日本共産党 港区議団
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2017年第2回定例会 日本共産党港区議団の一般質問


質問者 熊田ちづ子 議員




1. 熊本型デフォルト=応急仮設住宅について

 2016年(平成28年)4月14日と16日に熊本県熊本地方を震源とする震度7クラスを観測して以来、一連の地震活動によって県内だけで約3,500棟にも及ぶ住宅が全半壊したといわれています。
 熊本では、阪神淡路大震災や東日本大震災での教訓を踏まえ、独自の仮設住宅建設をすすめてきました。
 東日本大震災でも県によって対応はまちまちで、従来型のプレハブでは使い勝手が悪いうえに、居住環境も悪い状況です。
 熊本ではそういう各地の教訓を活かし、地元産の木材を使った木造の仮設住宅にしました。
 その特徴は、ゆとりある配置計画やコミュニティへの配慮、仮設住民が集いやすい集会所と談話室の配置など10項目に整理されています。
参照
1. ゆとりある配置計画(150㎡/戸)
2. 隣棟間隔(プレハブ棟:5.5m、木造棟:6.5m)
3. 住戸に近い駐車場の配置
4. 住宅コミュニティなど配慮した住戸タイプ配置
5. 仮設住民が集いやすい集会所と談話室の配置
6. 住棟平行軸と垂直に有機的路地動線を配置し、庇やベンチを設置
7. 各住戸の遮音、ペアガラス、網戸、掃出し窓(はきだしまど)と濡縁の設置
8. 集会所と談話室は、規格型と本格的な「みんなの家」として計画
9. 木造仮設棟の基礎はRC造
10. 住宅入居後の住環境整備カスタマイズを想定です。

 いつ起きても不思議でないといわれる首都直下地震に備えることは重要です。
 港区は、全国各地の自治体と木材に関する協定を結んでいます。被災された区民が少しでも生活しやすい仮設住宅を建設するために、熊本県の各自治体ですすめられている木造の仮設住宅のノウハウを知ることは重要です。
 「熊本型D」のノウハウを学ぶために、職員を派遣し、港区での災害対策に活かすべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
 最初に、「熊本型D」のノウハウを区の災害対策に活かすことについてのお尋ねです。
 応急仮設住宅入居者のコミュニティへの配慮やプライバシーの確保、快適な居住空間の提供は災害対策の重要な課題です。
 「熊本型D」を含め、これまでの大規模災害での応急仮設住宅の事例について、職員が現地へ赴(おもむ)くなどして、調査、研究し、区の災害対策に活かしてまいります。


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2. 介護保険の改悪について

 介護保険関連法は審議が尽くされない中、5月26日可決されました。
 改悪の主なものは、一つが利用料の負担増です。
 単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上のかたの介護サービス利用料が2018年8月から3割負担に引き上げられます。すでに2015年8月には一定以上の所得の方が1割から2割に引き上げられ、介護サービスの利用抑制が起きていることを厚生労働省も認めています。

 2つ目が高齢障害者への負担増です。
 障害者施設等からの申請があり、自治体の基準を満たせば介護事業者の指定を受けられることになります。65才以降は障害者福祉サービスの利用は介護保険制度の利用が優先され、介護事業者の指定を受けた施設でサービスを利用した場合、介護保険優先原則よって、非課税世帯の高齢障害者が無料から、一律に自己負担がかかることになります。

 3つ目が2号被保険者の保険料に総報酬割を導入し、40才から64才の会社員が支払う介護保険料を、賃金水準に応じて拠出する方式に変え、負担増を押しつけます。厚労省試算では、大企業の社員らが加入する健保組合の内、7割を超える組合の納付金が負担増となる試算が出ています。
 介護保険法は見直しの度に改悪が進められ、負担増とサービスの利用抑制、改善されない特養ホームの待機者、希望するサービスを利用できないなどなど、区民にとっては保険あって介護なしの状況が押しつけられます。こうした改悪は絶対に許せません。安心して介護が受けられる社会保障制度の充実に取り組んでいく決意です。

1)介護保険の改悪が区民や高齢障害者等に与える影響を明らかにすること。

2)区民に影響を与える改悪を止めるよう、国に要望すること。

3)23区で港区が一番高い保険料となった介護保険料の引き下げをおこなうこと。答弁を求めます。

【区長答弁】
1)次に、介護保険制度の見直しについてのお尋ねです。
 まず、区民等への影響についてです。
 今回の介護保険制度の見直しは、世代間や世代内の公平性を図るため、介護サービスの利用者負担割合が2割の方のうち、特に所得の高い方の負担割合を平成30年8月から3割に引き上げるものです。港区の平成28年度全被保険者約4万3千人で試算をすると、29%の方が3割負担の対象となります。
 また、今回の見直しにより、高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用を促進するため、介護保険と障害福祉両方の制度に、新たに共生型サービスを創設することで、同一の事業所でサービスを受けることが可能となります。

2)次に、介護保険制度の見直しを止めるよう国に要望することについてのお尋ねです。
 国は、世代間や世代内の公平性を確保しつつ、介護保険制度の持続可能性を高める観点から社会保障審議会介護保険部会での多面的な議論を踏まえ、制度の見直しを行いました。
 区として、制度の見直しを止めるよう国に要望することは予定しておりませんが、区民に制度見直しの趣旨や内容を丁寧に周知し、ご理解頂けるよう努めてまいります。

3)次に、介護保険料の引き下げについてのお尋ねです。
 介護保険制度では、安定的で持続可能な制度となるよう、介護サービスを賄う財源を、保険料と公費によって一定の割合で負担することが定められています。
 区は、特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護施設や認知症高齢者グループホームの整備の推進など、介護サービスの向上に積極的に取り組んでおります。また、要介護認定者の割合は増加傾向にあり、保険給付費の増加が保険料の上昇要因となっています。
 現在の介護保険料を引き下げることは困難であると考えておりますが、介護予防等重度化を防ぐ取り組みを推進し、介護保険料の抑制に努めてまいります。


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3. 国民健康保険制度の広域化について

 2018年度から国民健康保険制度は、東京都が保険者となり市区町村の国保行政を統括・監督する仕組みが導入される計画ですが、議会にも区民にも全く知らされていません。

 新制度になると東京都は、国保事業に必要な費用を各市区町村に納付金として割り当て、市区町村は住民に保険料を賦課・徴収し、集めた保険料を都に納付することになります。
 納付金によって区の保険料が決まります。
 各市区町村の納付金はそれぞれの「医療費水準と被保険者の所得水準、被保険者数」を指標に都道府県が算定することになっています。
医療費水準は、高齢者数などによって影響を受けるため、年齢構成の調整がおこなわれます。
 医療給付費が増えれば、保険料負担に跳ね返る仕組みがつくられ、「給付と負担の関係」をより明確にするのがねらいです。
 市区町村は、納付金の100%納入が義務づけられ、収納率が下回った場合は、新たに設置される「財政安定化基金」から貸し付けを受けるよう指導され、一般会計からの繰り入れもしにくい仕組みと、収納率を上げるための滞納者への差し押さえや保険証の取り上げなど、収納対策の強化が押しつけられることになります。区民にとっても区にとっても大きな負担です。
 予算委員会の「広域化による港区民への保険料の影響について」の質問に、課長も「医療費の給付が多い都市部は、保険料も高くなると想定している」と答弁されました。

 国保の加入者の多くは、年金生活者、自営業者、非正規労働者などもともと経済的に困難な方が多くなっています。
 1960年代の国民皆保険がスタートした当時、国保加入者の多くは農林水産業と自営業者でしたが、現在では、年金生活者や非正規労働者などが加入者の8割近くを占めるようになっています。年金の引き下げ、不況による中小企業の経営難、雇用破壊による非正規労働者の増加などによって国保制度の構造的な矛盾がより深刻になっています。住民の命と健康を守るはずの公的医療保険が、過重な保険料負担と保険証の取り上げ、差し押さえなどにより被保険者を苦しめています。
1)このまま広域化が実施されたら、ますます払えない人を増やすことになります。
 区長として、この制度改悪から住民の命と健康を守る立場にたって、反対すべきです。

2)これ以上の負担増とならないよう、特別区長会からも要望が出ているように、都としても負担軽減のための財政支援をおこない、市区町村とも協力して国保料を一人1万円引き下げるよう東京都に要望すべきです。

3)区としても、広域化後も一般財源を投入し負担増を押さえるべきです。

4)国民皆保険を持続可能な制度にするためには国庫負担を増やすこと以外にありません。国庫負担の必要性については、「国保改革」を協議する席でも、全国知事会から1兆円の国庫負担増を要求する声が上がっています。国に対して国庫負担を増やすよう求めるべきです。
 答弁を求めます。

【区長答弁】
1)次に、国民健康保険制度の広域化についてのお尋ねです。
 まず、区民の立場に立った広域化の実施についてです。
 平成30年度から施行する国民健康保険の広域化は、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の役割を担い、制度の安定化を図るものです。
 区は、引き続き資格管理や賦課・収納、保険給付等、地域におけるきめ細かい事業を行ってまいります。
 広域化への円滑な移行に向けて、引き続き保険者への財政支援や低所得者層に対する負担軽減策の拡充等について、国に申し入れてまいります。

2)次に、東京都に財政支援を要望することについてのお尋ねです。
昨年8月に特別区長会は、財政運営の責任主体である東京都に対し、低所得者に配慮した財政支援等についての要望をしております。
引き続き、国民健康保険制度の安定化に向けた東京都の財政支援等について、市町村とも連携し特別区として要望してまいります。

3)次に、制度改革に伴う保険料の負担増への対応についてのお尋ねです。
 現在、国が見直しを進めている国保事業費給付金のガイドライン等は、6月に改訂される予定となっており、東京都は、これを受け、8月頃を目途に納付金等の算定作業等を進めると聞いております。
 特別区は、現在、納付金の算定方法や都が策定する国保運営方針等について、東京都と協議を進めており、保険料の負担等に配慮した、きめ細かな制度となるよう、調整してまいります。

4)次に、国に国庫負担を増やすよう要望することについてのお尋ねです。
 国保制度改革に対しては「医療費の増加に確実に対応できるよう、国による財政支援を拡充し、更なる国保財政基盤の強化を図る」よう、平成28年6月に全国市長会を通じ、国に要望しております。
 今後、国保制度が安定的な財政運営のもとで、持続可能な制度となるよう、特別区長会での検討を踏まえ、特別区が一体となり、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。

《再質問》
 国民健康保険制度の広域化について

《質問要旨》
 非正規労働者や高齢者が増加し所得がどんどん減っているのに保険料は上がり続けており、構造上の問題が起きている。公的負担を入れていかないと厳しい状況である。区の姿勢として、一般財源を投入していくことについて答弁をいただきたい。

《区長答弁要旨》
 現在23区では、統一保険料方式をとっており、一般財源を投入し保険料の軽減を図っている。広域化以後の制度については今後研究がなされることになるが、一般財源も原資は税金である。国民健康保険制度以外の保険制度に加入している方からも負担をいただくということで、一般財源の投入のあり方についてもきちんとした検討が必要である。区として、これからも一般財源の投入を続けていくことは必要であると考えている。


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4. 保育園での死亡事故を出さないことについて

 全国各地で保育園での園児の死亡事故が発生しています。
 東京都では、2016年3月に中央区の認可外保育所(事業者内保育所)でうつぶせ寝で起きた1歳2カ月の男児の死亡事故について、外部識者による「事後的検証委員会」が報告書を公表しました。
 報告書は、東京都の立ち入り調査が、2011年4月の施設開設以降、はじめてだったことや、保育事業者が職員配置の基準を満たしているものの、午睡時の具体的観察を行わず、2時間30分程度放置したこと、子どもの担当性もなく、園長を含む職員の保育経験が不足していたことなど具体的に事実を例示しながら指摘しています。
 その上で、検証委員会は重大事故を繰り返さないための提言を示し、専門家や保護者、保育従事職員からのヒヤリング結果なども盛り込みました。
 提言は、①1歳児の保育において、丁寧な保育の重要性を認識し、国、都、区市町村が一体となって啓発すること。
②国は子どもが全く違う環境である保育所に通うストレスについて、どの程度の慣れ保育や配慮が新入園児に必要なのか、現場任せにせず、専門的調査を実施してガイドラインを示すこと。
③午睡時におけるうつぶせ寝の取り扱いについて、1歳以上であっても、必ず仰向けに寝かせ安全確認をきめ細かく行うこと。など14の提言が行われています。
1)区立保育園は当然のこと、認証保育園、無認可の保育園も含めて、この提言内容を紹介、徹底すべきです。
 
2)あわせて、人材確保への支援を検討すべきです。

3)すべての保育園が、園児の事故の場合、同水準の保証、最高の保証が受けられるよう、同レベルの保険へ加入するよう、指導・助言すべきです。 
 それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
1)次に、保育園で重大事故を出さないことについてのお尋ねです。
 まず、認可外保育所の事故報告書を紹介し徹底することについてです。
 平成28年3月11日に都内認可外保育施設で発生した死亡事故を受け、東京都は、 同月23日付で睡眠時の事故防止及び救急対応策の徹底について都内認可外保育施設に通知しました。区は、東京都の通知を受け、同日、公私立の認可保育園、認証保育所、港区保育室に同通知を送付し、事故防止の周知徹底を図りました。さらに、同年4月には、各施設における午睡時のチェック状況を調査し、全ての施設で適切に実施されていることを確認いたしました。
 平成29年3月に東京都が公表しました検証委員会報告書についても、各施設に送付するとともに、改めて事故防止に向けた注意喚起を行っております。
 また、認可外保育施設については、東京都が、検証委員会報告書を直接送付し、周知徹底していることを確認しております。
引き続き、区内の保育施設を対象とした指導検査や訪問指導において事故防止対策を確認し、適切な指導・助言を行うなど、様々な機会を捉え、事故防止対策を徹底してまいります。

2)次に、人材確保への支援についてのお尋ねです。
 区は、公私立の認可保育園、小規模保育事業所、認証保育所等の合同研修の実施をはじめ、経験豊富な保育士による巡回指導等により、重大事故の未然防止を含め、保育の質の向上に取り組んでおります。
 これに加え、私立認可保育園等における保育人材の確保・定着の支援を通して、保育の質の向上を図るため、東京都の補助制度を活用して、様々な取組を行うとともに、東京都の補助制度の対象とならない指定管理者制度を導入している区立保育園や港区保育室に対しては、区独自の支援を行っております。
 平成27年度からは、職責や職務内容に応じた賃金体系の設定、発達段階に応じたきめ細かな保育や事故防止等の研修の計画的な実施など、保育士等のキャリアアップに取り組む事業者の賃金改善の取組を支援する保育士等キャリアアップ補助事業を実施しており、本定例会においては、さらに助成を拡充するための経費について、補正予算案を提出しております。
 引き続き、保育施設における保育人材の確保・定着を支援し、保育の質の向上を図ってまいります。

3)次に、保険加入への指導・助言についてのお尋ねです。
 区は、区内の私立認可保育園や小規模保育施設、認証保育所等、すべての施設が事故等に備えた保険に加入していることを確認しております。
 区は、万が一の事故等が発生した際、被害者が十分な補償を受けることができるよう、補償内容の充実した保険への加入について指導するとともに、港区保育扶助要綱に基づき、1事故3億円以上の保険への加入に要する経費を助成しております。
 今後も、保険の加入状況について継続的に確認・指導するとともに、補償内容の充実した保険への加入を支援してまいります。


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5. 「民泊」について

 マンションの空き室などを宿泊施設として提供する「民泊」が急増しています。
 旅館業法の許可を得ない違法「民泊」が急増し、騒音やごみ出しなどのトラブル、防犯や安全・衛生問題、管理者不在で運営者も不明な施設が問題になっています。
 港区でも苦情が急増しています。2015年度(平成27年度)18施設への苦情でしたが、2016年度(平成28年度)は80施設と急増しています。
 「民泊」に関する保健所への相談件数も2016年度(平成28年度)637件と前年比で6倍と急増しています。ところが旅館業法に基づく簡易宿泊所設置が23軒ですから、違法の「民泊」が多数あることが推測されます。
 苦情の内容は、不特定多数の外国人が出入りしている。大きな声で騒ぐ声が聞こえることがある。民泊と思われる家の場所を頻繁に尋ねられる。ゴミの出し方(日時、場所等)が決められた通り行われず、放置される等々、近隣住民は深刻です。
 区では、苦情があると住まいの持ち主を探し、住民の苦情を伝え善処をお願いしていますが、なかなか解決には至りません。

1)苦情が寄せられたら、現地調査、実態調査(使われ方)を行い、持ち主に改善を行うよう強く要請すること。違法な「民泊」であれば、撤去するよう申し入れること。

2)「民泊」の実態をつぶさにつかむ必要があります。いわゆる「民泊」が何軒あって、そのうち旅館業法の許可を得ている「民泊」が何軒あるのか、至急調査すること。

3)政府は、「民泊」がやりやすいようにする住宅宿泊事業法案の制定をすすめようとしています。そんなことになれば、今でも法律を無視して「民泊」を営業し、近隣住民に多大な迷惑をかけています。新法制定がされれば大手を振って「民泊」が出来ることになります。
安易な住宅宿泊事業法案の制定を行わないよう、国に要請すべきです。
 それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
 次に、民泊についてのお尋ねです。
 まず、持ち主への改善要請についてです。
 区では、許可を得ずに民泊サービスを行っているとの情報を寄せられた物件について、所有者の調査とともに、現地確認や関係者に聞き取り調査を行い、実態の把握に努めております。
 現行の旅館業法では、許可を得ていない営業者に対する報告徴収、立入検査等の権限がありませんが、無許可営業が判明した場合には、営業者に対し許可の取得、または、営業の中止を強く申し入れております。
 さらに、本年7月からは、実態をより詳細に解明し指導の効果を高めるため、物件の特定や民泊仲介サイトへの掲載状況の確認等、調査体制を強化いたします。

2)次に、民泊の実態調査についてのお尋ねです。
 民泊サービスを効率的に把握する方法として、民泊仲介サイトの調査がありますが、住所が掲載されていないことから、物件を特定することは非常に困難です。
 国では、平成28年10月から12月に、民泊仲介サイトに登録されている15,127件について、全国民泊実態調査を実施しました。その結果、特別区を含む都市圏では、許可を得て民泊サービスを行っている物件は1.8%、無許可の物件が32.8%で、残りの65.3%は所在を特定できませんでした。
 区では、平成28年度に民泊サービスに関する情報が80件寄せられ、調査を行いましたが、許可を得ている物件はありませんでした。
 今後は、消防署や警察署等の関係機関とも連携し、可能な限り実態把握に努めてまいります。

3)次に、国への要請についてのお尋ねです。
 現在、国内外の観光客の宿泊ニーズに対応する民泊サービスの健全な普及を図るため、住宅宿泊事業法案と旅館業法の改正案が国会で審議されています。
 住宅宿泊事業法案では、民泊サービスを行う者に対し、近隣への騒音防止等の説明や苦情への対応、宿泊者名簿の備付け、標識の掲示等が新たに義務付けられることになっています。
 また、旅館業法の改正案では、無許可営業者に対する規制の強化が盛り込まれています。
 特別区長会では、国に対し、地域の実情に応じて適切な運用のできる民泊の法制化を要請しております。区は、引き続き、国の動向を注視しつつ、区民の安全・安心が確保されるよう、適切に対応してまいります。


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6. 就学援助の充実について

 今年度から、「要保護世帯」への就学援助の新入学児童・生徒に対する入学準備費用が、小学生で20,470円から40,600円に、中学生は23,550円から47,400円に約2倍に引き上げられました。
 国会での日本共産党の田村智子議員の質問や保護者などの運動が実ったものです。
 私たちはこうした国の前向きの姿勢を受けて、要保護・準要保護の対象者に今年度の入学に間に合うよう質問してきましたが、教育長の答弁は、今後、都区財政調整や他区の動向などを注視しながら調査すると言うもので、子どもの貧困対策にも逆行する冷たいものでした。

 国が補助単価を引き上げ、経済的困難な世帯への支援を決定したわけですから、東京都や区が引き上げるのは当然です。今年度の要保護・準用保護の対象者から引き上げを実施すべきです。答弁を求めます。


 中学生の要保護・準要保護への入学準備金の支給はこれまで再三質問してきた結果、今年度からは入学前、入学の準備に間に合う2月に支給されることになりました。
 小学生については、入学が確定してから申請を受け付けるため、申請から支給まで時間を要するなどの課題が多く入学前の支給は難しいとされていました。
 国も、援助を必要とする時期に速やかな支給が行えるよう、中学校だけでなく小学校についても入学前に支給できるよう補助金交付要綱(要保護児童生徒援助費補助金及び特別支援教育就学奨励費補助金交付要綱)を改正したことが、2017年4月5日に、東京都教育庁から区教育委員会に通知が出されています。
 身近な自治体としてこれに答えるべきです。
 小学生の要保護・準要保護の対象者についても、入学の準備をおこなう入学前に支給できるよう、入学時に渡している就学援助の申請用紙を、前年秋の入学説明会時に渡すなど工夫をし、入学前に支給できるよう改善すべきです。
 答弁を求めます。

【教育長答弁】
 最初に、就学援助の充実についてのお尋ねです。
 まず、補助単価の引き上げについてです。
 区では、就学援助の新入学学用品・通学用品費の支給額は、都区財政調整上の金額を根拠としていることから、現在は引き上げを考えておりません。
 都区財政調整上の金額の引き上げについては、5月10日の特別区学務課長会をはじめ、5月23日の特別区教育長会において、その必要性を指摘し、他区との情報共有を図っております。今後も、他区と連携し、平成30年度都区財政調整において、金額の引き上げが実現できるよう取り組んでまいります。

 次に、新入学学用品・通学用品費の小学校入学前の支給についてのお尋ねです。
 小学校入学前の支給については、学校を通じて、保護者に個別の案内ができないことから、保護者へ就学援助制度を正確に周知することが課題であり、また、世帯状況や所得額等の確認、認定、支給のための就学援助システムの再構築に一定の期間がかかることなどが課題です。
 このことから、現時点では小学校入学前の支給は困難と考えております。
 今後、これらの課題を整理し、小学校入学前に支給をしている自治体の例を参考に、検討してまいります。

《再質問》
 就学援助の充実について

《質問要旨》
 国が都区財政調整を上回った基準を示しているのに、23区はいつになったら国の改善策に近づけていけるのか。今年度、対策を講じていただきたい。

《教育長答弁要旨》
 5月10日の特別区学務課長会及び5月23日の特別区教育長会において、都区財政調整の金額の引き上げの必要性については、説明をした。他区においても同様の課題を抱えているということなので、できるだけ早く都区財政調整における金額の引き上げを実現するよう東京都へ要望していく。


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7. 通学路の安全対策について

 2020年東京オリンピック・パラリンピック関連施設の建設ラッシュで東京都内を走る大型車の増加が予想され、交通事故者が増えることが懸念されることから、警視庁が通学路の安全対策に重点的に取り組むと報道されました。
 区内ではオリンピック・パラリンピック関連施設だけでなく、リニア新幹線建設や大規模再開発工事が目白押しで進められており、ダンプカーや大型車両の通行が急激に増えています。このため児童を交通事故から守る安全対策は重要な課題となっています。

1)この機会に教育委員会として学校とも相談し、大型車両と通学路の重なるところでの登下校時の大型車両の通行規制や警察官の配置などを要請すべきです。

2)登下校時の誘導員配置について、企業や地域のボランティア活動で自主的に参加されているところもあり、区としても体制強化を図るとともに、地域での見守りを要請するなど一層の体制強化を図るべきです。

3)芝浦・港南地域は児童数の最も多い地域ですが、リニア新幹線と品川新駅建設工事で大型車両が列をなす状況です。予算委員会で質問した夕凪橋横の信号機設置については、春の交通安全運動期間中に児童の安全誘導に参加した地域の方々からも強い設置の要望が寄せられました。安全誘導に参加した方々の実感として歩行者の安全確保のために、設置は不可欠との声ですから再度要請すべきです。

4)芝浦4丁目交差点の信号機について、工事用の大型車両が旧海岸通りに出る右折の矢印信号を設置するよう要請すべきです。
答弁を求めます

【教育長答弁】
 次に、通学路の安全対策についてのお尋ねです。
1)まず、大型車両の通行規制や警察官の配置の要請についてです。
現在、小学校では、通学路の安全確保のため、教育委員会とともに、春と秋の年2回、PTA、町会・自治会、警察署、道路管理者、総合支所と連携して、通学路点検を実施し、危険と思われる個所について、関係機関へ改善要望しております。
 また、通学路の安全確保に配慮すべき大規模開発工事等が実施される際には、工事車両の通行ルートや、歩道を横切る車両の出入り口への誘導員の配置等について、事前に小学校と事業者で、児童の安全確保のための協議を行っております。
 例えば、芝浦小学校の通学路については、リニア中央新幹線の工事実施に伴う安全確保のため、平成26年度から毎年定期的に、小学校とJRで協議を行っております。
 さらに、近隣の大規模開発に伴う工事にあたっては、芝浦小学校の多くの児童の通学路となる、芝浦4丁目交差点の工事車両の通行を通学時に控えることなどを、学校から事業者へ要請しております。
 今後も、教育委員会は、小学校とともに通学路の安全確保のため、警察官の配置を含め、警察署と連携し、大規模開発事業者等へ必要な対策を講じるよう要請してまいります。

2)次に、登下校時の体制強化についてのお尋ねです。
 登下校誘導員は、子どもの安全を地域で守るという考えに基づき、平成23年度からシルバー人材センターに業務委託し、地域の高齢者に担っていただいております。 
 教育委員会としては、児童と地域の皆さんが日頃から挨拶や声かけを通じて触れ合い、子どもたちの安全を見守っていくことは、重要な取組であると考えております。
 今後、登下校時の体制強化については、シルバー人材センターへの業務委託を基本としつつ、これまで以上に児童の安全確保や安心につながるよう、学校や地域の意見を参考に検討してまいります。

【区長答弁】
 次に、通学路の安全対策についてのお尋ねです。
 まず、夕凪橋横の信号機設置についてです。
 区は、平成27年11月から、交通管理者である三田警察署と協議を続けており、本年4月にも再度設置の要請しております。
 三田警察署からは、民間マンションからの車両の出入り口を含む変則的な交差点であることや、現在の交通量等の利用状況から、設置しないとの見解が示されています。
 春・秋の交通安全運動期間中、ボランティアによる安全誘導を行って頂いておりますが、区は、安全対策強化のため、速度制限の路面標示や歩行者注意の看板設置等について、三田警察署と協議を進めてまいります。

 最後に、芝浦4丁目交差点の信号機についてのお尋ねです。
 芝浦4丁目交差点は、JRの新駅の工事や、リニア中央新幹線の工事による、大型車両の通行が増加しております。
 区は、JRに対し、通学時間帯の通行について制限するよう要請し、現在、工事車両は通学時間帯を避けて運行しています。また、警視庁もオリンピックに向けて建設事業者等に対し、交通事故対策を講じるよう求めています。
 区は、三田警察署と芝浦4丁目交差点の安全安心な通行について、引続き協議してまいります。


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8. 教員の長時間労働について

文部科学省が10年ぶりに実施した2016年度の公立小中学校の勤務実態調査では、平日1日あたりの勤務時間は小学校教諭で前回調査から43分増加、中学校教諭で32分増加しており、小学校では33,5%、中学校では57,6%の教諭が、厚生労働省が過労死の目安としている月80時間を超える残業をしています。
 多数の教員が過労死ラインを超える勤務を強いられている現状は異常です。 勤務実態調査によって長時間労働が明らかになったように、日常的に出退勤時間が管理されていないことが問題です。しかも、長時間労働に加え保護者、児童への対応や会議などによって休憩時間が取れないなど過重労働の無法地帯化といった指摘がされています。
 病気休職者が年間約8千人にもなり、うち約5千人がうつ病などの精神疾患です。
 区内の小・中学校教員でも2014年度は病気療養中13人のうち、精神疾患が11人、15年度は11人中8人、16年度は8人中7人という状況です。
 長時間労働は子供たち一人ひとりにこころを寄せる教育の重大な妨げにもなります
教員の生命・健康のためにも子どもの教育のためにも直ちに改善を図るべきです。
1) タイムレコーダーを設置し出退勤時間の管理を行い、日常的に長時間労働とならないよう対策を取ること

2)会議の設定にあたっては、休憩時間が確保されるように指導すること


3)教員や事務職員を増やし、体制強化を図ること。
答弁を求めます。

 中学校では土日の部活動指導の時間が1日当たり前回調査に比べ倍増しています。文部科学省は昨年、教員の長時間労働や練習の加熱を改めるため中学校は週に2日以上運動部の活動日に休養日を設けるよう通知が出されています。今年1月にも休養日を設定するよう求める通知を出しています。

4)区内の中学校でもさまざまな理由から週2日以上の休養日が設定できていない現状があり早急な対応をとるべきです。答弁を求めます。


【教育長答弁】
 次に、教員の長時間労働についてのお尋ねです。
1)まず、出退勤時間の管理と長時間労働対策についてです。
 教員の出退勤時間の管理については、出退勤時間及び勤務時間外の業務内容を、学校の管理職が常に把握をするよう、指導をしております。
 また、教育委員会は、長時間労働対策として、学校間のデータや情報を容易に共有できる教育用ネットワークや、指導要録・通知表等の作成を効率化する校務支援システムを導入しております。
 その上で、教員の業務内容や仕事の進め方、校内の事務分担の見直しについて、助言をするとともに、各学校にノー残業デーを設定させるなど、教員に対して職務の効率化について意識を高めるよう指導しております。
 今後も、教育委員会は、学校と協議の上、長時間労働対策に取り組んでまいります。
 なお、出退勤時間管理のためのタイムレコーダーの導入については、他自治体における導入状況やその効果を踏まえ、研究してまいります。

2)次に、休憩時間の確保についてのお尋ねです。
 これまでも、教育委員会として、幼稚園・学校における会議については、休憩時間と重ならないように設定し、教職員の休憩時間を確保するよう指導しております。
 今後も引き続き、教職員が確実に休憩時間が確保できるよう指導してまいります。

3)次に、教員等の増員による体制強化についてのお尋ねです。
 各小・中学校の教員については、非常勤講師も含めて、東京都の教職員定数配当方針により配置されております。
 現在、教育委員会として、独自に、この教職員定数配当方針に基づく配置教員の外に、児童・生徒への個別の指導の充実を目的に、区が費用を負担して、講師を配置するとともに、学校の規模に応じて、事務負担の軽減のため、事務職員や事務補助職員を配置し、体制を強化しております。

4)最後に、運動部の休養日の設定についてのお尋ねです。
 現在、区立中学校の運動部は、週5日程度活動しています。しかし、運動部によっては、大会前などに週6日の部活動を行っているところもあります。
 こうした場合は、活動時間や活動内容を調整し、生徒はもとより、教員に過度な負担とならないようにしております。
 国及び東京都が、平成29年度末を目途に、休養日の設定を含む、部活動の在り方に関するガイドラインを作成することを踏まえ、今後、区としても独自に、ガイドラインを作成し、その中で、適切な休養日の設定について明示してまいります。


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