自民、公明の3党が消費税増税法の成立を強行しました。
消費税の10%への倍増は、すべての国民の暮らしとすべての中小企業、零細業者の営業を脅かし、脆弱な内需に決定的な打撃を与えます。
国民の多数が反対し、きわめて重大な結果が想定される法案を、3党は国民に隠れ、密談をくりかえして押し通しました。
民主党政権は「消費税は社会保障の充実のため」「消費税の税収はすべて社会保障にあてる」と説明してきました。
しかし、政府が社会保障と税の「一体改革」に盛り込んだのは、年金給付の削減、年金支給開始年齢の引き上げの検討、医療・介護の負担増等です。増税法案には法人税のいっそうの引き下げを検討する条項、増収分を公共事業に投入する条項までもぐりこませました。消費税の増税は社会保障にはまわらないのです。
月収30万円、年収400万円の夫婦と子ども2人の場合、消費税増税で12万3千円。あわせて子ども手当の減額、健康保険料の値上げ、年少扶養控除の廃止による住民税の増税等々で約30万円の負担増。給料一ヶ月分が消えてしまいます。
高齢者世帯も深刻です。年金160万円の夫と基礎年金79万円の妻の場合、消費税増税で8万3千円の負担増、年金給付額の毎年の減額、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の値上げ等々が追い打ちをかけます。
日本共産党など7野党・会派が提出した野田首相問責決議が、8月29日の参議院本会議で賛成多数で可決されました。問責決議は、消費税大増税を強行した民主、自民、公明の三党談合を断罪するもので、増税連合に文字通り痛打を与える結果となりました。
「毎日新聞」(13日付)の世論調査では、消費税が「暮らしに影響する」との回答が92%に達しているように増税の実施が迫ってくる中で、国民の中に不安と批判が広がっています。
消費税の増税に頼らなくても経済を立て直す道はあります。日本共産党は2月に「消費税の増税に頼らず、社会保障を再生・充実し、財政危機打開のための提言」を発表しました。第1段階は、破壊された社会保障を再生させる。第2段階は、先進水準の社会保障充実、合わせて国民所得を増やす改革をすすめる。その財源は、ムダ遣いの一掃と大企業や富裕層(課税所得3,000万円以上の人:約10万人、成人人口の0.1%)に応分の負担を求めることと合わせ、国民のふところを暖めるため、「ルールある経済社会」への転換すすめます。こうすれば、消費税の増税をしなくても大丈夫です。
国民生活を破壊し、中小企業・商店の経営を破壊し、日本経済を破綻させる消費税の増税の実施をしないよう、国に申し入れるべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
最初に、消費税の増税についてのお尋ねです。
消費税法の一部改正を含む「社会保障と税の一体改革関連法」は、8月10日の参議院本会議において成立し、8月22日に公布されました。
区としては、消費税の増税を実施しないよう国に申し入れることは考えておりませんが、基礎自治体として、区民生活や区政に与える影響等の情報収集に努めるとともに、今後も国の動向を注視してまいります。
2. 原発事故から区民の生命と健康を守るために
「ふくしま子ども未来プロジェクト」の人たちが、大震災と福島原発事故に遭った子どもたちのありのままの気持ちをまとめた本が刊行されました。郡山小学校3年生の:(カメカメの子さんの)「げんぱつって本当に安全?」との手記を紹介します。
げんぱつじこがおきる前はいつも畑でカエルをとったり土や草をとったりとても楽しかったけど、今はほうしゃ線のえいきょうで大すきなこういった全部のことができない。公園でもあそべないし、外でずっと長い時間あそんだりできない。今一番かなえたいことは、げんぱつのひがいがなくなること。そうしたらこれらの楽しいことがたくさんできる。早く外であそびたい。
しょう来赤ちゃんがうまれなかったらどうしよう。うまれたとしてもきけいの赤ちゃんがうまれたらすぐ死んでしまうかもしれない。いっこくも早くほうしゃ線のえいきょうがなくなってほしい。
もし、せいじかの人のおまごさんとかがふくしまにいたらどうするのか? こうじょうせんがんになるかもしれないのにここにおくのか? どうするの? とききたい。
げんぱつは本当に安全なのか? 大人の人によく考えてもらいたい。
原発事故がいかに子どもたちの心に傷をつけたのかが良くわかります。原発と人間社会は共存できないのです。
政府と電力会社は夏を前に「原発が動かなければ大停電になる」とか「日本経済が大混乱する」と言い続け、野田首相は「仮に計画停電を余儀なくされ、突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人が出ます」とまで言い切って、大飯原発を再稼働させました。夏場の電力を一番使う日でも、大飯原発3・4号機が稼働しなくても十分まかなえたことが明らかとなりました。再稼働を境に、毎週金曜日に行われている首相官邸前、国会周辺での抗議に集まる人は増え続けています。子ども連れや、会社帰りのサラリーマンなど多彩です。
原発事故の危険性だけでなく、行き場のない使用済み核燃料の危険性など、国民がしっかりと見抜いています。だから多くの国民が「原発ゼロの日本」を要求しているのです。
この間区長は、「原発問題やエネルギー問題は国の問題」だと、答弁を繰り返しています。しかし、区民の生命、とりわけ未来を担う子どもたちのことを考えたとき、地震列島の日本では、原発からの撤退を決断しなければなりません。
再生可能エネルギーの積極的な活用に先進的に取り組む自治体も増えています。原発からの脱却は可能です。
区民の命を守る立場の区長として、国に、「原発ゼロの日本」への政治決断を要求すべきです。
また、「脱原発をめざす首長会議」に参加すべきです。
それぞれ答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、原子力発電についてのお尋ねです。
まず、国に「原発ゼロの日本」への政治決断を要求することについてです。
現在、国は、現行のエネルギー基本計画を見直し、「革新的エネルギー・環境戦略」と「エネルギー基本計画」を策定するための検討を行っております。
我が国のエネルギー政策は、国民的議論を踏まえ、国の責任において取り組むべきものであると考えております。
こうしたことから、区は、国に「原発ゼロの日本」への政治決断を要求することについては考えておりませんが、引き続き、国の動向を注視してまいります。
次に、「脱原発をめざす首長会議」への参加についてのお尋ねです。
区として、「脱原発をめざす首長会議」への参加は、考えておりません。
3. 成年後見制度の充実について
みなと障害者福祉事業団サポートの会がまとめた、「障害者福祉課長との懇談会のまとめ」を読ませて頂きました。「障害のある子供達にとって親亡き後、成年後見がないと生きていけない」と港区の制度に対する、保護者の不安や要望が多く寄せられていました。
8月25・26日に行われた日本母親大会(IN新潟)に参加し、障害者問題の分科会に参加してきました。多くの発言は「親亡き後、この子が施設や地域で安心して生活していけるのか、そのことを考えると不安でならない」と言った親亡き後の問題でした。
重度の自閉症の母親からは「この子のために、親はいくら残していけば、子どもは生きていけるのか?実際のところを教えてほしい、そのためには、私は一生懸命がんばります」と胸を打つ発言がありました。
成年後見制度は、認知症や、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった方の権利を守る上で重要な制度ですが、なかなか進んでいません。
現在、港区では区の補助事業として、社会福祉協議会の成年後見利用支援センター「サポートみなと」が事業を担っています。
後見人の申し立てには、多くの時間と専門的資料などが必要なため、専門家に頼んでいるのが実態です。現状は弁護士や司法書士など専門家に依頼する場合が多く多額な費用がかかることから、経済的に余裕のある方しか利用できないと言った問題があります。
区の成年後見審判申立事業で、親族のいない方に代わって区長が申し立てをしますが、この制度の利用は、2010年度(H22年度)は高齢者が4件、障害者は0件、後見人への報酬の一部または全額助成制度は、高齢者が0件、障害者が1件とほとんど利用されていない状況です。
老人福祉法が改正され(第32条審判の請求)(改正2012年4月1日施行)、これまで都が行ってきた事業については区市町村の事業とし、これまで以上に区市町村がより主体的に地域の実状に応じて事業展開を図ることになりました。そのために、2012年度と2013年度の2カ年間を事業見直しにかかる「区市町村支援事業実施期間」と位置づけ、リーダー職員研修や後見人等養成事業のあり方検討会の開催・支援策の実施等に取り組み、2014年度(H26年)からは区市町村の事業となります。区としての役割はますます重要です。
1)今後、後見制度の必要性は高まります。区としても、制度の周知や改善を図り、判断能力の低下した方たちの生活や財産を守るための制度となるよう区としての取り組みを強化すべきです。
2)2014年度の区への移管がスムーズに行えるよう、早急に取り組むべきです。答弁を求めます。
成年後見制度を必要とする誰もが、適切な後見人を得ることができるようになるために、後見人の担い手を拡げることが求められています。
東京都は、H17年度から、「社会に貢献するという精神に基づき、後見業務を担う意欲のある人を“社会貢献型後見人”(市民後見人)の候補者として、養成するための基礎講座に取り組んでいます。港社協も昨年(H23年)から初めてこの養成講座に区民を2名派遣し、研修を受けてもらい、後見活動登録メンバーとして登録をしてもらっているとのことです。
今年度も養成講座受講者募集が行なわれ、9月7日に説明会が行われました。(参加者6名。昨年度は24名)
社会貢献型後見人制度を実施している区は、2011年度は18区です。制度を実施している区でも受任件数のない区も多く、受任があっても1件から数件と少ない区がほとんどというのが実態です。
市民後見制度では、品川区や世田谷区が進んでいることが知られています。品川区は社会福祉協議会が「後見監督人」になることで利用拡大を目指して取り組んでおり、昨年(2011年)3月の利用者は、法人後見受任件数が144名、後見監督受任件数が30件になっています。港区とは大きく違います。
港社協も社会貢献型後見人制度を始めるために「要綱」の整備に取りかかっているとのことです。区としても社協任せにせず支援を強化すべきです。
1)後見人制度を充実するため、区の財政支援を含め支援を強化すること
2)社会貢献型後見人制度を早期に実施するため、要綱の整備や市民後見人を担って いただく候補者を増やすためにも養成講座受講者を増やす事。事業主体となる社協 への支援を強化すること
3)区民や関係者の理解を深めるために、制度の説明会やシンポジュウムなどを数多く 実施すること。そのための財政支援を行うこと
4)区民の相談や、区長申し立てなどに適切に対応できるよう区の職員の研修を充実さ せること
4点について答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、成年後見制度の充実についてのお尋ねです。
まず、区の取り組みの強化についてです。
成年後見制度について、区は、PRや区長による審判申立てを担い、港区社会福祉協議会は、利用相談、親族による申立への支援や社会貢献型後見人等候補者の養成などを、担っています。
高齢者や障害者のうちで、判断能力が十分ではない方を、地域の方が支える仕組みである社会貢献型後見人、いわゆる市民後見人は、今後高齢者が増加することに伴い必要性が高まっており、その養成が大きな課題となっております。
区では、港区社会福祉協議会が実施している相談事業、成年後見制度申立て支援事業、成年後見人等候補者紹介事業及び社会貢献型後見人養成事業などを支援しております。
今後も区は、港区社会福祉協議会を引き続き支援すると共に、成年後見制度の普及啓発及び利用促進に努めてまいります。
次に、区の後見人等候補者養成事業の取組みについてのお尋ねです。
現在、港区社会福祉協議会では、東京都の実施する後見人等候補者養成事業を活用し、社会貢献型後見人の養成を行っております。
平成26年度から区市町村が主体的に地域の実情に応じた事業展開を図るため、東京都は今年度検討会を設置し、困難事例の対応や社会福祉協議会などの成年後見推進機関の機能強化等、専門性の高い取組みや区市町村における事業を円滑に実施するための支援策を検討しております。
区は、社会貢献型後見人の養成が円滑に進むよう、港区社会福祉協議会と協議しながら、着実に準備してまいります。
次に、港区社会福祉協議会への支援強化についてのお尋ねです。
区は、港区社会福祉協議会に対して、成年後見制度の講演会や講座の講師謝礼、社会貢献型後見人の研修費用、選定費用などの財政的支援を行っております。
今後も、成年後見制度の充実に向け、港区社会福祉協議会の取組みが着実に進むよう、支援方策について検討してまいります。
次に、社会貢献型後見人の担い手を増やすことについてのお尋ねです。
高齢者や障害者のうち、判断能力が十分ではない方の増加に伴い、安心して成年後見制度を利用できるよう、後見人候補者を確保する必要があります。
後見人は、高齢者や障害者の財産管理や、生活、医療、介護に関する契約や手続きを行う重要な役割があるため、社会貢献型後見人候補者の育成は丁寧に行っていく必要があります。
今後も区は、社会貢献型後見人の担い手を増やしていくため、社会貢献型後見人養成講座の充実と普及啓発について、港区社会福祉協議会への支援に努めてまいります。
次に、説明会等の開催についてのお尋ねです。
成年後見制度の充実のためには、区民の皆さんへの講演会や講座などの普及・啓発活動が必要です。
区では、広報みなと等を通じてPRに努めるとともに、総合支所で講演会を実施しております。
港区社会福祉協議会では、町会・自治会・地域団体などを対象とした成年後見制度の講演会や講座を実施しております。また、成年後見制度の申立てを検討している人を対象に親族向け後見人講座を行い、制度の周知と普及に取り組んでおります。
今後も区は、成年後見制度の利用促進に向け制度の周知に努めるとともに、港区社会福福祉協議会の取組みを支援してまいります。
次に、職員研修の充実についてのお尋ねです。
区民の皆さんの成年後見制度の利用を促進するには、職員が成年後見について適切に理解し、対応することが必要です。
現在、東京都が実施する「行政職員、成年後見制度推進機関職員のための成年後見制度基礎研修」や「専門研修」に、成年後見制度の窓口になる総合支所や高齢者相談センターの職員が参加し、知識や援助方法の習得に努めております。
また、港区社会福祉協議会では、金融機関、保健・医療・福祉関係機関職員向けの「成年後見制度基礎研修」を実施するとともに、成年後見制度に係る関係機関の連携を深めるため「福祉関係機関職員成年後見制度研修会を実施し、港区職員もこの研修を受講しております。
今後も区は、成年後見に係る様々な研修の機会を活用し、職員の知識及び技能の向上を図り、人材の育成に努めてまいります。
《再質問 1》
社会貢献型後見人(市民後見人)の担い手を増やすことについて
《質問要旨》
今のレベルの対応だけでは、後見人の養成は間に合わない。区の姿勢、取組みについてもう一度答弁を。
《区長答弁要旨》
社会貢献型後見人の必要性については十分認識している。区は社会福祉協議会と連携しながら、また、その活動を支援しながら、社会貢献型後見人候補者の育成及び普及啓発活動が着実に進むよう取り組んでいく。
4. 介護保険制度の改善と高齢者福祉の充実について
4月の介護報酬改訂で、訪問介護の家事援助にかかる時間区分の変更が行われました。これまで「1時間」で区切られてきたヘルパーの生活援助(掃除、洗濯、調理、買い物など)が45分とされ、介護報酬も大幅に切り下げられ、45分未満では1,900円、45分以上でも2,350円で打ち止めとなりました。
私たちは先の第2回定例会で「生活援助の時間短縮・介護報酬切り下げの撤回を国に求めること」を質問しましたが、「時間区分の見直しや報酬改定の影響等については、現在、介護事業者等へのアンケート調査を実施し、状況把握に努めていく」と答弁しています。
このほど、アンケートの調査がまとまりました。時間区分の変更で、介護事業者、利用者への影響がでていることが、この調査ではっきり解ります。
居宅介護支援事業者52事業者中32事業者から回答がありました。
利用者負担が引き上がったプランが876件。時間短縮の影響は、「1日で提供できていたサービスが2日を要するようになった」、「掃除や料理の時間が短くなり、サービスを途中で終了している利用者がいる」、「食事を弁当に切り替えた利用者がいる」「45分以上のサービスで今まで通りのサービスを提供することは難しい」、「独居の方の生活を支えられない」等サービスの後退が如実に表れています。
また、「区の一般サービスが必要である」と、港区への要望も出されています。
利用者からは「時間短縮により、掃除が不十分」、「45分では掃除や洗濯干しが終了しない」との苦情が寄せられ、「年金生活では生活が苦しくなり将来が不安」との声も記載されています。
国も区も在宅重視といっています。にもかかわらず、利用者の最も多い生活援助を後退させて、在宅をどうやって支えるというのでしょう。
地方自治体のやるべき仕事は福祉の充実です。長い間、社会のためにつくしてこられたおとしよりを大切にする政治こそ、区長のやるべき仕事ではないですか。
1.生活援助の時間短縮を撤回し、元に戻すこと。介護報酬の再改定、国庫負担の大幅増を国に求めること。
2.撤回するまでの間、時間短縮で影響が出ている人については、区の「高齢者家事援助サービス」で補完すること。
3.区の家事援助サービスの時間短縮はしないこと。利用者負担は増やさないこと。
それぞれ答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、介護保険制度の改善と高齢者福祉の充実についてのお尋ねです。
まず、生活援助の時間短縮の撤回と介護報酬の再改定及び国庫負担の大幅増を国に求めることについてです。
訪問介護の生活援助における時間区分の見直しや介護報酬の改定の影響等につきましては、介護事業者等へのアンケート調査をもとに、引き続き介護サービスの利用状況等の把握に努め、必要に応じて国に要望してまいります。
また、国庫負担のあり方につきましては、平成27年度から始まる次期介護保険事業計画の策定に向け、適宜、国に要望してまいります。
次に、区の高齢者家事援助サービスでの補完についてのお尋ねです。
本年4月の生活援助の時間区分の改正は、介護保険制度の問題であることから、区の高齢者家事援助サービスでの補完は適当ではないと考えております。
区は、今後も介護が必要な高齢者が、安心して在宅での生活が継続できるよう、心身の状況、生活環境や家族状況等を踏まえたケアプランの作成や、介護事業者の一層の技術の向上に向けた研修を実施し、必要な介護サービスを提供できるよう努めてまいります。
次に、区の家事援助サービスの時間短縮と利用者負担増を行わないようにすることについてのお尋ねです。
区の家事援助サービスは、日常生活を営むのに支障のある高齢者の家庭に、掃除、洗濯、買物等の家事援助を行うホームヘルパーを派遣する事業です。
ホームヘルパーの派遣時間と利用者負担にゆきましては、高齢者が地域で自立した生活を送れるよう検討すべきものと考えております。
5. 特別養護老人ホームの建設について
この間、機会ある毎に質問してきました。区長は、「必要に応じて既存の施設内(現在の特養ホーム内)での増床を図っていく」との答弁を繰り返しています。
1月末の申込者は365名、7月末の申込者は403名と半年間で38名も増えています。申込者のうち、介護Ⅳ・Ⅴの方が56%を超えています。
一年間に入所できるのは100名足らずで、(特養ホームの新設時を除く)待機者の3分の1にも満たない状況です。
区長がいうような「既存施設での増床」で解決できるような実態ではありません。
そもそも介護保険制度は、「保険料をいただくのですから、好きなサービスが利用できます」とスタートしました。特養に入りたい人は入れなければならないのです。区長のやっていることは契約違反です。
特養ホームの建設には一定の時間がかかります。だから、私たち議員団は、計画立案を急ぐよう提案しているのです。
特養ホーム入所希望者が入所できるよう、特養ホームの建設計画を早急に立てるべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、特別養護老人ホームの建設についてのお尋ねです。
区は、これまで特別養護老人ホームの整備を計画的に進め、平成22年3月に、ありすの杜南麻布を開設し、8施設、合計711床を整備しております。これは、高齢者人口に対する整備率で、23区で一番となっております。
特別養護老人ホームにつきましては、今後の高齢者人口及び要介護認定者数の推移や、特別養護老人ホームの入所申込者の動向を見極め、既存施設内での増床をはかってまいります。
併せて、在宅で介護サービスを受けている約8割の方が、引き続き、在宅でのサービスを受けることを希望していることから、在宅介護を支える小規模多機能型居宅介護施設や、サービス付き高齢者向け住宅の整備も引き続き進めてまいります。
《再質問 2》
特別養護老人ホームの建設について
《質問要旨》
入所希望者は減っておらず、増床だけでは間に合わない。対応をお願いしたい。
《区長答弁要旨》
区は、特別養護老人ホームの定員拡大に努める一方、在宅生活を支えるための事業の充実にも取り組んできた。今後も入所希望者の実情を把握し、在宅サービスの希望が多いことなども合わせ、サービス付き高齢者向け住宅あるいは小規模多機能型居宅介護施設の整備も含め、高齢者の方々の住まいの確保に取り組んでいく。
6. 特養ホームでの医療ケアについて
何年も待たされ、やっと特養ホームに入所でき、本人も家族も一安心と思っていたら、退所せざるを得ない結果となりました。この方は、のどにタンがつまらないように吸引が必要です。入所できた特養ホームが民間のため、夜間、看護師がいなくなり吸引ができません。家族が毎日泊まり込むわけにもいきません。結局、自宅に引き取らざる得なくなりました。引き取っても深刻です。家族が交替で泊まり込んで面倒を見なければなりません。
区立の白金の森や、港南の郷、サンサン赤坂には、区の責任で夜間でも看護師を一名配置していますから、吸引の必要な人も入所できます。ところが民間の特養ホームでは、夜間、看護師がいないため、いま紹介した事態です。
港区の責任で、夜間、看護師が配置できるよう、財政的な支援を行うべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、特別養護老人ホームの医療ケアについてのお尋ねです。
区は、特別養護老人ホームにおいて医療的ケアが必要な要介護度の高い高齢者に十分な介護を提供するため、定数を超えて施設に配置されている看護師の人件費を補助する制度を本年4月から開始しました。
現在まで、本制度の利用はありませんが、区内の民設の特別養護老人ホームに対し、さらに周知を行い、制度の利用が進むよう働きかけてまいります。
7. 低所得者も入居できるサービス付き高齢者住宅について
区営住宅シテイハイツ六本木の建て替えの際、サービス付き高齢者住宅を整備する計画です。
基本構想によると、設置予定戸数は30戸で、訪問看護ステーションと訪問介護ステーションを併設する計画です。
持ち家のない高齢者にとって住居の問題は深刻です。10年以上も公営住宅に申し込んでも入れず、住み慣れた港区を離れたご夫婦。管理人として夫婦で住み込みで働いていた方が、仕事を辞めるに当たって、都営にも区営にも入れず、港区を離れざるを得ませんでした。港区の高齢者住宅も2人で入れる住宅は「はなみずき三田」の4戸のみで、単身高齢者同様高齢者のみ世帯も深刻です。サービス付き高齢者住宅の整備に当たっては、最低でも次の要件を満たすべきです。
1)入居対象者を単身者と限定せず、高齢者のみ(夫婦・兄弟など)の世帯も対象とす べきです。
2)低所得者や生活保護受給者も入居可能な家賃設定とすべきです。答弁を求めます
【区長答弁】
次に、サービス付き高齢者向け住宅の整備についてのお尋ねです。
まず、入居対象者についてです。
平成22年度に実施した港区保健福祉基礎調査によれば、港区在住の65歳以上の高齢者の世帯状況は、単身者が最も多くなっております。
また、高齢者集合住宅の申し込み結果により、単身者の需要が高い状況にあります。
こうしたことから、区営住宅シティハイツ六本木でのサービス付き高齢者向け住宅の整備計画では、入居対象者を単身者としたものです。
次に、低所得者や生活保護受給者の家賃設定についてのお尋ねです。
区営住宅シティハイツ六本木に整備するサービス付き高齢者向け住宅の家賃は、国の「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」に基づき、近傍同種の住宅の家賃と均衡が取れた金額に設定することとなっています。
今後、サービス付き高齢者向け住宅を確保するにあたり、整備される地区の近傍同種の住宅家賃を調査・分析し、管理運営事業者や国、東京都と協議の上、家賃の設定を検討してまいります。
8. 生活保護について
生活保護受給者は、景気が回復せず増え続けています。中でも、40代、50代の働き盛りの人たちが増え、受給者が211万人を超えたことで、民主党政権と自民党が保護基準の引き下げや受給者の抑制、予算の削減をしようとしています。
こうした中、有名芸能人の母親の生活保護受給をめぐる問題が、国会で取り上げられ、マスコミなどはあたかも不正受給のような間違った報道をしています。
そもそも扶養は、生活保護受給の要件ではありません。
大友信勝中部学院大教授は、「生活保護の最大の問題は不正受給ではなく、貧困層の一部しか救えていない点である。一連の報道で、困窮した人が制度を利用しづらくなるのが心配だ」と述べています。
厚生労働省が2010年に明らかにした調査では、生活保護基準が定める最低生活費を下回る所得しか得ていない世帯が705万世帯にのぼり、そのうち生活保護を受給しているのは、108万世帯、15.3%(補足率)で、ヨーロッパ先進国の5~8割に比べ、格段に低いものとなっています。
憲法では、生きる権利として最低限度の生活が保障されています。
1.生活保護法の改悪を行わないよう国に求めること。
2.生活保護を必要としている人が、誰でもが受けられるよう、窓口での対応を行うこと。
3.扶養義務の拡大解釈につながるような、援助者の強要を行わないこと。
それぞれ答弁を求めます。
9月4日の日経新聞の夕刊に、港区高輪地区の生活保護の実態が掲載されています。
「ケースワーカー1人で100件以上を担当している」。「受給者にはハローワークと連携しながら就労を支援しているが、自立(就労)に結びつくのはわずか。1人1人に時間をかけ向き合い、働く意欲を取り戻させる為、月40~50時間もの残業をするケースワーカーもいる」と紹介しています。
複雑な相談内容や、不況下で相談件数が増えています。
こうした相談に親身に対応できるようケースワーカーの増員を行うべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、生活保護についてのお尋ねです。
まず、生活保護制度の見直しを行わないよう国に求めることについてです。
現在、国において生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて総合的に取り組むための「生活支援戦略」を今年の秋をめどに策定することになっており、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会に専門の部会が設置され、検討されております。
生活保護制度につきましては、国民生活の最後のセーフティーネットとして、国の責任において対策が講じられるべきであり、区は、特別区区長会を通じた国に対する要望において、生活保護制度の充実・改善を求めております。
今後とも、生活保護制度の見直しに向けた国の動向を注視してまいります。
次に、生活保護の相談窓口での対応についてのお尋ねです。
生活保護は、国民生活の最後のセーフティーネットとなる制度です。
今後とも法令等を遵守し、相談・申請時における適切な窓口対応と公正な審査に基づく保護の決定を行うことで、真に保護を必要とする人が生活保護を受けられるよう、適正に対応してまいります。
次に、生活保護の扶養義務についてのお尋ねです。
生活保護法では、扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとされています。このため区では、民法上の扶養義務者に対し、被保護者の扶養が可能であるかの照会を文書等で実施しております。ただし、DVなど本人の人権に配慮しなければならない特別な事情かある場合には扶養照会を差し控える場合があります。
今後も、生活保護の扶養義務の履行につきましては、関係法令に基づき、適正に実施してまいります。
次に、ケースワーカーの増員についてのお尋ねです。
生活保護受給者数の増加に対応するため、平成23年度に高輪地区総合支所のケースワーカーを1名増員し、また平成24年度には芝浦港南地区総合支所についても1名増員をしたところです。
さらに、各総合支所ケースワーカーの負担の平準化を図るため、各総合支所間の連携・協力体制を強化するとともに、今年度から精神疾患を有する被保護者への専門的な支援を行うメンタルケア支援員が各総合支所を巡回するなど、各総合支所生活福祉係の相談支援機能の充実を図っています。
今後も、被保護者に寄添った、きめ細かな相談支援を行うため、ケースワーカーの適正配置に努めてまいります。
9. 理・美容業の衛生水準向上のために
2012年4月から理・美容の開業に伴う衛生上必要な措置や基準が東京都から区へ移譲さました。
港区での条例制定に伴い、区内の理容師・美容師で作る「港区環境衛生協会」からは、昨年11月に「頭髪にかかる作業を行う場合は、流水式の洗髪設備を設けること」を追加するよう求める陳情書が区議会に提出されました。2012年6月には区長当てに同様の陳情書が出されています。
審議された保健福祉常任委員会でも、公衆衛生の立場からも、洗髪設備の設置についての意見が複数会派から出されました。
23区では、渋谷区が4月の新規条例策定の際に、「頭髪にかかる作業を行う場合は、流水式の洗髪設備を設けること」を明文化し、7月より施行されています。
衛生水準向上の観点から「流水式洗髪設備の設置を義務づけた」条例改正を早急に行うべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
最後に、理容業・美容業の衛生水準向上についてのお尋ねです。
理容、美容の業務は、健康で快適な生活を送る上で欠かせないものであり、施設における衛生水準の確保は重要な問題と考えております。
理容所、美容所の開設にあたって必要な衛生措置や構造設備については、港区理容師法施行条例及び港区美容師法施行条例で定めております。
洗髪設備の設置義務化につきましては、公衆衛生確保等の観点から、区民、関係団体の意見を踏まえ、引き続き検討を進めてまいります。