日本共産党 港区議団
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日本共産党港区議員団の一般質問


質問者 大滝 実 議員


 日本共産党港区議員団の一員として、区長ならびに教育長に質問します。

1. NECの1万人リストラによる雇用・地域への影響と今後の対策について

 電機産業全体で大規模なリストラ計画が相次いで発表され、昨年以降12万人を超えるものとなっています。その中で区内に本社があるNECでは、1万人のリストラが実施され、8月28日に結果を公表しましたが、1万人のリストラをほぼ達成する見込みのようです。
 NECで働く人の告発に寄れば、表向きは「希望退職の募集」といっても実際は個人面接で、「ここにはもう君の仕事は無い。残っても役職も給料もどうなるか分からない」「今が止めるチャンス。再就職サービスを受けろ」など、人権を無視するような「退職強要」が行われ、業務命令だからと「会社を辞める」と言うまで執拗に行われ、中には10回も面接させられた人もいるとのことです。わが党の田村智子議員が参院決算委員会で「実態を調査し、直ちに止めさせるべき」と迫り、小宮山厚労相は「NECの例についても出向いて調査し、必要な指導をすることが必要と思う」と答えています。会社で最も大切なのは従業員と関連会社の労働者です。その人たちが会社に誇りを持ち、意欲を持ってお互い力を合わせて生き生きと働くことによって技術力、生産力がアップし会社の価値、業績が高まります。業績が悪くなったからと労働者を切りすてるのは逆です。すでに、NECでは3年前にも1万5千人規模の人員削減を実施しており、こうしたやり方で繰り返し大規模なリストラを進めるならば下請けや、関連企業にも広がり雇用破壊を招きます。
 NECは本社ビルを始め、グループ企業が田町駅周辺に集中し、その規模は4万5千人ともなり地域経済にも大きな影響を及ぼします。朝食や昼食、仕事帰りの一杯など田町駅周辺の飲食店を多くの労働者が利用しています。特に新年会、忘年会、歓送迎会、期末等の打ち上げなど、周辺の飲食店はNECおよびグループの労働者であふれています。
 都心港区は、電機産業大手の本社・関連企業が集中しています。その大半が大規模なリストラを計画・進行中です。大規模なリストラは、働く人の基本的人権を破壊し、今でさえ個人消費の落ち込みで冷えている地域経済に冷や水を掛けるようなものです。
 雇用と暮らしを守り、地域経済を守り、ルールある経済社会を確立していくために
①NECの人権を無視した退職強要、雇用破壊を招くリストラは、二度と行わないよ   う申し入れること
②田町駅周辺(三田口、芝浦口)の商店への影響について調査を行うこと
③港区に働く人の基本的人権を守り、企業の社会的責任(CSR)を果たさせるた  めのルール作りとして、企業のリストラ計画の区への事前届出の仕組みを作ること
 答弁を求めます

【区長答弁】
 最初に、区内企業のリストラによる雇用、地域への影響と今後の対策についてのお尋ねです。
 まず、区内企業への申入れについてです。
厳しい経済情勢の下、企業が雇用を継続するためには、国の総合的な経済対策、雇用対策が何より重要であると考えます。
 国は、労働問題に関する相談、情報の提供を行う総合労働相談コーナーを設置するとともに、雇用保険を受給できない求職者に対する支援制度の創設や雇用創出基金事業の拡充等、様々な対策を講じております。
 区といたしましては、ハローワーク品川及び東京商工会議所港支部との共催により就職面接会を実施し、また労働問題に関する対処方法等をわかりやすく解説した啓発冊子を配布するなど、雇用対策の取組を進めております。
 区として、区内企業に対し、特段の申し入れをすることは考えておりませんが、今後ともきめ細かな就労支援に努めてまいります。

 次に、田町駅周辺の商店への影響調査についてのお尋ねです。
 区はこれまでも、商店街振興事業の実施等を通じて、田町駅周辺の商店をはじめ区内商店街の方々と、随時、意見交換を行っております。 
 田町駅周辺の商店を対象とした調査の予定はありませんが、商店街の方々ときめ細かに相談を重ねながら、地域の商店街を取り巻く状況の実態把握に努めてまいります。

 次に、企業のリストラ計画の区への事前届出の仕組みについてのお尋ねです。
 雇用対策法では、事業規模の縮小等により一定期間内に相当数の離職者が発生する場合、事業主は、法第27条に基づく大量雇用変動の届出等をハローワークに提出すべきこととされております。
 国は、法の規定に基づき雇用対策を実施し、労働者の職業の安定を図るものとなっております。
 区への事前届出の仕組みを作ることについては考えておりませんが、区といたしましては、今後ともきめ細かな就労支援に努めてまいります。

《再質問 1》
 区内企業のリストラによる雇用、地域への影響と今後の対策について
《質問要旨》
 区内企業ヘリストラを行わないように申し入れをするべき
《区長答弁要旨》
 区内企業への直接の申し入れは考えていないが、区内で就業する労働者の労働条件、環境の整備については、区としても努力をしているところである。



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2. 公契約条例について

 公共工事、公共サービスの品質確保と生活できる賃金への底上げを定める公契約条例が、千葉県野田市で2009年9月に制定以降、条例を制定する自治体が各地で広がり、都内では多摩市に続き、先の6月定例会で国分寺市、渋谷区で制定されました。
 ことに23区で初めて、しかも都心渋谷区の制定は、同じ都心区港区として、公共工事を担っている人たちに希望を与えるものとなっています。
 条例は、その目的で「公契約条例に係る業務に従事する労働者等の適正な労働条件の確保」、「事業の質の向上」、「区民が安心して暮らすことができる地域社会の実現」を掲げています。

 党議員団は、野田市などの例を上げ、公契約条例を制定すべきと質問してきました。
 今年第1回定例会での質問に、区長は、「条例を制定した自治体や、制定を検討中の自治体の取り組みについて情報収集する」と答弁しています。
 その結果、区は野田市、多摩市、渋谷区などの調査を実施しています。
 この調査を生かし、低入札価格でしわ寄せされ、低賃金に苦しむ下請業者や労働者を地方自治体がつくり出すことがないよう、区でも早期に公契約条例を制定すべきです。答弁を求めます。

 国際的にはILOにより国際労働基準として公契約条例を定めています。
 公契約法を早期に制定するよう国に求めるべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、公契約条例についてのお尋ねです。
 まず、早期に公契約条例を制定することについてです。
 本年5月以降、既に公契約条例を制定した野田市、川崎市、相模原市、多摩市、渋谷区へ職員を派遣し各自治体の取組みを調査いたしました。
 条例制定の目的や条例を適用する契約の種類及び範囲、また労働者に支払われるべき報酬の基準額など、条例の内容等について調査してまいりました。
 今後も、条例を制定した自治体や制定を検討中の自治体の取組みについて、情報収集するなど引き続き研究をしてまいります。 

 次に公契約法を早期に制定するよう国に求めることについてのお尋ねです。
 労働条件は、本来、事業主と労働者との間で決められることが基本であり、最低賃金法や労働基準法等、国全体の法制度の中で整理されているものです。
 区といたしましては、現在、国に対して公契約法の制定を求めていくことは考えておりません。


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3. 避難所に「防災対応型太陽光発電システム」の導入を求めるための質問

 東日本大震災では、停電のため多くの避難所で照明が使えませんでした。そうしたことを教訓に、仙台市が市内の小中学校などの避難所約200カ所に太陽光発電と蓄電池を組み合わせた「防災対応型太陽光発電システム」を導入するとの記事が報道されました。
 一般的な太陽光発電システムでは、電力会社が停電すると太陽光発電システムも自動的に停止する仕組みになっており、電力供給ができなくなっているため、停電時でも電力供給可能な防災対応型太陽光発電が注目を浴びています。区としても早急に避難所となる学校等に、「 防災対応型太陽光発電システム」の導入を図るべきです。答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、避難所への防災対応型太陽光発電システムの導入についてのお尋ねです。
 東日本大震災の教訓を踏まえると、避難所における電源確保は、極めて重要です。
 このため区では、東日本大震災後、地球温暖化防止の取組と災害時の電源確保対策として、停電時にも電気を供給することができる自立運転機能付太陽光発電システムを、高輪子ども中高生プラザ、みなと保健所、プラザ神明に設置をいたしました。
 一方、防災対応型太陽光発電システムについては、蓄電池を備えているため、経費面や設置場所などの面で、いくつかの課題があります。
 避難所への防災対応型太陽光発電システムの導入については、他団体の導入事例を参考に、今後検討してまいります。


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4. 避難所となる学校へ安全に避難できるよう、人の配置を求める質問

 内閣府が8月29日に南海トラフ巨大地震の被害推計を公表し、最大で32万3000人が死亡するとの発表にショックが広がりました。地震後すぐに避難を開始する、建物の耐震化率を100%にするといった最大限の対策を講じれば、犠牲者を6万1千人にまで抑えられるということで、災害対策の重要性が指摘されました。
 改めて避難所の見直しが求められます。避難所については、これまでもたびたび、避難所となる学校に、機械警備だけでなく人の配置を求める質問を行ってきました。区の答弁は、「万が一に備え、学校の近隣に居住する職員、1校につき3人程度を指定して学校を開放するための鍵を託しています。地域防災協議会や町会と連携して門扉や防災倉庫の鍵を預けている。地域の方には非常手段として玄関のガラスを割って入ってもかまわないと話している」ので、学校関係者が帰宅した後に震災が発生しても学校が避難所としての機能を果たせるとの答弁です。避難所となる学校の鍵の預かりについても地域防災協議会・町会などでの預かりは広がっていません。仮に鍵を預かっている人がいてもその人が一番に学校に駆けつけられるとの保障はありません。
 避難所の早期開設、安全な運営のためにも、人の配置をすべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 避難所となる施設に、常時、人を配置することについてのお尋ねです。
 現在、避難所の開設は、職員が避難所へ向い、その業務にあたるほか、避難所の開設・運営訓練を実施している、防災住民組織に事前に鍵を預け、住民の方が開設する体制となっております。
 迅速な避難所の開設とその後の運営は、避難所となっている施設の近くに住み、避難所の開設・運営訓練を積み重ねている、防災住民組織が主体的に行うことが、より実効性があると考えております。今後も防災住民組織の活動を支援し、円滑な避難所の開設・運営ができるよう努めてまいります。
 こうしたことから、避難所となる施設に、常時、人を配置することについては考えておりません。


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5. 小中一貫教育の全体への拡大を見直すことについて

 党区議団は 小中一貫教育の拡大は、お台場学園での時間をかけた十分な検証を行った上で決めるべきと、繰り返し求めてきました。 先日、区民文教常任委員会に、お台場学園で2年間の検証を行った「港区立小中一貫教育校推進・検証委員会報告書」が報告されましたが、「検証委員会」が「小中一貫教育校の推進を図る」ことを目的としているため、意図的に肯定的な面が突き出された報告になっていると言わざるを得ないものでした。
 「学力の向上について」で「ODAIBAプラン」の考察では「児童・生徒が意欲的に学習や行事に取り組んでいると、8割以上の学校関係者が評価している」となっていますが、「8割以上」の根拠も示さずに取って付けたような身内の評価を上げていることはその典型です。 プランへの評価でも「学力の向上が期待できる」という設問に、中学校保護者の「そう思う」は20%しかなく、中学校教員の「プランに沿った授業」に努めているのは50%で、いずれも前年より減っていますが、「どちらかといえばそう思う」という消極的な回答を合わせて評価が上がっているようにしたものです。
 小中一貫教育校になったことに対する受け止め方についても、「中学生の否定的な意見の割合は大幅な減少」となっていますが、その分「わからない」と言う回答が大幅に増えたもので、良いと思えないのが実態です。保護者の受け止めでも「良くなったと感じることがありますか」の問に、小学校保護者では「特に感じない」が最も多く、「中一ギャップ」の解消が導入の目的にしていますが、中学校保護者からは「いじめや不登校」が「良くなったと感じている」との回答は2,2%しかなく効果は上がっているとは言えません。
 2年間の検証結果からは確信を持って「推進を」と言える内容ではありません。区内全体では、今年度の公立中学校への進学は6割になっているのに、小中一貫校の成果を誇る、港陽小学校から港陽中学校へは(お台場学園7年生)卒業した48人中20人で4割しか進学していません。
 施設一体型小中一貫教育校ですらこうした現状の中で、施設隣接型小中一貫教育校となれば中学校教員が小学校授業に行くための移動などの課題も出てきますが、平成26年度の、わずか1年間の試行で検証の余地もなく27年度から本格開校、さらにカリキュラム連携型小中一貫教育の同時実施により全ての学校で小中一貫教育をすすめるという計画は、区民の意見も十分に聞かない暴走と言わざるを得ません。
 ①引き続きお台場学園の検証を行い、その結果を区民に知らせ、意見を聞くなどしてから全校に広げるか検討すべきです。 小中一貫教育の全校への実施計画は見直すこと。
 ② 今後の検証については、「全校への小中一貫校推進」との目的を変え、客観的な検証・評価が行えるようにすること。また、他自治体の実践からの教訓、問題点なども参考にすること。そのため委員についても相応しい人に変えること。
 答弁を求めます。

【教育長答弁】
 最初に、小中一貫教育についてのお尋ねです。
 まず、小中一貫教育の実施計画についてです。
 お台場学園では、平成22年度から2年間にわたり小中一貫教育校の検証を行ってまいりました。検証結果につきましては、今後も区民の皆さんに様々な機会をとらえ説明し、ご意見を伺ってまいります。
 また、本年度も引き続き小中一貫教育校における検証・研究を続け、この研究の成果につきましては、平成25年1月25日に、港区教育委員会研究パイロット校の研究発表会で、区内外へ発信してまいります。

 学力の向上、豊かな人間性や自ら学ぶ力など生きる力を育成するためには、今まで小中学校の校種ごとに行われてきた教育活動を連続させ、創意工夫を加えた、学習指導や生活指導を展開することが必要だと考えております。
 そのために、義務教育の9年間を見通した小中一貫教育を計画的に進め、さらなる教育の質の向上を目指してまいります。

 次に、小中一貫教育の検証についてのお尋ねです。
 港区立小中一貫教育推進・検証委員会では、学校や地域をよく理解している方々である学識経験者、学校関係者、お台場学園PTA代表、青少年対策地区委員会代表の方を委員とし、保護者・児童・生徒等からのアンケートやヒヤリングの結果を活用して、客観的な検証及び評価を行いました。
 現在、区の園長会や校長会の研究組織である教育経営協議会では、小中一貫教育に関して、6つの自治体、計10校を訪問し、各校の効果や課題を分析し、多面的な視点から研究を進めております。
 これらの検証や研究を踏まえて課題の解決を図り、地域の特色を活かした小中一貫教育を計画的に推進してまいります。


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6. 学校選択希望制の見直しについて

 学校選択希望制が導入されて10年目になります。これまでも制度の問題として、学校と地域の希薄化、学校間格差を激しくする、そして東日本大震災の教訓に基づき、防災上の子どもの安全確保などから学校選択希望制の見直しを求めてきました。
 多摩市では緊急時などの児童・生徒の安全確保の対応が困難になるなどから来年度から中止の方針です。杉並区では校舎の新しさなど、教育内容と関係ないことで学校が選ばれることや、東日本大震災を機に登下校時の安全を重視する声の高まりから、2016年度に廃止する方針を決めました。江東区でも見直しの議論がされているところです。 教育委員会は、これまで小学校の選択希望制は、隣接する学区域の学校を選択の対象としているから、安全や地域とのかかわりに問題がないような答弁をしていますが、隣同士で子どもが違う学校に行っていれば災害時の連携、学校との関わりには違いが生じてきます。
 文部科学省のまとめた学校選択制に関する意見でも「地域と学校のつながりが希薄になり、自分たちの生活拠点に密着した題材を扱う学習指導を行うことに支障を生じたり、地域住民が通学の安全確保に協力してくれることなどが行いにくくなる」ことなどが上げられています。
 改めて、児童・生徒の安全、学校と地域の関わりなどの観点から、保護者だけでなく地域の意見を踏まえて見直しを図るべきです。答弁を求めます。

【教育長答弁】
 最後に、学校選択希望制の見直しについてのお尋ねです。
 学校選択希望制の導入以降実施している保護者アンケートでは、約8割の保護者が制度継続の意向を示しております。また、昨年度に実施した港区民世論調査においても、約5割の区民が制度の継続を望んでいる結果となっております。
 一方、アンケート等においては、通学時の安全面や地域離れについてのご意見もいただいております。
 学校選択希望制については、保護者や地域の方々のご意見を聴きながら、引き続き検討してまいります。


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