1. 消費税増税ストップについて
最初の質問は、区民の生活と商店・中小企業の経営を破壊する消費税増税ストップについてです。
党区議団が区長に増税中止を「国に求めるよう」に要請しても、「消費税の増税を実施しないよう国に申し入れはしない」、「区民生活や区政に与える影響等の情報収集に努めるとともに、今後とも国の動向を注視していく」と、区民や商店・中小企業の置かれた実態をまったく省みないひどい態度です。
消費税が増税されたら「商売を続けられない」、年金を減らされた上に消費税増税では「生活ができない」、悲鳴が上がっています。区民生活に与える影響の情報、どんな情報を集めるというのですか。
国が発表した2011年の民間平均給与は、ピークだった1997年から年間58万円も下がっています。年金手取り額はこの10年前と比べて28万円も減少しています。今国会の最終版、どさくさ紛れに、3年間で2.5%削減する年金改悪法案をわずか衆参で5時間余の審議で採決を強行しました。その後も毎年0.9%ずつ削減する考えです。介護保険、国民健康保険、厚生年金等々も上がり続けます。年金の削減は、高齢者だけの問題ではありません。若者がいずれ受け取る年金が下がるということです。
社会保障と税の一体改革による負担増(2011年と2016年の比較)が政府の試算で明らかとなりました。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の求めに内閣府が提出したものです。40歳未満の単身世帯で年収300万円の場合、11万2300円増、年収500万円の場合、16万6300円増。40歳以上の夫:専業主婦世帯で年収700万円の場合、26万3300円増。40歳以上の夫:専業主婦:小学生の子ども2人で年収700万円の場合、36万9300円増、900万円の場合41万9千円増。40歳以上の共働き:小学生の子ども2人、夫の年収300万円、妻の年収200万円の場合、30万7900円増。75歳以上の年金生活世帯:夫婦で240万円の場合、10万~7万4400円増、単身で180万円の年金の場合、6万4400円~5万1400円増となります。一ヶ月分の 賃金が消えてしまいます。
消費税増税が国会で決まったとたん、マスコミが様々な試算を報道していますから、今更情報収集など必要ないはずです。
消費税に頼らない別の途があります。日本共産党が提案している「経済提言」です。社会保障を再生・充実させながら、税金の無駄遣いの一掃や、富裕層や大企業に応分の負担を求める「応能負担」の税制を提案しています。同時に、国民の所得を増やすことを提言しています。
区民生活と商店・中小企業の経営を破壊し、日本経済を破綻に導く、消費税増税の中止を国に求めるべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
最初に、消費税増税の中止を国に求めることについてのお尋ねです。
消費税率の引上げにつきましては、経済状況を好転させることを条件としており、経済の活性化等に向けて、国は、総合的な施策やその他必要な措置を講じるとしています。
区といたしましては、消費税の増税を中止するよう国に申し入れることは考えておりませんが、区民生活や区政に与える影響等の情報収集に努めるとともに、今後も国の動向を注視してまいります。
《再質問》
消費税増税中止を国に求めることについて
《質問要旨》
増大する生活保護受給者にも消費税増税は重くのしかかる。
このことを踏まえて、国に中止を要望してもらいたい。
《答弁要旨》
増税の時期については、経済状況を好転させることが条件とされている。同時に、現在国において、給付付き税額控除や軽減税率など低所得者対策その他様々な負担を減らす対策を検討している。区としては、そうした対策の動向を注視するとともに、区民生活や区政に対する具体的な影響について引き続き情報収集に努める。
2. 浜松町西口開発計画について
次は、浜松町西口開発計画についてです。
この計画は、「都市再生特別地区」の指定で、*用途地域及び特別用途地域による用途制限、*用途地域による容積率制限、*斜線制限、*高度地区による高さ制限、*日影規制 がすべてなくなり、容積率や高さの制限がなくなり、天井知らずになります。都市計画も事業者が提案したものを区がチェックして、区の計画として提案します。世界貿易センタービルディングや、国際興業などが提案した計画と一字一句違わないものが、区の「原案」、「案」として決められています。事業者言いなりです。200メートルもの超高層ビルが2棟も建つもので、基準容積率が612%なのに、計画では1120%と、1.83倍の容積です。「特別地区」はなんでもありで、大企業の「もうけ」を保障する以外のなにものでもありません。
浜松町西口地区計画(案)の目標で「旧芝離宮恩賜庭園や大門通りの街並みとの調和に配慮」とか、整備の方針で「大門通りや旧芝離宮恩賜庭園等、周辺市街地と調和した魅力ある都市景観の形成」と言いながら、200メートルもの超高層ビルを2棟も建てる計画、まったく矛盾しています。区長はこの計画を推進しようとしています。
一方、環境影響評価書(案)に対する区長の意見は、「大門通りの景観や旧芝離宮恩賜庭園からの景観について、圧迫感等の軽減に努めること。」と、景観を問題にしています。当初案は「防風植栽が適切に生育しないおそれがある」こと。都知事への意見では、「評価地点を追加するとともに、良好な風環境の実現のため、関係者間での協議を」と、風害も問題にしています。200メートルもの超高層ビルを建てるから景観や、風害が問題になるのです。環境影響評価書(案)で危惧する問題を解決することができる立場にいるのが区長です。
事業者に超高層ビルの計画の見直しを求めるべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、浜松町駅西口開発計画についてのお尋ねです。
区は、浜松町駅西口における交通結節機能の強化など、当地区が抱えている課題を解決する必要があり、今回の開発計画はこれらの課題解決に有効なものと考えております。
また、浜松町駅西口地区地区計画(案)の目標においては、「街並みとの調和に配慮」し、浜松町駅としての「拠点性と象徴性を備える」こととしており、今回の開発計画は、この目標に合致しております。
区は、これまでも開発計画に対し、景観や環境への影響について、港区景観計画に基づく指導や環境アセスメントによる指導を行っております。
今後も、建物の色彩や意匠によって、周辺にあたえる圧迫感の軽減を行うとともに、良好な風環境を実現することなど、周辺環境への影響を低減するよう事業者を指導してまいります。
3. 子ども・子育て新システムと待機児童解消について
次は、子ども・子育て新システムと待機児童解消についてです。
先の国会で、民主党・自民党・公明党3党の暴挙により、子ども・子育て支援法など子ども・子育て関連3法が改正されました。
問題となっていた児童福祉法第24条「市町村の保育実施義務」は、関係者の共同で運動が広がり、24条1項として残されましたが、実施範囲の責任は認可保育所のみです。認定こども園や保育ママ、小規模保育園などの整備は、自治体は計画を立てるなどすればいいというもので、新システム導入は「待機児童解消のため」といっているが、これでは公的保育の放棄に他なりません。
新システムのモデルは介護保険です。国会や先の決算委員会での質疑からさまざまな問題点が浮き彫りになっています。
先ず認定制度です。
保護者の申請に基づき自治体が保育の必要性と必要量を認定します。
保護者の就労が基本とされていますから、保護者がパートの場合、短時間利用の区分と認定され、その人が長時間保育を希望する場合、保育料が別に徴収されるということにもなりかねません。
さらに契約の問題です。
今は区と保護者との契約になっていますが、事業者と利用者との直接契約になる場合「園が決まるまで、何園も申し込みをしなければならないのではないか」との決算委員会での私の質問に、「保護者がいくつも園をまわらなくてもいいように、調整を行う。一人親家庭や虐待の恐れのあるケースの子どもについては、優先利用の認定を行い優先的に保育園と契約を結んでもらうようにする。利用可能な園のあっせん、利用の要請をおこなう」との答弁でした。
区は優先利用の認定を行い、優先的に施設と契約を結んでもらうよう要請はするが、困っている人が優先的に必ず入所できるという保障はありません。例えば、子どもが障害を持っている場合も同様で、園側にその受け入れの意思が無ければ、立場の弱い子どもと保護者にしわ寄せがいくのはあきらかです。
保育園の運営上の問題もあります。
認定制度が導入されることにより短時間保育と長時間保育が混在する。そのため、集団保育が難しくなり、園の行事にも支障が生じかねません。さらに、保育の必要量の長短が、そのまま保育園の収入に影響し、経営を圧迫しかねません。働く人達の賃金など労働条件にも大きく影響し、派遣やパートの保育士がふえることになります。
国の財政的支援も今後どうなるか分かりません。だからこそ、「財政的支援がなければ、震災後の不安のなか、老朽化施設の改修も困難」と、全国1万カ所以上の私立保育所をになってきた社会福祉法人が「全てつぶれてしまう」と強く危惧しているのです。
さまざまな問題点を含んだ新システムについて、国に対してやめるよう求めるべきです。
答弁を求めます。
先の決算委員会で、「待機児童解消に区が責任を持つこと。質を低下させないための区の立場をあきらかにすべき」との私の質問に、「待機児童解消に取り組むとともに、保護者が安心して、保育園に子どもを預けることができるよう、保育の質を確保していく」と答弁しています。
私は、待機児童解消と保育の質の確保は、区が責任を持って認可保育園を建設することで解決に向かうと思うがいかがか。
待機児童解消に見合った認可保育園を建設すべきです。
それぞれ答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、子ども・子育て新システムと待機児童についてのお尋ねです。
まず、新制度の中止を国に求めることについてです。
本年8月、「子ども子育て支援法」をはじめとする子ども・子育て関連3法が可決成立し、子ども・子育て支援の新たな制度の概要が示されました。
区は、子ども・子育て支援の新たな制度の中止を求めることは考えておりませんが、国等の動向を注視しつつ、都心港区ならではの子育て環境を維持向上するため、適切に対応してまいります。
次に待機児童解消と保育の質の確保についてのお尋ねです。
区はこれまで、区立保育園の新設や改築に伴う定員拡大、港区独自の待機児童対策としての緊急暫定保育施設の整備、私立認可保育園の誘致など様々な手法により、積極的に定員拡大に取り組んでまいりました。
一方、保護者の就労や生活形態が多様化し、子育て環境が変化している中で、安心して子育てができる環境を整えるため、様々な保育ニーズにきめ細かく応える子育て支援サービスも充実することが必要です。
今後も、待機児童の解消を最重要課題と位置付け、保護者が安心して子どもを預けることができるよう、保育の質を確保した上で、保育園の定員拡大平年齢別定員の弾力的運用、みなと保育サポート事業など、多様な手法により待機児童解消策に取り組んでまいります。
次に、認可保育園の建設についてのお尋ねです。
区は待機児童対策として、今後「たかはま保育園」や田町駅東口北地区の区立認可保育園の開設、また、芝公園保育園ほか区立認可保育園4園の改築、本年12月に開設する私立認可保育園「まちの保育園六本木」の誘致により、認可保育園の定員拡大を行い、待機児童解消に向け取り組んでまいります。
《再質問》
子ども・子育て新システムについて
《質問要旨》
新システムが導入されれば保育の質の低下は明らか。
導入しないよう、はっきりと国に対して求めるべき。
《答弁要旨》
区では保育の質の確保は重要なことと考えており、区独自の暫定保育施設においても、面積や保育士の配置など、民間保育園と同様の措置を取っている。認証保育所などについては、児童の安全や保育料に対する助成なども行っている。
これからも官・民合わせて子どもの保育環境をより良いものとするよう努めていく。
4. 総合相談窓口の設置について
リストラ、派遣切りなどで生活がますます深刻になり、私たちの所にも生活相談が増えています。相談の内容も深刻で、仕事、医療、介護、国保、教育、子育て、住宅など、たくさんの問題が複雑に絡み合い、生活保護だけでは解決しえない問題もあります。
私たちの今までの質問で、区は「現状で対応する」といっていますが、相談者に親身になって相談にのり、どのような悩みでも、どうすれば解決の糸口ができるのか、相談者に応えることが必要なのに、役所の縦割り行政のなか、相談者はいくつもの部所をまわらなければならないことにもなっています。仕事、生活の問題など、解決にはスピードが要求されます。だからこそ、専門の総合相談窓口が必要です。
相談者に親身に相談にのり、問題を早く的確に解決するために、何でも相談できる総合相談窓口を設置すべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、総合相談窓口の設置についてのお尋ねです。
区では、生活や家庭の困りごと、高齢者や障害者への各種サービス、子育て支援など、福祉全般にかかわる相談をお受けするため、5つの総合支所それぞれに相談窓口を開設し、相談者の置かれた状況に応じた的確な情報の提供や必要な支援を行っております。
今後とも、各総合支所の窓口で均質で丁寧な相談ができるよう、総合的な相談機能の充実に努めてまいります。
5. 総合支所における窓口業務委託の見直しについて
次は、総合支所における窓口業務委託の見直しについてです。
2011年度決算特別委員会で、わが党議員の決算等審査意見書に対する質問で「住民基本台帳システムによる証明発行業務を委託しているが、個人情報の漏洩が危惧される業務委託は止めるべきと考えるが」と伺ったのに対し、監査委員は「受託した事業者が区民の住所、氏名、家族構成はもちろん、発行する証明によっては婚姻や養子関係、収入の総額と内容、所得額、納税状況なども見ることができる状態となっている」「個人情報の取り扱い範囲はリスクを十分に検討すべき」と答えました。
今年度から芝、高輪の総合支所で窓口業務の一部委託が始まり、来年度は全ての総合支所で行う計画ですが、審査意見書で「部分的に限定される環境にない個人情報の取り扱いは区が責任を持って行うことが安全面においてよりいっそう堅実である」と指摘されたものです。
残念ながら、この指摘が正しかったと言うべき事件が発覚しました。
船橋市の非常勤職員が10年前から、住民の住所や生年月日、勤務先や年収、離婚歴などを調べ探偵業者に漏らし報酬を受け取っていたとして逮捕され、市役所が家宅捜索されました。
区が委託する証明発行業務は37種に及ぶもので、個人情報のほとんどが明らかとなります。区にとって個人情報保護は危機管理の最も敏感な部分であり、漏洩は区民の信頼を失うだけでなく、犯罪に利用されれば凶器にもなります。
個人情報保護規定や誓約書があるから安心できるというのでは、安全神話を振りまき大事故に至った福島第一原発と同じ道を繰り返すことになりかねません。
総合支所の窓口業務委託は止めるべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、総合支所における窓口業務委託の見直しについてのお尋ねです。
窓口業務委託にあたっては、個人隋報の管理は重要課題であり、情報の漏洩はあってはならないことです。
委託業務で使用するシステムは、戸籍や住民票など各々独立したシステムであり、従事職員のパスワードや端末操作記録であるアクセスログを適正に管理をしております。
また、不正な情報閲覧ができないようにアクセスログの定期的なチェックなど防止対策を取ってまいります。
更に、区主催の情報セキュリティー研修への参加や事業者独自の研修実施など重層的な対応を図っております。今後も、情報セキュリティー対策の強化に取組んでまいります。
6. 安心して住むことができる住まいの確保について
次は、安心して住むことができる住まいの確保についてです。
派遣切りにあい寮を追い出されホームレスになった人、ネットカフェで寝泊まりを繰り返す非正規雇用の若者たち、私たちの所にも相談が増えています。住宅を巡っては、住むところさえあればいいと、一つの部屋に何人も押し込んで生活保護の人たちを食い物にする貧困ビジネスも生まれる有様です。しかもこういうところを自治体が紹介しているのもひどい話です。
また、70、80代の高齢者でも、エレベーターのない2階以上に居住している人も多数見受けられます。
今年1月に発表された政策創造研究所の一人暮らし高齢者の調査では、住宅の困りごとの中で、「老朽化している」が19.6%、「階段の上り下りが大変」13.7%、「浴室、浴槽が使いにくい」10.5%、「お風呂がない」3.9%、「冷房がない」3.7%となっています。
2008年度からこの4年間、高齢者集合住宅の応募者は、登録者数8名に対し、2010年度は109名、少ない時でも91名です。1年間に入居できるのはわずか2名から4名ですので、圧倒的な人たちが入居できません。
計画されていた高齢者集合住宅が、途中で中止になり、あらたに建設されていないからです。また、若者が入居できる公的な住宅はなく、家賃補助もなくなりました。住宅施策の後退です。
国や自治体が、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する住宅を確保することは、待ったなしの課題です。
人間らしい住まいの確保のために
1.若者や低所得者などへの家賃助成制度を復活すべきです。
2.13年間新規建設のない都営住宅の建設を、東京都に求めるべきです。
3.新たな区営住宅を建設すべきです。
4.ストップされたままの高齢者集合住宅を建設すべきです。
それぞれ答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、安心して住むことができる住まいの確保についてのお尋ねです。
まず、家賃助成制度の復活についてです。
現在、区の人口は、23万人を超えており、過去に定住化の推進を目的として実施しておりました家賃助成制度を復活することは考えておりません。
区では、子育て世帯に加え、高齢者世帯等に対して、区立住宅における当選倍率の優遇措置を、また、特定公共賃貸住宅シティハイツ神明の家賃低廉化を実施するなど、住宅の確保に配慮が必要な方々に対する支援を行っております。
次に、都営住宅の新規建設を東京都に求めることについてのお尋ねです。
東京都は、都営住宅の新規建設については凍結し、現在あるストックの維持・更新に重点を置くこととしております。
区といたしましては、東京都に都営住宅の新規建設を求めることは、考えておりませんが、引き続き、都営住宅の地元割当件数の増加などを要望してまいります。
次に、区営住宅を建設することについてのお尋ねです。
現在、区は、港区営住宅シティハイツ芝浦73戸を76戸に、また港区営住宅シティハイツ六本木45戸を50戸に増加する計画で建替えに着手しております。
今回の建替えでは、区営住宅を8戸増加するほか、住宅に対する様々なニーズに合わせて、シティハイツ芝浦では、障害者ケアホームを5戸、シティハイツ六本木では、障害者ケアホーム11戸に加えて、サービス付高齢者向け住宅30戸を併設します。これにより、住宅の確保に特に配慮が必要な方々に対し、支援を行ってまいります。
次に、高齢者集合住宅を建設することについてのお尋ねです。
区はこれまで、高齢者集合住宅や、ケアハウス、グループホームなど、高齢者の多様な住まいを整備してまいりました。
昨年、国は、高齢者の居住の安定確保に関する法律を改正し、サービス付き高齢者向け住宅整備事業を創設しました。
区では、区営住宅シティハイツ六本木の改築に伴い、高齢者の在宅生活を支えるために必要な、安否確認や生活相談などのサービスを提供する、サービス付き高齢者向け住宅を整備いたします。
区は、高齢者集合住宅を整備する予定はありませんが、今後、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で、介護が必要になっても安心して暮らすことができるよう、日常生活上のサービス提供が備わっている、サービス付き高齢者向け住宅の確保に努めてまいります。
7. 中小企業支援策について
次は、中小企業支援策についてです。
白金・三田・高輪地域は、京浜工業地帯の発生の地です。
かつて1960年代は、町まちから機械の音が耐えませんでした。ところがバブル期には、地下の高騰等で工場が大田区に越したり、後継者難で廃業するところが相次ぎました。今では、不景気の中、「数が少ない試作品の仕事が多く、急ぎの仕事しかない」という人や、「最盛期の2割しか仕事がない」という経営者もいます。
こうした中、「ものづくりを次世代へ」と、16日のNHK Eテレで、港区の町工場が紹介されました。昔懐かしい豆腐屋ラッパの復活の物語です。
港区の楽器屋さんと、旋盤屋さん、板金屋さんが力を合わせ、豆腐屋ラッパを作り、そのラッパが東北の被災地の豆腐屋さんで使われ、仮設住宅の人を励ましているというのです。
ラッパの音を出すため音楽大学の力も借りました。熟練工の巧みな技、1ミリ以下で勝負する技術の紹介、息子が跡を継ぎ、後継者が育っていることなどが紹介されました。私はこのテレビをみて町工場がこの港区にも「どっこい生きている。がんばっている」という感じをもちました。
このラッパは、先日開かれた「港区ものづくり・商業観光フェアでも」紹介され、大勢の子供達がラッパを吹き楽しんでいました。
景気が回復せず、大企業の海外でのものづくりが盛んになった今、私たちに希望をもたらせてくれるこうした事業に、区は光を与える必要があります。
産業振興には、工業関係だけではなく、商業、観光などのたくさんの事業があります。不況で大変な時期だからこそ、事業者などと協力し、お互いに知恵を出し合い、具体的な施策を生み出すことが必要です。にもかかわらず、産業振興課、経営支援担当課は課長が1人となり体制が縮小されました。
課長は2人体制に戻すべきです。答弁を求めます。
せっかくいいプランがあっても施策の推進体制がありません。
2008年度の「第2次港区産業振興プラン」では、「(仮称)港区産業振興センターの整備」を掲げ、21年度設計、22年度完成となっていますが、その目処は立っていません。事業内容の変更等も考えているようですが、そうであればなおのこと、推進体制の整備を図るべきです。
産業振興のための施策の推進を図るため、区内中小業者などの声を直接聞く機会、「第2次港区産業振興プラン」で掲げた「(仮)港区産業振興推進会議」を設立すべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、中小企業支援策についてのお尋ねです。
まず、産業振興課及び経営支援担当の体制についてです。
現在、産業振興課長と経営支援担当課長を兼務しておりますが、これは、管理職の配置場の措置であり、体制を縮小したものではありません。
次に、(仮称)港区産業振興推進会議の設立についてのお尋ねです。
(仮称)港区産業振興推進会議は、福祉や文化、まちづくり等の分野と連携し、庁内で横断的、機動的な検討を行う体制です。
第2次港区産業振興プランの策定以降、東日本大震災の発生や世界経済の減速など、社会経済情勢の変化が生じています。そのため、区内事業者等を取り巻く状況の把握に努めるとともに、庁内各部門が連携することが一層重要となっております。
こうした状況を踏まえ、現在、産業振興施策の実効性を高めるための推進体制について、検討を進めております。
今後とも、区内事業者等の声に耳を傾け、効果的な施策を展開してまいります。
8. ぜんそく医療費無料制度の存続について
次は、ぜんそく医療費無料制度の存続についてです。
東京都の大気汚染医療費助成制度は大気汚染公害裁判の和解にもとづいて、被告である国、東京都、自動車メーカー7社、首都高速道路株式会社が資金を拠出して、2008年8月から実現しました。港区内の認定者は今年の8月時点で833名で、東京都全体では7万人に上るぜんそく患者が医療費の心配なく治療を受けています。
この制度は裁判の和解条項で、5年後に見直すとなっており、来年8月が見直しの時期となります。患者の多くが無料化制度の継続を求めており、こうした声を受けて、日本共産党都議団は10月19日に①2013年8月以降も、大気汚染医療費無料化制度を継続すること、②国、自動車メーカー、および首都高速道路株式会社に対し、2013年8月以降の制度継続に必要な財源を拠出するよう働きかけること、③国に対し、大気汚染公害患者に対する医療費救済制度を創設するとともに、道路沿道など汚染の激しい地域は現行の公害健康被害補償並みの保障制度を創設するよう、強力に働きかけることの3点について、都知事に申し入れを行いました。
区としても、医療費の無料化制度が継続できるよう東京都に申しいれるべきです。答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、ぜんそく医療費無料制度の存続についてのお尋ねです。
東京都大気汚染健康被害者医療費助成は、昭和47年に事業開始され、平成19年8月「東京大気汚染訴訟」の和解に基づき、全年齢に対象者を拡大し、平成25年に事業の見直しを行なうことと聞いております。
現在でも毎年100人前後の新規認定者がおり、ぜんそくには定期的な受診と継続的な治療が必要であるため、区でも事業の存続を希望しているところです。
今後、東京都での見直しの状況を注視しつつ、都内区市町村の動向も踏まえ、機会をとらえて東京都へ要望してまいります。
9. 国内最初の海水浴場の表示板設置について
最後は、国内最初の海水浴場の表示板設置についてです。
日本最初の海水浴場は、1885年(明治18年)に神奈川県大磯(照ヶ崎)海岸に初代陸軍軍医総監をつとめた松本順によって開かれたとして、現地には「日本最初の海水浴場発祥地」と書かれた標識と石碑があります。
しかし、先日の新聞に、その7年前1878年(明治11年)に芝浦に海水浴場を開設する届けが旧東京府に提出されていたとの記事が掲載されました。
すでに、 芝浦港南地区30周年記念誌「わたしたちのまちベイエリア」には、「1872年(明治5年)新橋・横浜間の鉄道敷設が完成。風光明媚な海岸であることに着目して、沿線に温泉旅館を経営するものが現れた。
さらに料理屋や料亭、旅館、海水浴場や海水温泉などが芝浜から本芝にかけて数多く出現した」と明治初期に海水浴場が開設されたことが紹介されていましたが、今回の記録発見により時期が明確にされたことになります。
記録によれば、旧東京市の編さんした史料集「東京市史稿」の中に、明治11年7月 に医者の鐘ヶ江晴朝が芝新濱町貳番地(現在の芝浦1丁目)に海水浴場の開設を申請しています。新聞では、申請文書や府の許可証、海水浴場の図面、開設届けが掲載されていると報じています。
日本初の海水浴場として記録も場所もはっきりしています。これまで大磯海岸では日本初の海水浴場としてPRし集客を図ってきたのですから、港区も表示板などを設置し、ベイエリアの魅力の一つとしてPRを図っていくべきではないでしょうか。
答弁を求めます。
【区長答弁】
最後に、国内最初の海水浴場の表示板設置についてのお尋ねです。
国内最初の海水浴場が芝浦にあったとする新聞報道は、これまでの定説を覆す興味深い内容であり、現在、教育委員会と協力して東京都公文書館から入手した資料の確認を行っております。
まちの歴史や文化を知ることは、地域への愛着を深めていただくために大切なことです。
今後、海水浴場の開設に関する詳細な内容を把握した上で、案内表示の設置や広報紙への掲載などにより情報発信に努めてまいります。