2021年11月26日
日本共産党 風見 利男
1 職員のメンタルヘルス問題の対策について
病気休暇の多くが、メンタルの不調によるものです。2020年度のメンタルの不調により病気休暇を取得した職員の要因分析の結果は、業務量の負荷が最大です。そして若い方が多いのにビックリします。
定数管理で人員が減らされ続けていることに大きな原因があるのではないでしょうか。
- 定数管理にとらわれず、大幅に人員を増やすこと。
- 大規模災害が発生したときに、区民の安全安心を保障するのも職員の仕事です。その点からも人員増が必要です。
【区長答弁】
- 区は、毎年度、所属長へのヒアリングなどを行った上で、業務量に応じた人員を適正に配置しております。また、緊急的・臨時的な対応が必要な場合には、年度途中の人事異動や関係部門からの応援、専門知識等を有する人材派遣や会計年度任用職員により柔軟に対応してまいりました。今後も、多様な人材を活用しながら業務量に応じた必要な執行体制を確保し、職員にとって働きやすい職場を実現してまいります。
- 大規模な震災等の発生時においては、ライフラインやインフラの維持等の業務に優先的に着手することが重要であるため、区では、清掃作業や土木作業に従事する職員について、緊急時に必要な職員数を定めた上で、計画的に職員を採用しております。
また、港区業務継続計画に基づき、通常業務の一部を休止・抑制し、緊急時優先業務に人員を集中的に配置するとともに、地域防災協議会や災害時協力協定を締結している民間事業者などの関係機関とも連携を図ることで、区民の生命や財産等を守ることを最優先に対応してまいります。
2 羽田の都心低空飛行ルートの使用をやめ、海上ルートを利用することについて
オリンピックによる訪日外国人旅行者の増加、インバウンドのため、国際競争力強化のために増便が必要と、都心上空を低空で飛ぶルート(A滑走路、C滑走路)を、住民の反対を押し切って強行しました。
羽田の着陸枠は、年間24万3千便です。
1.2020年4月から2021年3月までの1年間、羽田空港への着陸は11万2990便ですから、港区上空を飛ぶ必要はありません。(都心上空を飛んだのは8727便に過ぎません)
そういう認識をお持ちですか。
国は、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」で、導入するまでに要する時間が短く、騒音軽減効果が大きい2つの飛行方式に絞りこみ、今後は安全性の評価など、導入の具体的な取組を実施していく」としています。
しかし、どう経路を動かしてみても都心上空…港区上空を低空で飛行することに変わりはありません。
騒音だけではありません。落下物、ジェット燃料による環境汚染、身体への影響、墜落の危険等々、だから区民は都心低空飛行はやめて、全面的に海上ルートの活用を求めているのです。
2.南風時の午後3時から7時までの都心上空低空飛行はやめ、海上ルートの利用を国に要求すべきです。
【区長答弁】
- 令和2年度は、コロナ禍に伴う航空機の減便により、羽田空港での着陸便数は減少いたしましたが、その間も、区民から騒音や落下物などに対する不安の声が多く寄せられております。
このようなことから、私は、運行状況にかかわらず、引き続き、国に対し、海上ルートの活用や地方空港の活用などによる飛行ルートの分散化などにより、固定化回避の検討を強く求めていくべきと考えております。 - 国は、本年8月に開催された「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」において、導入までに要する期間が短く、騒音軽減効果が大きい2つの飛行方式を示しました。
これらの飛行方式における具体的な飛行ルート案については、現時点では示されておりませんが、区は、引き続き国に対し、海上ルートの活用や、地方空港の活用による飛行ルートの分散化などの検討を加速するよう、強く要請してまいります。
3 災害バンダナの作成、支給について
外見から分かりにくい聴覚障害者らに災害時、必要な情報や支援を届けるための取り組みが各地で進んでいます。
岐阜県関市は、四隅に「耳が不自由です」「目が不自由です」「私は手話ができます」「避難に支援が必要です」と、4種類のメッセージを記したバンダナを作製、2018年11月から障害者らに配布しています。名古屋市瑞穂区では今年3月から避難所に用意し、自由に使えるようにしています。
町田市では、ホームページで「災害時等障害者支援バンダナを配布します」とのお知らせと併せて、「災害時に、このバンダナを身につけている方を見かけたら、積極的にお声掛けいただき、支援にご協力ください」と、支援を呼び掛けています。バンダナをつけていれば、声をかけやすくなります。
全国各地の先進的な取り組みを参考に、港区でもバンダナをつくり、配布すべきです。
【区長答弁】
区は、災害時においても障害者が円滑に意思疎通できるように、区民避難所に聴覚障害者用の筆談ボードを配備し、また、障害者が災害時に日常生活で支援が必要であることを周囲に認識してもらう方法としてヘルプカードやヘルプカードホルダーを配付しております。
今後、災害バンダナなど他自治体の取組事例や区内の障害者団体、手話通訳の支援者など当事者のご意見やニーズを伺いながら、災害時においても障害者の円滑な意思疎通を支援し、必要とする支援が認識されやすい効果的な方法を研究してまいります。
4 公衆電話をまちから消さないことについて
総務大臣の諮問機関の情報審議会は、7月7日、公衆電話の設置基準の緩和に関する答申をまとめました。現在は市街地で約500メートル四方、その他は1キロメートル四方に1台が設置基準ですが、それを1キロメートル四方、2キロメートル四方にするのです。これにより、NTT東日本、NTT西日本が運営する第一種公衆電話は、現在の10万9千台から2万7千台と4分の1に激減します。
携帯電話が普及していますが、いざ災害が発生したら、通話制限され、使いものになりませんし、電池切れで使えなくなることも考えられます。
港区は、東日本大震災を契機に、公衆電話回線を利用して屋外Wi-Fiを設置しています。
災害の時に役立つのは公衆電話です。
これ以上公衆電話を減らさないように、国に要請すること。
【区長答弁】
区は、災害時に区民等の安否確認や情報手段を確立するため、全ての区民避難所への特設災害時公衆電話の設置や、全ての避難所にWi-Fiルーター及び移動系防災行政無線の配備を行っております。
公衆電話の設置基準を緩和することについては、区として、国や通信事業者に対し、災害時などで不特定多数が集まる地域について設置台数を削減しないよう申し入れております。
引き続き、災害時の安全確保のため、情報手段の充実に取り組んでまいります。
5 区有施設のネット環境の充実について
区は2018年に「区有施設における公衆無線LANの整備方針」を策定し、ICT活用のためにも速やかに環境整備を行うことを決めました。
現在、区民センター・いきいきプラザ・区民斎場・図書館など97施設において公衆無線LANを設置していますが、一施設一か所のみ、フリースペースやロビー、エントランスホールへの設置で、各部屋までは届きません。
地下ホールでのオンライン配信は難しいと相談がありました。
港区は対応策としてモバイルルーターの貸し出しをしていますが、利用者には知らされていません。
- いつでもどこでもネットを使うのが当たり前の時代です。施設内のすべての部屋でWi-Fi環境を整えること。
- ミナトシティWi-Fiを利用するにはまず登録をしなければなりません。各施設でWi-Fi利用についてのレクチャーをすること。
- モバイルルーターの貸し出し数を増やし、受付に貼り出すなどして周知を徹底すること。
【区長答弁】
- 区では、デジタル化の取組を加速させる中、多数の利用者が行政手続や活動を行う各地区総合支所、区民センター、いきいきプラザなどの区有施設内のあらゆる場所で、誰もがインターネットを利用できるよう、Wi-Fiの通信環境を充実してまいります。
- 区が整備しているMinato City Wi-Fiを初めて利用する場合は、メールアドレスもしくはSNSのアカウントを登録する必要があります。
現行の利用登録のマニュアルは、利用者にとって、難しく感じられる場合もあることから、今後、より分かりやすいマニュアルを作成し、各施設の窓口で配布するとともに、施設の職員が丁寧に説明を行い、多くの利用者に登録していただけるよう取り組んでまいります。 - 現在、区民センターなど区有施設27か所において、貸室利用者がインターネット環境を必要とする場合に、モバイルルータの貸出しを行っております。今後、利用状況に対して不足する状況が生じる場合には、追加の配備など適切に対応してまいります。
利用者への周知については、改めて区ホームページに掲載するほか、各施設の受付や貸室などにポスターを掲示してまいります。
6 子どものインフルエンザワクチン接種費用の全額助成と、高校生まで拡大することについて
子どものインフルエンザワクチン接種費用助成については、わが党だけでなく、多くの会派から質問がされてきました。その結果、区は「一定の発症予防効果と子育て世帯の経済的負担の軽減のため、生後6か月から中学3年生までの子どもを対象に」1回3000円の助成を始めました。これ自体は歓迎すべきことです。
千代田区は高校生まで全額助成、渋谷区は中学3年生まで全額助成。新宿区は、13歳~64歳未満の生活保護世帯は全額助成しています。昭島市は1500円の自己負担はありますが、高校生まで助成。桧原村は高校生までと生活保護世帯は無料。奥多摩町は生後6か月から19歳未満(高校3年生相当)まで2000円助成しています。
- 家庭の経済状況でインフルエンザワクチン接種をしないことがないよう、千代田区などのように、対象を高校生まで拡大するとともに、全額助成すること。
- 生活保護世帯は、無料でワクチン接種ができるようにすること。
【区長答弁】
- まず、対象を高校生まで拡大するとともに全額助成とすることについてです。
国の厚生科学審議会は、高齢者及び乳児から小学校低学年までの小児を、新型コロナウイルス感染症の流行下におけるインフルエンザワクチンの優先的な接種対象者としています。区は、一定の発症予防効果と子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、優先接種対象を区独自に中学3年生まで拡大し、費用の一部を助成しております。
高校生までの拡大については、他自治体の状況や接種の効果を調査してまいります。 - インフルエンザワクチンの定期予防接種については、高齢者の肺炎による重症化予防を目的に、65歳以上又は60歳以上で指定の基礎疾患のある優先接種者に対し、区独自に無料で実施しております。さらに、小児への接種については、優先接種者である小学校低学年までの小児及び、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため中学生までを対象に費用の一部を助成しております。
対象につきましては、今後とも重症化予防の観点から助成の必要性を判断してまいります。
7 神宮外苑の市街地再開発について
この計画は、神宮外苑の景観、環境、文化、貴重な緑等を根底から破壊し、神宮外苑としての歴史的成り立ち、文化的価値もないがしろにする計画です。
ここは、文教地区、風致地区であり、超高層ビルは建てられない地域です。
この間、説明会や意見公募が行われましたが、賛成する人は誰ひとりとしていませんでした。
港区は、神宮外苑銀杏並木周辺を景観形成特別地区に指定し、景観を何よりも大切に守る地域としています。そして、『景観重要公共施設』として神宮外苑銀杏並木を位置づけ、「神宮外苑銀杏並木は、明治神宮外苑の造成に先立つ1972年(大正12年)に植樹が行われた由緒ある並木道です。聖徳記念絵画館をアイストップとして、銀杏並木が創り出す典型的なヴィスタ景は、首都・東京を代表する風格ある眺望の一つです。このような風格ある眺望を将来にわたって保全することができるよう、銀杏並木を適切に管理します」としています。イチョウ並木を中心とした神宮外苑の景観を破壊する計画を許してなりません。
外苑のイチョウ並木は、観光名所として、紅葉の時期には多くの人びとが訪れる、都心の貴重な憩いの場所です。ところが今回の計画では、高さ60メートルのホテル付の野球場が、イチョウ並木に迫って建設。190メートル、185メートル、70メートルの超高層ビルが建ち、景観が大きく損なわれることになります。今でも、少しでも風がある日は大変です。伊藤忠ビルの前と、墓地へ向かう通りはすごい風が吹きます。
計画では、約90メートルの伊藤忠ビルを190メートルに建て替え、近くに185メートルの複合ビルが計画されており、間を抜ける風が予想されます。今まで以上に広範囲に耐え難い風の影響がでます。
超高層ビルの建設によって、青山通りの景観が破壊される。
東京都が2018年11月に発表した「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」によれば、「青山通りにふさわしい気品と魅力ある複合市街地を形成する」、「現在の沿道建築物等との高さの調和に配慮する」としているが、190メートル、185メートルの超高層ビルは、青山通りにはありません。東京都の指針にも反しています。
神宮外苑は、都心での貴重なスポーツ施設が数多くあるスポーツのメッカです。スポーツ愛好者を追い出すもので許されません。(軟式野球場6面、室内練習場、バッティングセンター、ピッチングセー、テニスコート、フットサル場)
スケジュールありきではなく、近隣住民の合意と納得なしには進めないこと。
【区長答弁】
区は、これまで、神宮外苑の銀杏並木と景観の保全に加え、青山通りの風格ある街並みを形成する観点から、事業者に、絵画館前の特徴的な洋式広場の再生や青山通りに面した景観広場の設置など、緑豊かな風格ある都市景観に配慮することを求めてまいりました。
また、地域の皆さんのご理解を得るため、事業全体の計画について、丁寧な説明に努めるよう指導しております。
今後も、地域の景観との調和や周辺環境への配慮など、継続的に指導してまいります。
8 高輪築堤の全面保存と現地見学会の開催、第5・6街区の全面保存について
10月14日付で、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員長の藤沢敦氏から教育長あてに、「高輪築堤跡の一般公開拡充を求める要望書」が提出されました。
要望書は、高輪築堤跡については、日本の近代化を具体的に物語る存在であり、世界史的に見てもアジアの近代化の過程を示すうえで欠くことのできないまことに重要な遺跡です。これまで日本考古学協会では、埋蔵文化財保護対策委員会の要望書を皮切りに、2回の会長声明と、3回にわたる会長コメント、日本歴史学協会との共同要望を発出し、一貫して築堤の全面保存を求めてまいりました。しかしきわめて遺憾ながら、一部保存・一部移設・大半は記録保存して破壊という方針のもと、記録保存にともなう調査が進んでいます。
JR東日本は、歴史上まれにみる貴重な鉄道遺構の大半を記録保存という名で破壊しようとしています。
コロナ禍で、今までのような新自由主義に基づく企業の利益優先のやり方が見直されてきています。リニア新幹線も経路の住民や自治体からの反対で予定通り進む見通しが立っていません。
世界的に貴重な鉄道遺跡、高輪築堤は全面保存に向けて、一度立ち止まって開発を見直すことが求められています。
- 全面保存を要請すること。
- 見学を希望した人の多くが現地を見ていません。現地見学会の開催を要請すること。
- 開発がこれからの5街区、6街区については、全面完全保存するよう、要請すること。
【教育長答弁】
- 本年9月17日、国は、高輪築堤跡を、旧新橋停車場ていしゃじょう跡に追加し、名称を旧新橋停車場ていしゃじょう跡及び高輪築堤跡に変更し、国史跡に指定しました。
教育委員会は、指定範囲の遺構について万全の保護を図るとともに範囲外の遺構についても極力保護するよう求めております。
また、可能な限りの保存を求める要望書をJR東日本に繰り返し提出していることから、改めて全面保存を要請することは予定しておりませんが、今後も遺構の保存に向け働きかけを行ってまいります。 - 教育委員会は、JR東日本と連携して、本年1月から9月にかけて見学会を開催し、1,103名が、また5月の小・中学生向けの見学会では3日間で764名が参加いたしました。
教育委員会が引き続きJR東日本に現地見学会の開催について要請をした結果、新型コロナウイルス感染症対策や現場の安全管理に留意しながら、来年2月に開催する方向で調整を進めております。
一人でも多くの方が見学できるよう工夫してまいります。 - 5・6街区につきましては、これから事業者による開発計画が立案される予定と聞いております。
教育委員会は、既に、高輪築堤跡の現地保存を考慮した開発計画を策定するようJR東日本に要望しております。
改めて要請することは予定しておりませんが、区民の貴重な財産である高輪築堤跡を後世に継承していくため、事業者、関係機関と連携して取り組んでまいります。
《再質問1》
インフルエンザワクチン接種対象の高校生まで拡大と接種費用の全額助成について
《質問要旨》
児童福祉法で児童・子どもは、ゼロ歳から18歳。経済的に大変なのは高校生を抱える家庭なので、実施自治体の調査をするまでもなく、千代田区は既に実施している。インフルエンザワクチン接種の助成対象を高校生まで拡大し、全額助成すべき。
《区長答弁要旨》
区で独自に助成している対象については、重症化を防ぐ効果などを検討し、
対象を定める。
《再質問2》
神宮外苑の市街地再開発について
《質問要旨》
地域住民が反対しているのに、なぜ都市計画決定を急ぐのか。また、事業者に忖度する理由があるのか。
《区長答弁要旨》
区は、事業者に対して、周辺住民の理解が得られるよう、説明会に限らず個別の問合せなど、機会を捉えて丁寧な説明を行うように、今後も指導し、要請していく。
《再質問3》
羽田の都心低空飛行ルートの使用をやめ、海上ルートを利用することについて
《質問要旨》
コロナ禍に伴い航空機は減便されたが、コロナ後も減便されたままなのだから、従来の羽田空港の海上ルートで着陸枠は十分に足りている。今後、区民の意見も寄せられるので、区として国に更に強く要請すべき。
《区長答弁要旨》
航空機は減便しているが、区民の皆さんからは、その頻度に関わらず、騒音や落下物などに対する不安の声や改善を求める声が寄せられている。引き続き、区としても区民の声を捉え、国に対して要望する。