1. Ⅰ.安倍9条改憲を許さず、憲法を生かすことについて
安倍首相は、昨年の憲法記念日に、憲法9条に自衛隊を書き込む改憲を2020年に施行すると公言。今年の年頭会見では「今年こそ、憲法のあるべき姿を提示し、国民的な議論を深めていく」、さらに「いよいよ実現する時期を迎えている」と、今年の国会で改憲案を発議しょうとしています。憲法9条に自衛隊を書き込めば、2項の戦力不保持、交戦権否認の規定の空文化に道を開き、安保法制=戦争法を実行する「自衛隊」として海外で武力行使することになりかねません。
安倍首相がめざす改憲は国民に支持されていません。世論調査では、「9条改憲は不要」が53%(日本世論調査会)、「憲法に自衛隊を明記する首相の提案には反対」が52,7%(共同通信)となっています。私たちが今取り組んでいる「港区民アンケート」でも、9条改憲に反対が66%にもなります。
現在の日本国憲法は国民主権や平和主義、基本的人権の尊重などを原則にしています。 とりわけ憲法9条は、昨年3月のNHK世論調査では「日本の平和・安全に役立っている」と答えた人は8割を超えています。現憲法が施行されて70年、一度も変えずに来たのは世界でも最先端の先進性をもつとともに、国民に定着していることにあります。
区民の「憲法は変える必要がない」「憲法9条を守ってほしい」との多くの声に対し区長の見解をお聞きします。
①憲法9条に対する区長の認識についてお伺いします。
②9条改憲を許さず、「憲法を生かすことこそ必要」との思いにたいする区長の認識についてお伺いします。
1(1)憲法9条に対する認識について
【区長】 憲法は、その前文で「恒久の平和」をうたい、第9条で「戦争の放棄」を掲げることで、いわゆる日本国憲法3原則の1つである平和主義を明らかにしているものと認識しております。
②9条改憲を許さず、「憲法を生かすことこそ必要」との思いにたいする区長の認識について
【区長】 区は、毎年、憲法週間に合わせた講演と映画のつどいの開催や広報紙への啓発記事の
掲載などを通じて、区民が憲法への関心を高め、理解を深める契機となるよう努めておりま
す。今後も、こうした取組を継続することにより、区民の憲法への意識を高め、憲法の大切さ
を訴えてまいります。
2. 核兵器禁止条約の締結を求めることについて
昨年7月に人類史上初めて核兵器を違法とする核兵器禁止条約が採択され、12月には、条約採択に貢献したICAN(国際NGO・核兵器廃絶キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞しました。さらに国連総会は本会議で、核兵器禁止条約の採択を歓迎する一連の決議案が賛成多数で採択されました。核兵器禁止条約にはこれまでに56カ国が署名し、5カ国が批准しています。条約発効の基準となる50カ国の批准を早期に達成することが今後の大きな焦点となっています。なかでも鍵を握るのが被爆国・日本の政府です。日本政府が禁止条約の署名・批准へと進むならば国際的に大きな影響を与えることになります。
党議員団は昨年の第3回定例会、第4回定例会で、区長が国に対し核兵器禁止条約に署名・調印するよう要請することを求めましたが、平和首長会議国内加盟都市会議として、国に要請を行っているとの答弁でした。
そこで確認しますが、区長としても、核兵器禁止条約に署名・批准するよう「国に要請している」との認識だと思いますが、答弁を求めます。
【区長】 区が加盟する平和首長会議国内加盟都市会議は、第9回平和首長会議総会の決議を受け、昨年8月、日本政府に対し、核兵器禁止条約への加盟及び条約の早期発効を求め
る特別決議とともに、核兵器廃絶に向けた取組の推進を求める要請文を提出いたしまし
た。区は、平和首長会議に加盟する自治体として、国に要請をしていると認識しておりま
す。
また、被爆者がよびかけ人となり、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求める「ヒバクシャ国際署名」を大きく広げ、世論を国内外で広げていくことがますます重要です。署名した国内の自治体首長は、1月8日現在1015人となっています。23区でも6人の区長が署名しています。世田谷区長は「世田谷区は平和首長会議にも加盟し、平和都市宣言もしています。ですから、ヒバクシャが呼びかける署名のよびかけ人になることは当然のことです」と推奨しています。
区長も率先して「ヒバクシャ国際署名」に署名し推進を図るべきです。
答弁を求めます。
【区長】 お尋ねの署名については、平成22年に核兵器廃絶を目指した「ヒロシマ・ナガサキ議定書」に首長として賛同署名をしていることから、重ねて署名することは考えておりません。
3. 羽田空港の新飛行経路案について
昨年9月大阪市内で、パネルが落下し乗用車を直撃したことや、成田空港からの離陸機によるパネル落下。1月には政府専用機のパネル紛失事故などが相次いだことから、都心上空を低空飛行する計画が、NHKをはじめテレビ、新聞、雑誌など多くのマスコミで取り上げられ、落下物のみならず騒音、大気汚染、万が一の墜落、高層マンションの資産価値低下などを招く、無謀とも言える計画に、不安や怒りの声が一層広がっています。
安倍首相は、施政方針演説で「飛行経路の見直しに向けた騒音対策を進め、地元の理解を得て、2020年までに8万回の発着枠拡大を実現します」と述べました。一方で国交省航空局の来年度の予算決定概要では、羽田空港の飛行経路の見直し等により2020年までに空港処理能力を約3,9万回拡大する取り組みを進めているとして、飛行経路の見直しに必要な施設整備に、都心上空からA滑走路、C滑走路に着陸するための進入灯整備や誘導路新設の費用、環境対策事業に係る調査費用などが計上されています。
飛行経路に関係する地域からの「教室型」説明会開催要求に耳を貸さず、オープンハウス型の「説明会」や一方的な「情報提供」によって騒音対策や安全対策を取っていることを周知したとして、強引に実施するようなことがあってはなりません。
このため
①区内全域で教室型説明会を開くこと。開催に当たっては広報や全戸配布などで周知すること。参加者に見合う会場の確保と民主的運営に努めることなどを要請すること。
②住民の理解が得られないまま新飛行経路の実施を行わないよう強く申入れること。
③都心上空を飛行する新飛行経路案は撤回、見直しするよう要請すること
④区としても新飛行経路案の危険性、問題点などを広報などで、繰り返し区民に知らせること。
それぞれ答弁を求めます。
3(1) 区内全域での説明会の開催を国に要請することについて
【区長】 区が、羽田空港の新飛行経路案について、国に対し、教室型説明会の開催を強く求めた結果、区内の3地域において区民等を対象とした教室型説明会が実現いたしました。
今後も、地域からの要望等を踏まえ、国へ開催を要請してまいります。
また、説明会の開催に際しては、区は、開催する地区の町会等を通じてチラシを配付し周知してまいりましたが、今後、より多くの方が参加できるよう、広報等を含めた周知の工夫や適切な会場の確保に努めるとともに、国に対しては、分かりやすい説明を行うことを要請してまいります。
3(2) 住民の理解を得られないままで実施しないよう国に申し入れることについて
【区長】区はこれまでも、羽田空港の新飛行経路案については、区民等へのきめ細かな情報提供を行い、十分に納得を得たうえで検討を進めるよう、文書等により国に強く申し入れてま
いりました。今後も引き続き、区民等のご意見を踏まえながら、申し入れてまいります。
3(3) 新飛行経路案の撤回・見直しを国に要請することについて
【区長】 羽田空港の機能強化に関する計画については、国の責任において区民等に丁寧な説明を行い、十分な理解を得て、検討を進めるべきものと考えております。
計画の撤回や見直しを国に求めることは考えておりませんが、今後とも区民の安全と生活環境を守る立場から、区民へのきめ細かな情報提供を行うことなど、引き続き国へ要請してまいります。
3(4) 新飛行経路案に関する区民への周知について
【区長】 区は、新飛行経路案など羽田空港の機能強化に関する取組について、国が作成したリーフレットやニュースレター等を各地区総合支所や図書館等で配付しております。
また、落下物の危険性や対応策など、国から新たな検討状況が示された際には、広報みなとやホームページ等を通じて、迅速な周知に努めております。
今後も、国との情報共有を密に行い、羽田空港の機能強化に係わる情報を積極的に周知 してまいります。
4. 病院等における不在者投票制度について
公職選挙法は、投票所における投票を原則としていますが、その例外として、病院、老人ホーム、障害者支援施設等(以下、「病院等」と言う。)に入所中の選挙人が、不在者投票管理者の下で投票する制度を設けています。
ところが、不在者投票制度の手引きには、投票用紙への記載所などの決まりはありません。
病院に入院した方から、投票用紙に記載する際、病院の人が側にいて、見られているようで「書きづらかった」との訴えがありました。
投票の秘密は憲法で保障されています。投票の自由をまもるため、不在者投票管理者に対し、不在者投票の目的を十分説明し、理解してもらうこと。
施設に協力を要請し、会議室の一角を使ったり、カーテンで仕切ったり、記載台等を用意したり、投票の自由を守るための対策を行うこと。
それぞれ答弁を求めます。
(憲法15条「すべて選挙における投票の秘密は、これをおかしてはならない」。)
4(1)不在者投票管理者に対する周知について
【区長】 病院等の不在者投票指定施設では、病院長などが不在者投票管理者に、また当該施設職員が投票事務従事者となって、選挙の公正を確保しつつ、適正な選挙事務執行に取り 組んでおります。
投票の際、不在者投票管理者は、不正な投票を防止するため、投票事務従事者以外の選挙権のある職員を投票立会人として選任し、投票に立ち会わせています。
選挙管理委員会では、選挙が執行される場合には、万全の体制で不在者投票事務を執り行うことが必要であるとの観点から、全ての選挙において執行前に、説明会を開催して、指定施設と情報を共有し、公正な選挙執行に取り組んでおります。今後とも、不在者投票指定施設における投票が公正で公平な選挙事務執行となるよう、指定施設との連携を密にし、選挙制度への理解が進むよう周知徹底を図るとともに、必要な支援・指導を行ってまいります。
4(2)投票所の環境整備について
【区長】 病院等の不在者投票管理者は、投票記載場所について、他人が選挙人の投票記載を見ることができないように投票の秘密を保持するとともに、投票用紙の交換、その他不正が行われることを防止するための設備を整備することが求められています。
選挙管理委員会としては、選挙が執行される場合には、不在者投票管理者が施設内において入院患者や入所者の投票の秘密保持が可能となるよう、施設の現況を踏まえた最善の工夫や、投票記載場所として相応しい場の確保を要請してまいります。
よろしくご理解のほどお願い申し上げます。
5. 生活保護の改悪を許さないことについて
政府は、生活保護のうち食費や光熱費など生活費にあたる「生活扶助費」を最大5%削減する方針です。利用者の7割が減額されます。自公政権による2004年(平成16年)以降の度重なる改悪で、都市部(1級地の1)の70歳以上の単身世帯ではすでに2割以上減っており、今回引き下げられれば24・3%ものカットとなります。
憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めています。
今でさえ最低限度の生活を営めないのが実態です。生活保護の改悪をやめるよう国に強く要請すべきです。
答弁を求めます。
福島地裁が1月、大学進学を目指す高校生への奨学金を、生活保護費から差し引いた福島市の処分を違法とし、慰謝料の支払いを命じました。市は控訴を断念し判決は確定しました。
生活保護法は、保護を利用する要件として「利用し得る能力を、最低限の生活を維持するために活用する」よう規定しています。政府はこれに基づき、高校を卒業したら働いて収入を得ることを原則にしているため、保護世帯の子どもが大学などに入学すると、親と同居していても「世帯分離」し、保護の対象から外され保護費が減額され、生活が苦しくなるため、進学をあきらめるケースが多くなります。
生活保護の子どもが生活費を切りつめたり、学費を稼ぐためアルバイトに専念しすぎては本末転倒です。
生活保護世帯が「貧困の連鎖」から脱し、自立した生活ができるようにするため、大学等の進学を認めるよう、国に改善を求めるべきです。
答弁を求めます。
厚生労働省は、10月からの生活保護費の削減を実施すれば、これに伴い47の低所得者向けの医療・福祉、年金などの施策で影響が出ることを明らかにしました。厚労省が発表した47の施策には、学用品や給食費を補助する就学援助や障害者サービスの利用者負担上限月額、保育料などが含まれます。
厚労省は、生活保護基準額を減額しても「できる限り、(他の制度に)その影響が及ばないよう対応する」としています。
生活保護の改悪は許せませんが、国が強行した場合、他の施策に影響を与えない対策を行うべきです。
答弁を求めます。
5(1)生活扶助費の引き下げについて
【区長】 生活保護基準につきましては、国の社会保障審議会の生活保護基準部会において検討された結論を踏まえ、国がその責任に基づき、決定するものです。
今回の生活保護基準の見直しは、一般低所得世帯の消費生活水準等との均衡に留意 し検討されたものであり、生活扶助額を3年間かけて段階的に引き下げるなどの激変緩和措置が講じられております。
区として、国に対し、生活扶助費の引き下げをしないよう要請することは考えておりませんが、引き続き、被保護者等からの相談に丁寧に対応してまいります。
5(2) 生活保護世帯の子どもの大学等への進学について
【区長】 国は、生活保護世帯の大学等への進学支援のため、新生活の立ち上げ費用として一時金を給付する、「進学準備給付金制度」の創設などを盛り込んだ生活保護法等の改正法案を今月9日に閣議決定しております。
また、国は、生活保護世帯の子どもが同居しながら大学に進学する場合に、世帯の住宅扶助費の減額をしない措置を導入することも検討しております。
現時点で、生活保護世帯の大学等への進学について、国に働きかけることは考えておりませんが、引き続き、国の動向を注視するとともに、生活保護世帯の高校生が希望する進路に進めるよう、区といたしましても適切に支援を行ってまいります。
5(3) 生活保護基準の見直しに伴う他の施策への影響について
【区長】 生活保護基準の見直しに伴い、他制度に生じる影響について、国は、最小限に抑える方針と聞いております。
区は、引き続き、国の動向を注視するとともに、今後、国からの通知が届き次第、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限り、その影響が及ばないよう対応を検討してまいります。
6. 介護保険制度の改悪について
第7期介護保険事業計画が検討されています。この間も3年毎の見直しで介護サービスの削減や保険料の引き上げがおこなわれてきました。
今度の「改革」は、介護保険制度の持続可能性の確保の名目で、現役並み所得者の利用料の3割負担の導入(2018年8月)、介護納付金の総報酬割の導入、高額介護サービス費の負担上限額の引き上げ、介護報酬改定による生活援助の人員基準の緩和、報酬設定などの見なおしが盛り込まれています。
現役並み所得者の利用料の3割負担の導入は、単身者で年間収入340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の方が対象になります。
Aさんは、特養ホームに入所していましたが、具合が悪くなり入院、夜間の吸引が必要になり、夜間看護師がいない特養ホームでは対応できないと言われ、遠くの施設に移らざるを得ませんでした。
一人暮らしのBさんは、近所に買い物に出た際、階段で転んで骨折、そのまま緊急搬送され、入院。携帯の履歴を頼りに病院から知人に連絡が行き、入院治療がおこなわれています。
妻と二人暮らしのCさんは、体調を崩し入院治療が必要になりました。数ヶ月の入院を経て、転院するよう言われ、遠くの施設に転院しましたが、1ヶ月の費用が40万円を超え、区内の特養への入所を待ち望んでいます。
医療や介護は、突然にやってきます。そうなった場合、経済的にも、精神的にも肉体的にも本当に大変です。
高齢化や介護する方の高齢化が進む中、安心して介護が受けられる制度にすべきです。
1.国庫負担を大幅に引き上げるよう国に求めること
2.港区としても一般財源を投入し、保険料の引き下げ、利用料の軽減対象者の拡大をおこなうこと。
3.1月末の特養の申込者は402人です。高齢化が進む中、特養ホームの入所希望者は増え続けます。南麻布以降の特養ホームの建設計画を早急に作ること。
4.特養等介護施設にかかわる経費は、保険料の算定から除外するよう、国に要求すること。
それぞれ答弁を求めます。
6(1)国庫負担を引き上げるよう国に求めることについて
【区長】 区は、介護保険制度の持続的かつ安定的な運営のため、将来にわたって被保険者の保険料が過重とならないよう、昨年6月に全国市長会を通じて国庫負担を引き上げることを要望しております。
また、区は、同時期に都心区である港区の実情を踏まえた港区介護保険レポートを作成し、その中で国庫負担25%を確実に交付することも国に対して提言しております。
今後も、国に対し、様々な機会を捉え、要望、提言してまいります。
6(2)介護保険料の引き下げ及び利用料の軽減対象者の拡大について
【区長】 介護保険制度では、介護サービスを賄う財源を保険料と公費によって一定の割合で負担することが定められております。
介護保険料の引き下げのために、区の一般財源の割合を高めることは、介護保険の財源構成を崩し、給付と負担の関係を不明確にするため、適当でないと考えております。
また、区は、住民税非課税などの低所得者に対して、ホームヘルプサービス等利用者負担を10%から3%に軽減するなど、独自の軽減策を実施しております。引き続き、現行制度を維持し、軽減制度の内容を丁寧に周知してまいります。
6(3)特別養護老人ホームの建設計画について
【区長】 区は、これまで特別養護老人ホーム8施設、729床を計画的に整備し、現在、要介護4、5で施設介護が必要な方については、概ね1年以内に入所しております。
介護を必要とする方がより短い期間で入所できるよう、再来年3月開設予定の特別養護老人ホーム100床を、南麻布四丁目に整備しております。
南麻布四丁目施設開設後の計画につきましては、今後の高齢者人口及び要介護認定者数の推移や、特別養護老人ホーム入所申込者数などを踏まえ、必要性も含め検討してまいります。
6(4)特別養護老人ホーム等介護施設に関わる経費を保険料算定基準から外すよう国に要請することについて
【区長】 介護保険料は、介護サービス費を基に算定しており、介護サービス費は、特別養護老人ホームなどの施設サービス費と訪問介護などの居宅サービス費で構成されております。
介護保険施設の介護サービス費を介護保険料算定基準から除外することは、制度の基本的な枠組みにかかわることから、国に対して特別養護老人ホーム等の施設サービス費を外すよう要請することは考えておりません。
区は、引き続き、介護予防等重度化を防ぐ取組などを一層推進し、安定的かつ持続可能な介護保険制度の運営に努めてまいります。
7. 保育士の処遇改善について
待機児童対策は、待ったなしの課題です。保育園の建設は当然ですが、保育を担う保育士不足も深刻です。大変な仕事にもかかわらず、保育士の平均給与月額は、 全産業の平均給与月額より約11万円低いのが現状です。
保育士を確保するため、多くの自治体が独自の支援策に取り組んでいます。
話題を呼んだのが船橋市です。市内の私立保育園・認定こども園・小規模保育事業所に勤務する保育士に、給与の上乗せとして月額32,110円、期末手当71,460円、合計年額456,780円の手当が支給されます。その他にも家賃助成、就学資金の貸し付けなどを行っています。
23区でも千代田区では、私立認可保育園の保育士・栄養士・調理師・看護師に月額3万円の上乗せ助成、認証保育園の保育士に月額3万円の上乗せ助成。世田谷区では、保育士・看護師に月額1万円の上乗せ助成。大田区では、常勤の保育士に月額1万円(6カ月継続の場合、半年毎に6万円支給)、墨田区では、月額5,000円の上乗せ助成をしています。
港区も、保育士を確保し、保育の質の向上を図るため、私立保育園等の保育士への給与の助成を行うべきです。
答弁を求めます。
7(1)私立保育園等の保育士への給与の助成について
【区長】 保育士の賃金改善については、事業者にヒアリングを実施するなどして検討してまいりましたが、複数の自治体で保育施設を運営している事業者も多いことから、区内に勤務する
保育士に対し、区が独自に上乗せ助成を行ったとしても、異動等により効果が一時的なものとなるおそれがあると考えております。
区といたしましては、保育士の給与を独自に助成するということは考えておりませんが、保育士の賃金改善は広域的な課題であることから、国への要望について検討してまいります。
8. 保育従事職員宿舎借り上げ支援事業について
港区では、東京都の補助に上乗せし、港区内の宿舎は1戸当たり月額98,000円、港区外は1戸当たり月額71,750円の補助をしています。
これは事業者が宿舎用に借りたものが対象のため、新規に保育事業を始める事業者が利用しやすいものです。
保育士に直接支給すると収入になり税金等々に影響が出てしまいます。従来から運営している事業者も利用しやすい仕組み、例えば、賃貸借契約を変更することなく、事業者が直接大家さんに家賃を納める方法等を検討すべきです。
答弁を求めます
7(2)保育従事職員宿舎借り上げ支援事業の手続きについて
【区長】 区では、職住近接の実現や住居費負担の軽減により保育人材の確保・定着を図るため、私立認可保育所等の事業者が宿舎を直接借り上げている場合に支援を行っております。職員個人が契約している住宅について、個人に代わって、事業者が直接賃料を負担することについては課題があることから、区では、事業者名義の契約に変更し宿舎としている場合に補助の対象としております。引き続き、事業者に対し、事業の目的や趣旨を周知するとともに、必要な事務手続きについても丁寧に説明してまいります。
9. 18歳までの医療費の無料化について
国は、地方自治体が子どもの医療費の無料化を実施している自治体に対して、国民健康保険への国庫補助金を削減してきました。
わが党区議団は、国会議員団とも連携し不当なペナルティをやめるよう提案。意見書の提出。全国の自治体の運動の結果、乳幼児の医療費無料分のペナルティがなくなりました。引き続き、ペナルティをやめるよう運動をすすめます。
港区も23区区長会や全国市長会に働きかけ、国にペナルティの全廃を要請すべきです。併せて、子どもの医療費無料化を国の制度にするよう要請すること。
それぞれ答弁を求めます。
一方国は、ペナルティの廃止によって生まれた財源は「更なる医療助成の拡充ではなく他の少子化対策の拡充に充てることを求める」として、医療費助成以外で活用するよう指示してきました。
日本共産党国会議員団は、「(自治体が)医療費助成の拡充に使いたい場合、禁止すべきではない」、「地方自治への侵害だ」と批判。厚生労働大臣は、「国として自治体に強制するものではない」と、医療費拡充に使うことを事実上認めました。(12月…参院厚生労働委員会、2月…参院予算委員会)
児童福祉法は、18歳までを児童と規定しています。高校生の年代には、行政の支援・手だてが一番薄くなっています。受験のための塾などの費用、通学交通費等々、高校生を抱える家庭の出費は大変です。
千代田区では、2011年4月から18歳の医療費を無料にしました。北区では、18歳までの入院費が無料です。
北海道富良野市の22歳までの医療費無料をはじめ、全国で年齢の拡大が広がっています。
港区でも、18歳までの医療費を無料にすべきです。
答弁を求めます。
8(1)こどもの医療費に対する国庫負担減額調整措置について
【区長】 区は、昨年6月に全国市長会を通じ、国民健康保険における子どもの医療費助成への国庫負担減額調整措置について、子どもの対象年齢に関わらず減額措置を全面的に廃止するよう、国に要望し、平成30年度から未就学児までを対象とした減額措置が廃止となります。就学児等への医療費助成の調整措置の廃止につきましては、引き続き、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。
8(2)子どもの医療費無料化を国の制度にすることについて
【区長】 全国市長会及び特別区長会では、国に対し、0歳から義務教育修了までの児童を対象とした子ども医療費助成制度の創設を要望しております
区は、今後も他自治体とも連携しながら、国に対し、子ども医療費助成制度の創設を要望してまいります。
8(3)18歳までの医療費の無料化について
【区長】 子ども医療費助成は、子育て支援策の一環として、子どもの保健の向上と健やかな育成を図ることを目的とした制度であり、病気にかかりやすい0歳から義務教育修了までの児童を対象としております。義務教育修了後は、医療機関を受診する割合も低くなることから、助成対象を拡大するこ
とは現在のところ考えておりませんが、今後も様々な施策を通じて、総合的な子育て支援に努めてまいります。
10. アルバイト学生の権利を守るためのパンフ作成について
コンビニや飲食店で学生のアルバイトが増えています。無法な会社の「ブラックバイト」の餌食にされ、学業に支障が出る被害も少なくありません。政府が厳しく監督することが重要ですが、働く側も必要な知識を身につけて対処することが大事です。
アルバイトしているのは大学生で7割以上にのぼり、半数が週3日以上働いているといわれています。企業の重要な戦力として正社員並みの責任を持たされている例も珍しくありません。
何も知らずに「ブラックバイト」で働かされることがないよう、神奈川県では、県内の高校1年生全員に「知っておこう! 働くときのルール」というパンフレットを配布しています。(はじめてアルバイトをする時期、夏休み前に配ったとのことです。)
厚生労働省も、「学生アルバイトのトラブルQ&A(知っておきたい働く時のポイント)」のチラシを作成しています。
これらを参考に、港区でも無権利で働く学生がでないように、高校生・家族向けの「アルバイトパンフ」を作成して配布すべきです。
答弁を求めます。
9 アルバイト学生の権利を守るためのパンフレット作成について
【区長】 区は、労働問題に関する対処方法等を分かりやすく解説した啓発冊子「ポケット労働法」を作成し、新成人に配布するなど、特に若者への労働問題の啓発に努めております。アルバイトの労働問題に関する相談に対しては、「ポケット労働法」に加え、国や東京都が作成した高校生向けの啓発冊子等を配布するとともに、「東京都ろうどう110番」どの適切な相談先を紹介しております。
こうしたことから、更に区独自のパンフレットを作成することは考えておりませんが、今後も、アルバイト学生などが安心して働けるよう、国や東京都と連携しながら、労働に関する情報の適切な周知に努めてまいります。
11. アスベストマップの作製についてです。
「東京高裁庁舎空気中に石綿。エレベーター周辺」(1月18・19日新聞各紙)衝撃的なニュースです。庁舎に石綿が使われていることから、日常的に調査していたからわかったのです。私たちの周りにも同じような危険があることになります。
建物の耐火、断熱材として長年使われてきたアスベスト(石綿)。ところが、体内に取り込むと長い潜伏期間をへて中皮腫や肺がんといった病気になる「見えない公害」です。近年被害は建設現場から地域住民へと広がっています。
約1000万トンの輸入アスベストの約7割が建材に使用されてきました。どれぐらいのアスベストが含有の建物があり、除去対策を実施したのか。
国土交通省によると、除去対策を優先させたホテルや物販店などの大規模建築物では約4000棟の除去作業が残っています。小規模建築物については、業界が自主規制した1989年以前の約130万棟の5%ほどが含有すると推定しますが、「全国的な対策状況について網羅的な把握はできていない」というお粗末さです。
アスベスト含有建物の解体、震災時の建物倒壊等を考えた時、区民・職員の命と健康を守るため、区としてアスベストがどこで使われているか、使われている可能性があるか等々をできる限り調べ、アスベストマップを作成すべきです。
答弁を求めます。
【区長】 区は、建築基準法の規定に基づき、一定規模以上の建築物の所有者に対し、アスベストの使用状況を調査し、報告することを求めています。
一方、小規模な建築物については、アスベストの調査や除去の法的義務がなく、正確な情報の把握や建物を特定することなどは困難な状況です。国もこうした中、全国的に小規模建築物におけるアスベストの使用実態の把握が進んでいないことを課題としていることから、今後の国の動向を注視するとともに、区内でのアスベスト使用実態について情報収集に努めてまいります。
12. 子どものインフルエンザワクチン接種助成についてです。
このことは日本共産党区議団だけでなく多くの会派から質問がされてきました。
区長は、「子どもや若年者については、インフルエンザワクチンの有効性が確立していないことから、費用助成の対象外」との答弁を繰り返しています。
厚生労働省の「インフルエンザQ&A」を見ると、
「インフルエンザにかからないためにはどうすればいいですか?」との問いへの回答で、その第1が「流行前のワクチン接種」をあげ、さらに、「乳幼児におけるインフルエンザワクチンの有効性について」では「感染を完全に阻止する効果はありませんが、インフルエンザの発症を一定程度予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。乳幼児のインフルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少幅がありますが、概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。また、乳幼児の重症化予防に関する有効性を示唆する報告も散見されます。」としています。一定の効果があることは、厚労省も認めています。
千代田区は生後6カ月~18歳まで全額助成。渋谷区は、1歳~中学3年生まで全額助成。新宿区や台東区、世田谷区では一部助成。桧原村での全額助成をはじめ都下の市や、全国の自治体でも助成が広がっています。
今年は大流行しており、港区でも学級閉鎖が広がっています。
「港区予防接種事業の費用助成の考え方について」(平成26年6月3日:保健福祉常任委員会資料)によると、「その他特例」が示され、「感染力が強く、ワクチン接種の効果が明確で、接種によって集団感染予防に効果がある。」場合や「医療費等の費用低減効果がある。」場合となっています。インフルエンザ予防が当てはまると思います。
今すぐ乳児から18歳まで、インフルエンザワクチン接種費用を助成すべきです。
答弁を求めます。
【区長】 インフルエンザ予防接種の費用助成は、有効性が確立して法定接種の対象となっている高齢者に対して行っております。有効性の報告に幅がある乳幼児や、国の「今冬のインフルエンザ総合対策」でもワクチンの効果が示されていない若年者等については、費用助成の対象外としております。
予防対策としては、咳エチケットや適切な手洗いなどが有効であり、引き続き区民へ向けた普及啓発を行ってまいります。よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育に係わる問題については教育長から、選挙管理委員会に係わる問題については選挙管理委会委員長から答弁いたします。
13. 就学援助の入学準備金を国基準に引き上げることについてです
入学準備金の前倒し支給や増額については多くの自治体で前進しています。港区も、わが党の度重なる質問で「新入学学用品・通学用品費」いわゆる入学準備金の前倒しは中学生に続き小学生も今年の新1年生から実施します。
7月頃に支給されていた入学準備金が入学前に支給され、安心して入学の準備ができるようになりました。
入学準備金の支給金額を国は小学生20,300円から40,600円に、中学生23,700円から47,400円に引き上げました。(平成29年度要保護児童生徒援助費補助金について(通知)…文科省初等中等教育局長)
すでに23区でも来年度入学予定者にたいし、国基準まで引き上げる区が小・中学校とも11区あります。
これまで港区は、都区財政調整の金額を根拠としていると答弁してきましたが、他区の取り組みを見ると、その根拠はなりたちません。
1. 今年4月の新入学児童・生徒の入学準備金を国基準以上に増額すること。
2. 2017年度の新入学児童・生徒にも、国基準以上の入学準備金を支給すること。
答弁を求めます。
12 (1)平成30年度の新入学児童・生徒の支給額を国基準以上に引き上げることについて
【区長】 支給額につきましては、都区財政調整の算定単価を根拠にしていることから、これまで港区が主体的に他区と連携し、都区財政調整の算定単価の引上げに取り組んでまいりました。しかしながら、平成30年2月1日東京都知事と区長代表等による平成30年度都区財政調整の協議において、新入学学用品・通学用品費の算定単価は引上げには至りませんでした。一方で、港区子どもの未来応援施策の観点から、教育にかかる経済的支援を充実し、準要保護者の就学にかかる費用の負担を軽減することは、重要であると考えております。このことから、区として、今後、新入学学用品・通学用品費の支給額の考え方についてあらためて検討してまいります。
【質問】
12 (2) 平成29年度新入学児童・生徒の支給額を国基準以上に引き上げることについて
【区長】 平成29年度の入学者につきましては、平成29年度の都区財政調整の算定単価に基づき、既に新入学学用品・通学用品費を支給していることから、支給額を国基準以上に引き上げることは、考えておりません。
14. 学校給食の無償化についてです。
日本国憲法第26条は、義務教育は、これを無償とすると定めています。
日本の子どもの6人に1人が貧困家庭という現実ですから、何をさておいても子どもたちが安心して食べることができてこそ義務教育です。義務教育は無償と定めた憲法に従い、教育の一環である学校給食は国の責任で無償にするよう要求すべきです。
答弁を求めます。
今、多くの自治体で給食の無償化が進んでいます。しんぶん赤旗の調査によると、公立小・中学校の給食費の保護者負担を全額補助して無償にする市町村が、この1年で63市町村から83市町村に増えていることがわかりました。23区でも、品川区や葛飾区は第3子以降の給食費を無償にするなどの動きも出ています。
「子育てするなら港区」、「教育の港区」を自負している港区として、区の将来を担う子どもたち、「社会の宝」である子どもたちの健全育成のため、保護者負担の軽減のため、そして区長の目指す、「全ての子どもと家庭を見守り続けるまち」の実現のためにも、早急に学校給食の無償を実施すべきです。
答弁を求めます。
13 国の責任で無償にするよう要求することについて
【区長】 学校給食法第11条第2項では、学校給食の食材費の負担は保護者と定められております。このことから教育委員会では、学校給食法の改正をまず行い、あわせて、国の責任において学校給食費の無償化に向けて財政措置を行うよう、全国都市教育長協議会を通じて、国に要求してまいります。
【質問】
13(2)早急に港区として学校給食を無償にすることについて
【区長】 現在、教育委員会では、就学援助制度により、経済的理由により就学が困難と認められる児童・生徒の保護者については、給食費の全額を助成しております。学校給食の食材費は、学校給食法に基づき保護者の負担と定められていることから、教育委員会としては、学校給食を無償にすることは考えておりませんが、学校給食法の改正をまず行い、その上で、国の責任において学校給食費の無償化に向けて財政措置を行うことを、全国都市教育長協議会を通じて、国に要求してまいります。よろしくご理解のほどお願い
いたします。
15. 《再質問1》生活扶助費の引き下げについて
生活扶助費の引き下げをやめ、引き上げるよう区長として国に要請してもらいたい。
《区長答弁要旨》
生活保護については、国民生活のナショナルミニマムであり、国がその責任に基づき定め、運用していくものである。
区としては、状況をしっかり把握し、被保護者等からの相談に丁寧に対応していく。