2022年第1回定例会代表質問

2022年2月17日
日本共産党 風見 利男

1 新型コロナウイルス対策についてです。

新型コロナウイルスの「オミクロン株」の感染が急拡大するなか、国内では5日、新たなに10万2333人が確認され、過去2番目の多さとなりました。厚労省によると、重傷者は前日より57人多い、1099人。死者は116人と急増しています。東京都は、重症化リスクが低い濃厚接触者について「感染した本人から濃厚接触者とみられる人に連絡する」といった対応になりました。感染拡大に体制が追い付かないからと、素人判断で「濃厚接触者」とすることで混乱を招きかねない。本当は「濃厚接触者」なのに連絡が漏れて、家庭内感染にとどまらず市中感染拡大につながる危険を考えると、保健所での疫学調査は必要不可欠ではありませんか。
答弁を求めます。

さらに、16歳以上~39歳以下の陽性者について、「療養終了日及び療養時の相談先等を連絡し、積極的疫学調査を省略の上、自宅療養者として取り扱う」とのことです。また、宿泊療養施設に入れるのは、65歳未満で、高齢者の行き場はありません。

オミクロン株の感染拡大の特徴として、北海道では1月の重傷者がゼロだったのに死者が27人に上っているなど、重傷者に比べて死者が多いことを注視しなければなりません。2月2日の全国のデーターでは、重傷者886人に対し死者は88人に達しており、第5波のピークと比較すると重症者数は3分の1なのに同水準の死者が出ていることを重視しなければなりません。
陽性になった場合には、年齢を問わず、宿泊施設、病院への入院を基本にし、自宅療養が可能である場合のみとすべきです。
答弁を求めます。

オミクロン株の感染拡大は、予想を上回るスピードで、保健所の体制が追い付かない状況です。
マンパワーの活用、庁内各部署からの支援体制を抜本的に強化すること。
答弁を求めます。

いつでも、どこでも、誰でもが、何度でもPCR検査を受けられる体制についてです。
東京都は、PCR検査を無料で受けられる施設を開設しました。港区内には24カ所(2月14日現在)ありますが、場所が偏っています。
港区として、西麻布地域、青山地域に設置すること。
答弁を求めます。

【区長答弁】
区では、新型コロナウイルス感染症患者が急増していることを踏まえて、国及び東京都の事務連絡に基づき、本年1月から重症化リスクの高い患者の積極的疫学調査を優先的に実施しております。また、電話による積極的疫学調査に加え、全ての陽性者にSMSを用いた調査を行い、自身の濃厚接触者への対応など必要な情報を届けております。
引き続き、感染状況を踏まえ、迅速な調査を行ってまいります。

次に、陽性者の療養方法についてのお尋ねです。
区では、現在、50歳以上の方や基礎疾患等により重症化リスクのある方を優先的に対応し、必要に応じて迅速な入院につなげております。また、65歳未満の軽症又は無症状者で、宿泊療養を希望する方は、保健所の連絡を待たずに、東京都の宿泊療養施設に直接申込みできる体制が構築されており、宿泊療養しやすい状況となっております。
引き続き、速やかな入院や宿泊療養の調整を行うとともに、自宅療養となった場合も東京都の自宅療養者フォローアップセンターや医療機関、保健所の健康観察につなげるなど、区民が安心して療養できるよう、取り組んでまいります。

次に、みなと保健所の体制強化についてのお尋ねです。
区は、これまで新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、本務職員を増員するほか、各部門からの応援職員、保健師・看護師等の人材派遣等を活用してまいりました。
今般のオミクロン株の感染拡大を受けて、みなと保健所での問合せ対応や、勤務時間終了後に本庁舎から保健所に出張してHER-SYSの入力業務等を行う職員を1日10名程度迅速に配置し、令和4年2月時点では、ワクチン接種対応を含め全体で約250名に体制を強化しております。
今後も、全庁協力体制の下、必要な体制を柔軟に確保し、感染拡大やワクチン接種に迅速かつ的確に対応してまいります。

次に、区独自のPCR等検査場所の設置についてのお尋ねです。
国が定める新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、感染に不安を感じる無症状者などを対象としたPCR等検査は、都道府県が実施し、国が検査費用を無料とできるよう支援を行うこととしています。
東京都では、昨年12月から無料のPCR等検査を開始し、区内の実施場所は当初2か所でしたが、現在は24か所まで増え、今後も拡大していく予定です。
こうしたことから、区が独自に無料のPCR等の検査場所を設置することは考えておりませんが、区民がより身近な場所で検査を受けられるよう検査場所の地域偏在の解消について、東京都へ働きかけてまいります。

学校での感染が広がっています。もともと子どもにウイルスを感染させるのはおとなですが、子どもが感染して学校・教育施設等での感染が拡大すると、それらの施設でウイルスが増幅し、インフルエンザのように社会の中心的な感染源となる可能性があります。専門家は、学校の感染拡大を防止するには、感
染が出てからでなく、学校で定期的な検査をこども、教職員を含むスタッフ(給食調理・警備員を含め)、親などに強めることが重要と指摘しています。マスク、CO2センサー設置、換気、手洗い、手指の消毒等基本対策の徹底も重要です。
全教職員、児童・生徒への定期的な検査の実施、児童・生徒用の消毒設備の設置、学校規模に見合うCO2センサーの設置、温水設備の設置を進めること。
答弁を求めます。

【教育長答弁】
児童・生徒等への定期的な検査については予定しておりませんが、教職員については、希望者に対し、東京都が実施する抗原検査を来週以降、申込みが完了した学校から順次実施してまいります。
また、各学校には、既に消毒剤、非接触型体温計、CO2センサー等を配布し、活用しておりますが、各学校の状況に応じて設置数の追加等を行ってまいります。温水設備については、改修工事の際、学校とその必要性について検討してまいります。

2 核兵器禁止条約の署名・批准、締結国会議へのオブザーバー参加を国に求めることについて

核兵器禁止条約が発効してから1月22日で1周年になりました。核兵器禁止条約の批准国は59カ国になり、核兵器禁止条約の締結国会議が今年半ばに開催されます。
岸田首相は広島出身をアピールしながら、被爆者の願いである核兵器廃絶に向けた禁止条約に背を向けたままです。
NATO(北大西洋条約機構)加盟のドイツとノルウェーがオブザーバー参加を表明する中、唯一の戦争被爆国である日本政府は参加を拒否しています。
締結国会議への参加は核兵器の非人道性を国際社会に訴えるチャンスです。核兵器禁止条約に参加して世界の国々や市民とともに、核兵器保有国に核廃絶を迫ることこそ、唯一の戦争被爆国の政府として被爆地出身の首相としての責務ではないでしょうか。
核廃絶を求める声は全世界に広がっています。アメリカでは昨年(2021年8月)開催された1400を超える首長が参加する全米市長会議で米国政府に対し、核兵器禁止条約を歓迎するよう求める決議が採択されました。平和都市宣言をしている区長として、

①核兵器禁止条約への署名・批准を政府に求めること。
②締結国会議にオブザーバー参加するよう、国に求めること。
答弁を求めます。

【区長答弁】
①政府に署名・批准を求めることについてです。港区の首長として加盟する平和首長会議の国内加盟都市会議は、これまでも日本政府に対し、核兵器禁止条約に署名・批准し、締約国となるよう継続して要請しております。

②国に締約国会議へのオブザーバー参加を求めることについてのお尋ねです。令和4年3月に核兵器禁止条約第1回締約国会議の開催が予定されていたことから、平和首長会議の国内加盟都市会議は、日本政府に対し、締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器廃絶のためにリーダーシップを発揮することについての要請文を昨年11月に提出いたしました。
引き続き、区は、平和首長会議に加盟する都市と連携し、核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現を訴えてまいります。

3 羽田空港都心上空低空飛行はやめ、海上ルートの利用を求めることについてです。
羽田新飛行経路、都心上空の低空飛行の目的は、国際競争力強化、オリンピックの開催、インバウンドのためということです。
日本政府観光局(JNTO)が発表した2021年の訪日外国人旅行者数(推計値)は24万5900人です。コロナ以前の2019年(3188万2049人)と比べると、99.2%減。2020年(411万5828人)比でも94.0%減です。
わざわざ都心上空を飛ぶ必要はありません。従来通り、海上ルートを活用するよう、国に要請すること。
答弁を求めます。

【区長答弁】
令和3年11月から区民意見募集を実施いたしまして、この募集によりましても、騒音や新飛行ルートについて、多くのご意見をいただいております。
区は、引き続き、国に対し、海上ルートの活用や地方空港の活用による飛行ルートの分散化などにより、固定化回避の検討を加速するよう、強く求めてまいります。

4 都立広尾病院の独立行政法人化に反対することについて

東京都は7月にも8都立病院と6公社病院の独立行政法人化する都立病院廃止条例案を2月議会に提出しました。
都立病院はコロナ対応にも迅速に対応し、都内のコロナ対応病床の3割を担い、コロナ医療の先頭に立ってきました。
コロナ禍の今、なぜ廃止なのか、関係者や多くの住民の声です。
都立広尾病院は多くの港区民が利用する病院です。区民の命を守る立場の区長として、都立病院の独立行政法人化はやめるよう、東京都に申し入れること。
答弁を求めます。

【区長答弁】
都立病院、とりわけ港区に隣接する広尾病院は、区民にとっても質の高い医療サービスを提供し、災害医療の拠点としての役割を担うとともに、新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れていただいております。
独立行政法人化をやめるよう東京都に申し入れる予定はありませんが、感染症対策等における必要な医療体制については、区民へのサービスが低下することがないよう、昨年10月の特別区保健衛生主管部長会において、東京都に要請いたしました。
今後も、引き続き機会を捉えて要請してまいります。

5  行政文書から性別記入欄を原則廃止することについて

LGBTなど性的マイノリティの人々に対する社会の理解はまだ十分にすすんでいません。多くの当事者が日常生活において様々な生きづらさを感じています。
自分の性別に違和感を持つ人の中には、各種申請書等に性別記載欄があった場合、どう記載したらいいのかを悩んだり、男女のみから選択することへの抵抗感があったりして、精神的苦痛を感じる方もいます。
どこでも、国や東京都が法令で定める場合を除き原則廃止とし、性別記入欄を廃止するか任意の記入にするかの検討を行い、順次廃止をしています。
港区でも、必要のない性別記入欄は廃止してきました。さらに廃止を拡大すること。

愛媛県では、「性の多様性に関する手引き」を作成し、行政サービスを提供する公務員として知っておくべき基礎的な知識や日常の業務における心構え、留意事項を掲載して職員に徹底しています。港区でも「手引き」作成を検討すること。
それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
次に、行政文書の性別記入欄の廃止についてのお尋ねです。
まず、区における廃止の拡大についてです。
区は、平成16年に申請書等の性別記載欄の見直しを行い、国民健康保険や介護保険関係の申請書等、法令による定めがある場合や、事務処理上、性別の把握が必要な場合を除き、順次、性別欄の削除を進めてまいりました。
現在、性別等の記載を要する申請書等は
32件あり、そのうち法令で規定されている12件を除く20件については、引き続き、性別欄削除の取組を進めてまいります。

次に、区における手引の作成についてのお尋ねです。
区は、令和2年3月に、港区職員のための人権ハンドブック「みんな笑顔で!」を改訂し、性的マイノリティの人々に対する窓口や職場での対応事例を具体的に記載し、全職員に配付いたしました。
引き続き、人権ハンドブックを活用するとともに、職員や指定管理者を対象にSOGIE研修を実施し、職員等の意識向上に努めてまいります。

6 18歳までの医療費無料化についてです。

わが党区議団は機会ある毎に、18歳までの医療費無料化を求めてきました。区は、「高校生は、医療機関を受診する割合が低い」ので「助成は考えていない」との答弁です。
各年齢別に医療費がいくらかかっているのか、医療費総額を年齢別被保険者(5歳区分)全体で割ると「15歳から18歳」は、一人当たりの医療費は高くはありません。区が言うように、高校生全体では医療機関にかかる割合は低くなっています。しかし、医療費を医療機関にかかった人数(レセプト数)で割ると、(5歳区分)15歳~19歳が1万8990円と高く、高校生世代の医療費負担は大変なのです。
東京都は2023年度から、子どもの医療費助成の対象を18歳までに拡大する方針を明らかにしました。
東京都の実施を待つのでなく、この4月から18歳までの医療費無料化に踏みだすこと。
答弁を求めます。

【区長答弁】
東京都は、令和4年度予算案において、高校生相当年齢への医療費助成の準備経費を予算計上しましたが、制度の詳細については示されておりません。今後の進め方を含め、東京都と意見交換して、情報収集してまいります。

7 子どもへの10万円給付金についてです。

国は18歳以下の子どもへの10万円相当の給付が、昨年9月以降に離婚したひとり親に届いていない問題で、2月28日時点で子どもを養育している親に給付する方針を発表しました。制度の不備は給付の閣議決定(2021年11月)直後から指摘されており、世論に押されてようやく動いた形です。NPO法人「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」などをはじめ、日本共産党はじめ各党からも是正を求める声が上がっていました。
市区町村の窓口での申請になります。対象者には申請漏れがないように支援すること。

児童手当受給者が対象のため、年収960万円(扶養家族の人数に応じて)は超えるが、受給世帯より収入が少なくても支給されない世帯がでるという矛盾が起きています。港区では給付対象外は56%になるとの調査結果が発表されています。
子育てはどの世帯でも大変です。今回、対象外になった世帯への臨時給付金を支給すること。
それぞれ、答弁を求めます。

【区長答弁】
まず、離婚などで給付金を受け取れなかった方への支援についてです。
令和3年9月以降の離婚等によって、現在、児童を養育しているものの給付金
を受け取っていない方を対象に、国から子育て世帯への臨時特別給付を支援給付金として支給することが示されました。
区は、既に把握している該当者に対して支給の手続を進めております。また、電話などで問合せがあった方にも、申請書を郵送し、速やかに対応しております。

次に、国の制度の対象外となる世帯への臨時特別給付金の支給についてのお尋ねです。
区は、国の令和3年度子育て世帯等臨時特別事業に基づき、令和3年9月分の児童手当受給者等に対して、令和3年度港区子育て世帯への臨時特別給付金の支給に取り組んでおります。
対象外になった世帯への給付は予定しておりませんが、国の基準に準じて速やかな支給に努めてまいります。

8 国民健康保険料の値上げを許さないことについてです。

東京都は9日、都内の国民健康保険料が2022年度、一般会計からの独自繰り入れを行わない場合、21年度に比べ1人当たり96691円(6.16%)もの大幅値上げになる算定結果を都国保運営協議会に示しました。22年度の加入者総数を3.1%減の267万4千人、医療給費総額を21年度から0.1%減(1人当たり3.1%増)の7865億円と算定。
加入者1人当たりの保険料を、自治体独自の一般会繰り入れを行わない場合は16万7042円(21年度比6.16%増)としました。18年4月の国保都道府県化以降で最大の値上げ幅です。
年金や医療、介護など社会保障改悪と消費税増税のもとで、貧困と格差が拡大し区民の暮らしは大変になっています。その上、新型コロナウイルスの感染拡大は区民の暮らし営業を窮地に追い込んでいます。このような中で保険料の引き上げは、深刻な事態を招くことになります。
国保加入者の7割は所得の低い非正規労働者や年金生活者、コロナの影響を大きく受けている個人事業主の方たちです。こうした人にさらなる負担を強いるなど許されません。
特別区長会も昨年末、国と東京都に対して財政措置を求める緊急要望を行っています。特別区長会も指摘しているように、今回の値上げの要因の医療費増は、感染拡大に伴う検査・診療数の増加や診療報酬上の臨時的な取り扱いなど、新型コロナウイルス感染症によるものです。非常事態の特殊な影響を被保険者に負担させるべきではありません。

①被保険者には何の責任もない非常事態に伴う医療費増については、国や東京都に財政支援を求めること。
②区民にとって一番身近な自治体として、区独自の財政負担も含め、あらゆる努力をして保険料の値上げをやめ、軽減に踏み出すべきです。
それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
①特別区長会は、昨年12月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による医療費の増を、被保険者に保険料として転嫁することを防ぎ、国民健康保険制度の安定的かつ持続可能な運営を行うため、必要な財政措置を特例的に講じるよう、厚生労働省と東京都に対して緊急要望いたしました。

②区は、同じ所得・世帯構成であれば同一の保険料となる特別区の共通基準に基づき、保険料を算定しております。
現在、特別区において来年度の保険料率の算定作業を進めておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が継続している状況を鑑み、保険料の上昇を抑えることも考慮した検討を行っております。

9 放課後児童支援員の処遇改善特例事業についてです。

学童保育指導員の処遇改善のため国から補助金が支給される「放課後児童支援員等処遇改善臨時特例事業」が2月から実施されています。
これは、放課後児童健全育成事業を行う事業所、学童クラブや放課GO→クラブに勤務する職員(指導員)の処遇改善、収入の3%程度(月額9000円)の引き上げのため、国が全額支援する(2月~9月まで)事業です。2月中に事業者からの申請が必要です。もれなく申請し、賃金引き上げが行われるように指導すること。
また、10月以降は、国、東京都、港区が3分の1づつ負担する仕組みです。10月以降も国の責任で処遇改善を継続するよう要請すること。国が実施しない場合は、継続のための必要な予算を確保すること。
それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
まず、事業者への周知についてです。
区は、国からの通知に基づき、区内31か所の学童クラブ運営事業者に対して、本事業の概要や手続方法などを周知いたしました。
既に、全ての事業者から交付申請に必要な書類の提出を受け、速やかに国への交付申請を行っております。

次に、国に事業の継続を要請することについてのお尋ねです。
国は、放課後児童支援員等処遇改善臨時特例事業について、今月から9月まで国の全額補助による措置としています。
区は、国に対して、10月以降も国による10分の10の全額補助を継続するよう要請することは考えておりませんが、引き続き、国の動向を注視してまいります。

今回の処遇改善は、民間だけでなく港区で働く会計年度任用職員も対象となります。
区直営の保育園や学童クラブでは、多くの会計年度任用職員が働いています。(保育園…311名、児童館…196名)
総務省の通知に基づいて、保育園や学童クラブで働く会計年度任用職員の報酬を改正すること。
併せて、他の職場で働く会計年度任用職員の報酬も引き上げること。
それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
次に、事業継続のための予算措置についてのお尋ねです。
国は、10月以降の予算措置については、子ども・子育て支援交付金を活用し、国、東京都、区がそれぞれ3分の1を負担することで、同様の措置を講じ、事業として継続し、制度として保障しています。
区は、国の動向を注視し、適切に対応してまいります。
次に、保育園や学童クラブの会計年度任用職員の処遇改善についてのお尋ねです。
総務省通知では、公的部門における保育士等の会計年度任用職員の処遇改善として、民間の給与水準等が考慮された給料表の設定や再度任用時の経験加算に係る上限設定などの見直しを検討するよう、求めております。
保育士などの会計年度任用職員の報酬については、民間の賃金水準を反映した常勤職員と同じ給料表を適用し、職責や勤務時間に応じた報酬額を決定しており、平均的な賃金水準を下回るものではないと考えております。
今後、保育士等の会計年度任用職員の再度任用時の経験加算など処遇の見直しについて、検討してまいります。

次に、保育園や学童クラブ以外の会計年度任用職員の報酬を引き上げることについてのお尋ねです。
保育園や学童クラブ以外の会計年度任用職員の報酬については、常勤職員の
給与や民間・他団体の同種の職の報酬を踏まえ、決定しており、民間の賃金水準を反映したものとなっております。
今後も、常勤職員の給与や、国・他団体の会計年度任用職員の報酬との均衡を図り、職務・職責に見合った報酬水準を確保してまいります。

10 ヤングケアラーについてです。

家庭で、両親や祖父母、きょうだいの世話や介護などをしている子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれ、厚生労働省、文部科学省は、実態調査を行いました。「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、中学生が5.7%でおよそ17人に1人、全日制の高校生が4.1%でおよそ24人に1人でした。
内容は、食事の世話や準備などの家事が多く、他にも、きょうだいを保育園に送迎したり、祖父母の介護や見守りしたりと多岐にわたっています。
世話にかけている時間は、平日1日の平均で、中学生が4時間、高校生は3時間でした。
ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム(プロジェクトチームという)報告書は、「子どもらしい暮らしができずに辛い思いをしているヤングケアラーにとって青春は一度きりであり、スピード感を持って取り組む。」としています。先進的に取り組んでいる埼玉県では、「ケアラー支援条例」を制定し、条例に基づき「ケアラー支援計画」を策定し、ヤングケアラーへの支援をすすめています。また、小学生向け、中学生向け、高校生向けのパンフレットを作成し、配布しています。
先進的に取り組んでいる自治体を参考に、条例制定をめざし、ヤングケアラーの啓発パンフの作成、実態調査を行うべきです。
答弁を求めます。

【区長答弁】
区は、ヤングケアラーについて、区ホームページや広報みなとで、広く周知するとともに、昨年8月に、小・中学生向けに作成したリーフレットを学校や
児童館等で配布し、家族や兄弟の世話を任されている子どもが自分の状況に気づき、気軽に相談できる体制を整えております。
また、日頃から、港区要保護児童対策地域協議会の関係機関と情報を共有し、生育環境に課題のある家庭を直接訪問して、実態を把握し、適切な支援につなげております。
今後も、ヤングケアラーを早期に発見し、子どもが孤立しないよう、地域全体で支援する取組を推進してまいります。

11 区施設に給水スポットの設置・自販機からペットボトルなくすことについて

区内の家庭から出るペットボトルを500ミリリットルのボトルな換算すると、年間8331万本にもなります。持続可能な社会のためプラスチックを少しでも減らすことを考えたら、ペットボトル飲料の購入を控え、マイボトルの活用は取り組みやすい方法です。
杉並区では、事業者と協定を結び、給水スタンドを区役所に4台設置しました。区では今後2年かけて区立施設に順次設置する計画です。(水道と直結する浄水器の販売を手がける「ウォータースタンド」(さいたま市)と協定を結び)

港区でも白金台いきいきプラザだけでなく、設置可能な区施設に、給水スタンドを設置すること。

日本科学未来館では、管内のすべての自販機を刷新し、ペットボトル飲料の販売をなくすために新しい自販機に置き換えました。スチール缶やアルミ缶、ガラス瓶など、再資源化率の高い飲料に換えました。
区施設内の自販機は、プラスチック容器飲料のない、自販機にすること。
それぞれ答弁を求めます。

【区長答弁】
まず、給水スポットへの給水スタンドの設置についてです。
白金台いきいきプラザでは、給水スポットにボトルディスペンサー型の給水機を設置しておりますが、マイボトルを持ち合わせていない方は、利用できないことから、通常の冷水機と併設しております。
一方で通常の冷水機は、マイボトルへの給水も可能です。
このようなことから、区有施設へのボトルディスペンサー型の給水機の設置については、今後も研究してまいります。

最後に、プラスチック容器飲料のない自動販売機の設置についてのお尋ねです。
区は、「港区役所『使い捨てプラスチック』削減方針」に基づき、区有施設の自動販売機のペットボトル飲料を、缶飲料などへ順次切り替えてまいりました。
一方で、障害のある方には持ちやすさの点で、ペットボトル飲料が欠かせないというご意見もいただいております。
今後は、こうした点にも配慮し、自動販売機のペットボトル飲料の取扱いを、一定程度残しつつ、缶飲料への切替えを進めてまいります。

12 高輪築堤の完全保存と公開についてです。

今年は、新橋~横浜間に鉄道が走って150年という記念すべき年です。「陸蒸気」の開通は、日本の近代化への第一歩でした。
鉄道を走らせるために、わざわざイギリスから技術者などを招いてのことです。
当時、西郷隆盛らは「軍備増強を最優先すべき」と、鉄道建設
は猛反対。さらに、藩邸や兵部省(ひょうぶしょう)の海軍操練所などがあり、土地の買収ができないことなどから、鉄道建設をすすめたい大隈重信は、海の中に土手を築いて鉄道を走らせる指示をしたといわれています。
海の中に土手を築き、その上を鉄道が走るのは、世界の鉄道史に残る極めて
貴重なものです。
今、開発のために一部保存し、残りは記録保存の方向で進んでいます。貴重な鉄道遺跡、一度壊したら二度と再現は望めません。
現在はJR東日本の所有ですが、元は日本国有鉄道、国民共有の財産です。

①一度立ち止まり、完全保存、公開の方策を検討すべきです。
②5街区、6街区にも築堤が埋まっている可能性があります。ここはまだ開発計画はありません。
試掘で築堤跡が発見されたら、完全保存にむけた方策を検討すべきです。
それぞれ答弁を求めます。

【教育長答弁】
①現在、1~4街区の高輪築堤跡は、高輪大木戸付近の一部を残して現場での記録保存調査がほぼ終了し、国史跡「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」に指定された部分は保存を図るため一旦埋め戻し、その他は解体、撤去、移築等が進んでいます。教育委員会は、現地保存される遺構について万全の保護が図られるよう取り組んでまいります。
公開については、これまで一般向け見学会に延べ11日間で約1,900人が参加し、さらに2月20日には、感染症対策を講じた上で、全国から約300人が参加する見学会を予定しております。

②5・6街区については、昨年5月に、教育委員会から高輪築堤跡の現地保存を考慮した開発計画を策定するようJR東日本に要望書を発出しております。
引き続き、区民の貴重な財産である高輪築堤跡を後世に継承していくため、事業者、文化庁、東京都教育委員会等の関係機関と連携して取り組んでまいります。

以下、再質問

《再質問1》
高校生等への医療費助成について

《質問要旨》
厚生労働省の調査によると、1,741区市町村全てが子どもの医療費助成を実施している。
そのうち、18歳の年度末まで実施しているのは通院で659区市町村、入院で715区市町村となっている。
「子育てするなら港区」を掲げるのであれば、全国をけん引する施策を実施するべき。4月から港区独自で実施を決断すべき。

《区長答弁要旨》
東京都が予算計上した内容と今後の進め方については、区市町村と意見交換の上、詳細な説明がされる。
現在のところ、独自で助成対象を拡大する予定はないが、今後も様々な施策を通じて、高校生世代を含めた総合的な子育て支援に努めていく。

《再質問2》
羽田都心上空低空飛行はやめ、海上ルートを利用するよう、国に要請することについて

《質問要旨》
区長は、所信表明で固定化回避に向けた検討を一層加速すると述べた。羽田都心上空低空飛行をやめなければ、区民の不安を取り除くことはできない。
先日、成田空港の滑走路で部品の落下があった。住民が日々生活する上空であったら大惨事となっていた。
都心上空を低空飛行すれば、部品落下事故が起きる可能性がある。区民の安全を守るために、南風の時も海上ルートを利用するよう、国に強く申し入れるべき。

《区長答弁要旨》
先般、成田空港で部品の欠落があった。区では、かねてから落下物への懸念や騒音問題について、国に対して区民からの声を届け、求めてきた。今般の件についても、重ねて国に対して求めていく。

《再質問3》
令和3年度子育て世帯への臨時特別給付金について

《質問要旨》
給付に当たっての所得制限の仕組みに矛盾がある。対象外となった世帯に対して区が助成をすべき。

《区長答弁要旨》
区は、国が10分の10の負担をするという制度に基づき、対象となる方に対して事業を進めている。
対象外となった世帯への給付は予定していないが、対象となる方への迅速な支給に努めていく。

《再質問4》
都立広尾病院の独立行政法人化をやめるよう東京都に申し入れることについて

《質問要旨》
区として申し入れは行わないとのことだが、独立行政法人化されると、差額ベッド代や入院補償金を払わなければ入院できない事態が発生する。
また、病院で働く職員が公務員でなくなり、労働者にとっても患者にとっても、問題であるから独立行政法人化をやめるよう東京都に申し入れるべき。

《区長答弁要旨》
都立病院の経営形態移管については、東京都に申し入れる予定はないが、必要な医療体制の整備や現在、都立病院が果たしている役割を今後も果たしてもらえるよう、今後も東京都に要請していく。

《再質問5》
陽性者の療養方法について

《質問要旨》
新型コロナウイルス感染症に感染した場合、宿泊療養所での療養は64歳未満しか対象とならない。症状や家庭の事情に応じて誰でも療養できる仕組みにすべき。

《区長答弁要旨》
65歳以上を療養できる宿泊施設の開設については、東京都に伝えていく。
現在、50歳以上の方や基礎疾患等により重症化リスクのある方は優先的に必要な入院につなげている。高齢の方は、特に速やかに入院できるよう対応しており、現在、当日又は翌日には確実に入院できる状況となっている。
引き続き、区民の皆さんの療養が安心してできるよう取り組んでいく。