【大滝】 この問題は議会ごとに質問しています。区民からの不安や撤回、見直しを求める声が広がっており、請願も三度区議会に提出されています。
5月24日に熊本空港を離陸した日本航空の旅客機がエンジンの不具合のため同空港に引き返した事故では、エンジンが損傷し多くの部品が落下しました。病院の窓ガラス損傷や、フロントガラスにひび等の車両損傷など11件の被害が発生しています。回収された金属片は136個です。港区上空で発生したらどれほどの被害になるか、想像するだけでも恐ろしくなります。その後も8月16日には、成田空港に着陸したアメリカン航空機から縦横1メートル、重さ約2キロのパネルが飛行中に無くなっており落下した可能性があります。
6月4日の参議院決算委員会で、日本共産党の吉良よし子議員が、全国の主要7空港で昨年11月から今年5月の外国航空会社も含む全航空会社が報告した部品欠落件数を質問したところ、国交省は219件と答弁しています。1日に3件も発生していることになります。これには氷の落下は含まれません。
国交省は3月に「落下物対策総合パッケージ」として、落下物防止対策基準の策定、未然防止策の徹底、補償等の充実などを示しましたが、落下物をゼロにすることはできないことを認めています。
万が一の墜落の不安もあります。国内では33年前の日航ジャンボ機墜落事故以来ありませんが、世界では昨年1月から8月の間だけでも着陸に失敗や離陸直後の墜落など7件の墜落事故が発生し乗客322人が亡くなっています。都心の人口密集地域での事故となれば想像を絶する大惨事となります。
7月15日に、「みなとの空を守る会」が主催した、青山地域での「羽田低空飛行計画撤回パレード」は、警備の警察官から水分補給を呼びかけられるほどの猛暑の中でしたが、地元の住民を始め多くの参加者が撤回をアピールしました。
第2回定例会には、14の町会長・商店会長から計画見直しを求める請願が提出されました。私たちは強く採択を主張しました。ところが他の会派(自民・公明・政策会議・都ファ)は「多くの区民が本計画に意見・疑念・不安を抱いており反対の声が募っている」「請願者の訴えは大変理解できる」などと主張しながらも、事実上棚上げとなる継続審査にしてしまいました。傍聴者からも怒りの声と、どよめきがおきました。私たちは、区民のみなさんと力を合わせ計画撤回まで奮闘します
区民の不安は解消されてなく、「中止すべき」が多数です。計画案を区民に知らせると同時に、区民の不安解消に向けた対応を国交省に要請していくことが求められています。議会ごとに質問していますが特に今回は
①第2回定例会で教室型説明会を区内全地域で開催すること。参加者の質問に正面から答えること。関係町会への説明会の開催を求めましたが、答弁の中で「地域からの要望等を踏まえ」として要望のある地域に限定しかねないものでした。区として全地域、関係町会での説明会計画をたて国交省に要請すること。
②4月の区議会としての学習会の中で、国交省は現時点で住民の理解が得られていないことを認めていますし、中止すべきは多数の声です。繰り返し区民等の合意を得ないまま計画案を強行しないよう申し入れること。
③広報みなとでの新飛行経路案についての広報は、国交省からのおしらせに限らず、計画内容、区民等への影響など独自の調査も行い、わかりやすく繰り返し広報すること。
④計画実施予定まで2年を切っており重要な時期です。区長として撤回の意志を明らかにすべきです。
答弁を求めます
【区長】
(1) 区内全域での教室型説明会の開催を国に要請することについて
羽田空港の新飛行経路案につきましては、区が国に対し、教室型説明会の開催を強く求めてきた結果、これまで高輪、赤坂・青山、港南、麻布地区の4カ所において区民等を対象とした教室型説明会が実現いたしました。
今後も、ご要望いただいた地域に限定することなく、既に実施した地域で再度開催することや、未実施の芝地区で開催することなどについて、国へ強く要請してまいります。
(2) 区民等の合意を得ないまま計画案を強行しないよう国に申し入れることについて
区はこれまでも、羽田空港の新飛行経路案については、区民等へのきめ細かな情報提供を行い、十分に納得を得たうえで検討を進めるよう、国に強く申し入れてまいりました。
今後も引き続き、区民等のご意見を十分踏まえながら、申し入れをしてまいります。
(3) 広報みなとによる新飛行経路案等の周知について
区は、これまでも、新飛行経路案など羽田空港の機能強化に関する取組や計画内容について、随時、広報みなとやホームページ等を通じ、迅速に周知してまいりました。
また、安全対策や騒音対策の他、様々な調査等の実施を国に対し要請してまいりました。
区民等への影響調査などについては、国の航空政策として進めていくものであり、国の責任において、国が主体的に行うことであると考えております。
区は、今後も国との情報共有を密に行い、羽田空港の機能強化に係わる情報等をわかりやすく、丁寧に周知してまいります。
(4) 新飛行経路案の撤回の意思を明らかにすることについて
新飛行経路案については、国の責任において区民等に丁寧な説明を行い、十分な理解を得て、検討を進めるべきものと考えております。
区は、新飛行経路案の撤回を国に求めることは考えておりませんが、今後とも区民の安全と生活環境を守る立場から、区民へのきめ細かな情報提供を行うことなど、引き続き国へ要請してまいります。