質問者 風見 利男 議員
日本共産党港区議団の一員として質問します。
1. 「原発ゼロ」の実現について
「原発ゼロ」の実現についてです。
福島原発事故を最後の原発事故とするために働くことは、いま生きている我々の次の世代に対する責任です。「『原発ゼロ』の決断を国に求めるべき」と何度求めても、区長は「エネルギー問題は国の責任」と逃げています。区民、とりわけ未来を担う子どもたちの命と健康を考えたとき、「国の責任」ではすみません。
第1に、福島原発事故から1年8ヶ月たつというのに、故郷に帰りたくても帰れない、16万人の方々がなお苦しい避難生活を余儀なくされ、被害はどんどん広がっています。当たり前の生活が一瞬にして奪われたのです。二度とこんな事故を起こしてはなりません。その最大の保障は、全部の原発をただちになくすことです。
第2に、原発の稼働を続ける限り、「核のゴミ」(使用済み核燃料)が増え続けます。人類は「核のゴミ」を処理する技術をもっていません。全国の平均で見ると、あと6年経つと、原発の中のプールの「ゴミ」があふれ出ます。「核のゴミ」を出さない唯一の方法は原発をなくすことです。
第3に、再稼働した大飯原発、きわめて評判の悪い原子力規制委員会ですら、大飯原発の下に活断層があることを否定できないことを、全員一致で確認しました。大飯原発は即時停止です。
第4に、政府が行ったパブリックコメントでも、国民の8割の方が「即時原発ゼロ」を望んでいます。国民の努力もあって、今年の夏、あの猛暑でも原発がなくても電気は不足するどころか、余りました。
政府に対し、「いますぐ、ただちに、すべての原発をなくす政治決断を」要求すべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
最初に、「原発ゼロ」の実現についてのお尋ねです。
国は、本年9月、原発に依存しない社会の実現を掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえて、今後のエネルギー・環境政策について、閣議決定しております。これを受け、エネルギー・環境会議において、原子力政策などについて、検討が進められております。
我が国のエネルギー政策は、国民的議論を踏まえ、原子力発電のあり方を含め、国の責任において取り組むべきものであると考えております。
こうしたことから、区は、政府に対し、ただちに、すべての原発をなくす政治決断を要求することについては考えておりませんが、区として今後ともエネルギー消費量の抑制や、再生可能エネルギーの利用促進を積極的に推進してまいります。
2. 青山こどもの城、青山劇場、青山円形劇場の存続について
青山こどもの城、青山劇場、青山円形劇場の存続についてです。
厚生労働省が2012年9月28日、利用者の意見をまったく聞かないまま、「老朽化」と「全国に児童館が整備された」ことを「理由」に、子どもの城及び青山劇場、青山円形劇場を2014年度末で閉鎖すると発表しました。これを知った利用者から存続を願う運動が大きく広がっています。
こどもの城は、首都圏唯一の大型児童館として、多くの子ども、父母が利用しています。
子どもたちが楽しみながら主体的に参加できる、音楽コンサート、様々な工作、スポーツ、キャンプ活動など工夫された多彩なプログラムがあり、子どもの豊かな成長に大きな役割を果たしています。保育施設もあり、父母の子育ての手助けにもなっています。東京都児童館が2012年3月末で閉館しており、こどもの城が閉館になれば、首都圏の大型児童館はゼロになってしまいます。
また、こどもの城で生み出されたプログラムが全国に普及されており、全国の児童館のセンターとして、日本の児童館全体をレベルアップするという他にない役割を果たしています。小児保健部は発達障害のケア、ダウン症のケア、心のケアなどの専門的なケアを行っており、利用者のかけがえのないよりどころとなっています。
青山劇場、青山円形劇場は、文化を発信、創造する拠点となっています。稼働率も約90%あります。青山劇場は開設時に東洋一といわれたすぐれた舞台機構があり、ミュージカルなどに愛用されています。円形劇場は、完全円形の舞台を備え、「ここでしか成立し得ない表現ができる」といわれる全国的にも貴重な劇場です。両劇場では、コンテンポラリー・ダンスの国際的祭典やこどもの城ならではの子ども向けオペレッタなど、すぐれた自主企画が催されています。閉館は、表現の場を奪い、ひとつの文化を喪失させるものです。6月に施行された「劇場、音楽等の活性化に関する法律」の精神にも反します。
これらの施設は、年間80万人の利用があり、厚生労働省の行政レビューシートでも「優先度の高い事業」とされてきました。築後27年、厚労省の調査でも、建物本体の耐震性は十分あり、大規模改修を行えばこれから30年間使える施設です。
「広報東京都」にレギュラーで執筆している水道橋博士も「11月号」で「消えゆく夢の城を想う」とこどもの城の存続を訴えているのをはじめ、多くの著名人が「存続を」の声をあげています。
このような貴重な施設は、充実こそ必要で、廃止などとんでもありません。
国に存続するよう申し入れるべきです。答弁を求めます。
議長に、議会として国に「廃止しないことを求める」意見書の提出をお願いします。
【区長答弁】
次に、青山こどもの城、青山劇場、青山円形劇場の存続についてのお尋ねです。
青山劇場、青山円形劇場を含む青山こどもの城は、国が昭和60年に国際児童年を記念して設置した国立総合児童センターですが、施設の老朽化、子どもの遊び方々遊び場の多様化、地方自治体での児童館や子育て支援施設の整備が進んだことなどにより、当該施設を、平成27年3月末で閉館するとのことです。
区は、当該施設の存続の申し入れを行うことは考えておりませんが、子ども中高生プラザ、児童館などでの事業の充実に努めるとともに、区内の文化芸術施設等との連携・協力による文化芸術振興を積極的に推進してまいります。
《再質問》
青山こどもの城の存続について
《質問要旨》
地元の区として存続の意見を上げていくべき。
《区長答弁要旨》
区として、子どもの健全育成のための施策の充実には、区の立場で努めていく。当該施設の存続の申し入れを行うことは考えていない。
3. 自主防災組織の訓練の安全確保について
自主防災組織の訓練の安全確保についてです
芝浦会場での港区総合防災訓練が11日に行われましたが、その一環として芝浦4丁目にあるマンションで実施した階段避難車を使用しての避難訓練中に、階段避難車と操作している人が一緒に階段から転落するという事故が発生し負傷者がでました。
区では防災組織のある町会、自治会から要望が有れば階段避難車を支給していますが、今回の事故は、より一層の安全策が求められます。
このため
①現在、交付の際は説明書に基づく説明だけですが、必ず訓練を行うこと。
②1人で操作できることがセールスポイントになっていますが、女性や高齢者が操作する場合、また高層階からの使用などでは、2~3人での操作が必要であること。
③総合防災訓練では、全ての会場で操作訓練を行うこと。
④消防団とも情報を共有し、訓練時等に協力して実施できるようにすること。
答弁を求めます。
【区長答弁】
まず、階段避難車の提供時における操作訓練の実施についてです。
現在、区は、階段避難車の提供時に、専門事業者による使用方法の説明を行なっておりますが、今後は、具体的な操作手順がわかるよう、操作訓練を合わせて実施してまいります。
その際、女ト生や高齢者が操作する場合や、高層階からの使用などでは、2~3人で操作する必要があることなど、安全確保上の留意事項についても、合わせて説明してまいります。
なお、区民の安全を確保するため、既に、階段避難車を提供している防災住民組織に対しても、同様の操作説明と留意事項を含む操作訓練を実施してまいります。
次に、すべての総合防災訓練で操作訓練を行うことについてのお尋ねです。
現在、各総合支所には、階段避難車を1台ずつ配備し、訓練のほか普及啓発のための貸し出し用として使用しています。
総合防災訓練では、広い階段を有する実施可能な会場で訓練をおこなっています。
いざという時に誰でも使用できるようにするためには、日常の訓練が重要であり、今後は訓練機会の確保について検討してまいります。
次に、消防団との協力関係についてのお尋ねです。
消防団との協力関係については、今後も意見交換会などを通じて、階段避難車の機能特性・取扱い手順・訓練方法・配備場所等の情報を共有するとともに、訓練時における安全確保のための支援・協力をいただけるよう、連携を深めてまいります。
4. 避難所の簡易ベッドについて
避難所の簡易ベッドについてです。
わが党区議団は、エコノミークラス症候群をおこさないため、避難所に簡易ベッドを備えるよう提案を続けた結果、今年度510台の購入を決め、12月には納入するとのことです。
一番のネックが保管場所の問題です。今回の購入に当たっても、いろいろと検討して、高齢者が使いやすいものを選んだそうです。さらに、来年度の購入にむけ、担当者を中心により良いものを検討していると聞きました。
今注目され始めているのが「段ボールベッド」です。東日本大震災の避難所等でも使われ、血栓がなくなったり、減少するなど効果をあげています。
「段ボールベッド」の良いところは、メーカーと「防災協定」を結び、災害時に緊急製造、搬送してもらえることです。災害時の道路事情などを考えれば、一定の備蓄は必要とは思いますが、保管場所の心配がないことです。
今後も導入を進めるのですから、「段ボールベッド」についても検討すべきだと思います。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、避難所の簡易ベッドについてのお尋ねです。
簡易ベッドについては、東日本大震災以降、段ボールベッドや、エアーマット式のべッドなど、被災者の負担を軽減するための改良や、備蓄しやすいようコンパクトに収納できる商品などが開発されております。
区は、今後、段ボールベッドも含めまして新たに開発される簡易ベッドについて、その有効性を検証の上、購入を進めてまいります。
また、災害が発生した場合に、簡易ベッドメーカーから避難所等へ、ベッドを搬送する内容の防災協定の締結についても、あわせて検討してまいります。
5. 高齢者の見守り事業について
高齢者の見守り事業についてです。
決算特別委員会で孤立死対策について取り上げ、日常的な見守りが必要であると指摘し、電気・ガス・水道などのライフライン事業者等の協力を求めることについて具体的な提案も行い改善を求めてきました。
港区はライフライン業者に通達を出し、協力の呼びかけをしています。
山梨県の北杜市では、郵便局や新聞販売店や配達事業者といった個別に配達する事業者16社と協定書を結んでいます。協定書には「通報を行わなかった場合であっても、その後に生じた問題等について、その責任を負わないものとする」といった免責内容が含まれており、事業者の協力が得やすくなっています。
港区も孤独死を防ぐための手引き書を作成する方向で検討すると答弁しています。手引き書の策定を急ぎ、具体的な実施要綱を定め、協力事業者と協定を結び、より効果的な見守りサービスを早急に行うべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
次に、高齢者の見守り事業についてのお尋ねです。
現在、東京都において、地域住民や介護・住宅関連事業者、NPO法人や学識経験者、行政機関職員等の、見守りに関するさまざまな担い手を集めた「区市町村の高齢者見守り体制充実に向けた関係者会議」が設置され、「見守りの手引き(仮称)」の作成に向けた検討が進められております。
区においては、関係者会議の検討の結果を参考に、港区高齢者地域支援連絡協議会等での意見も取り入れ、港区の地域特性を踏まえた港区版高齢者の見守り手引き書を作成してまいります。
実施要綱の制定や事業者との協定につきましては、港区版手引書を作成する中で検討してまいります。
6. ベンチのあるまちづくりについて
ベンチのあるまちづくりについてです。
高齢者も小さい子ども連れでも、安心して外出ができる、買い物にでかけられる、散歩ができる、観光客にもアピールできる、こんなまちづくりをめざして、歩道などにベンチの設置をすすめるべきです。
設置するベンチも、あきる野市や、木材の活用の協定を結んでいる自治体の間伐材などの利用も検討し、ベンチに市名や町名を記入することで、区とのつながりを知ってもらうことにもなります。
何よりも、高齢者や子育て世代が安心して出かけられるやさしいまちになります。人々がまちにでることで、健康を維持することになり、商店やまちの活気にもつながります。
国や都にも協力をお願いし、高輪地区の「止まり木のある道路づくり」にとどめず、全区的に設置可能なところから、計画を進めるべきです。
答弁を求めます。
【区長答弁】
最後に、ベンチのあるまちづくりについてのお尋ねです。
本年度から、高輪地区総合支所では、住民発意による地域事業として、区道等にベンチや背もたれ等の休憩施設を設置する「止まり木のある道路づくり事業」に着手し、現在は設置路線及び箇所の選定を行っております。
今後は、この事業における課題や、利用者のご意見等を踏まえ、区内全域への設置について検討してまいります。