【1】新型コロナウイルス感染症から区民の命を守る対策について
8月23日の新型コロナによる死者数が340人を超えて過去最多を更新。世界保健機構(WHO)の集計で日本の新規感染者数が世界最多となり、死者数も世界第2位となっています。政府の無為無策の結果です。
デルタ株が主流だった第5波と比べると第7波の感染者数は10倍、死者は4倍にもなっています。テレビ等でも報道されていますが、「第7波」大爆発で医療体制が崩壊状態となり、高齢者など基礎疾患のあるコロナ患者が入院できないまま自宅(救急車の中で)で亡くなる方が増えています。また、10歳未満の児童の死亡も増えています。
1 入院が必要な方がすべて受け入れられるよう、国・都の責任で医療、機関への財政・人員体制への支援を強化するよう要請すること。
【答弁】
まず、入院が必要な方が全て受け入れられるよう、国・東京都の責任で医療機関への財政・人員体制への支援を強化するよう要請することについてです。
区では、現在、発生届を受理した当日又は翌日には入院の必要な患者の多くを区内の医療機関に入院させることができております。また、入院適用ではない高齢者等については、みなと保健所を通じて東京都高齢者等医療支援型施設への入所調整を行い、安心して療養できるよう取り組んでおります。
引き続き、入院が必要な方への速やかな療養先の調整を行うとともに、国や東京都の医療機関への財政、人員体制の支援に関する情報については、港区医師会と連携し、区内の医療機関等へ積極的に周知してまいります。
2 独立行政法人東京都立病院機構の病院は独立行政法人化前の都立・公社病院と同様の迅速・積極的な対応を行うよう都に要請すること。
【答弁】
東京都立病院機構の病院は、区民に対する質の高い医療サービスの提供や災害医療の拠点としての役割を担うとともに、新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れていただいております。
感染症対策等における必要な医療体制については、地方独立行政法人化後も同様の対応をしていただいていると受け止めておりますが、区民へのサービスが低下することがないよう、引き続き機会を捉えて要請してまいります。
3 無料PCR検査の実施場所を増やし、区内のどこでもいつでも予約なしに身近な場所で受けられるようにするとともに、コロナの収束まで継続するよう、都に要請すること。
【答弁】
区は、区民がより身近な場所で無料のPCR等検査を受けられるよう、事業の実施主体である東京都に対し、検査場所の地域偏在の解消について働きかけを行い、本日現在、区内には79か所設置されています。また、区有地や区有施設を貸し出すなどの協力も行ってまいりました。
今後も、感染に不安を感じる区民が安心して検査を受けられるよう、事業の継続などについて東京都へ働きかけてまいります。
4 自宅療養者に対しては、病状の悪化を招かないような対応をとること。特に一人暮らし高齢者については、保健所への相談の段階で、懇切丁寧に説明し、支援策が受けられないことがないようにすること。
【答弁】
区では、高齢者や基礎疾患等により重症化リスクのある方の積極的疫学調査を優先的に実施し、必要な療養につなげております。
特にリスクの高い高齢者で、医療機関による健康観察を受けていない方については、迅速に電話による状況確認を行っております。
また、一人暮らしで自宅療養を希望する高齢者には、配食サービスやパルスオキシメーターの手配を案内するとともに、東京都自宅療養者フォローアップセンターや医療機関等の健康観察につなげ、急変時も迅速に対応できるようにしております。今後も区民が安心して療養できるよう取り組んでまいります。
5 希望する人が4回目のワクチン接種を受けられるよう国に要請すること。
【答弁】
今月中にも接種が開始される予定のオミクロン株対応のワクチンは、これまで従来株のワクチンで4回目接種の対象ではなかった人でも接種できる見込みです。
区では、今後、オミクロン株対応ワクチンの接種を早期に開始できるよう体制を整えるとともに、丁寧な周知に努めてまいります。
6 国に対し、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを2類相当から変更しないよう要請すること。
【答弁】
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを現在の2類相当から変更することに関しては、国の責任において、国内外から収集した科学的知見に基づき判断すべきものと考えております。
区は、国に対し、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを2類相当から変更しないように要請することは考えておりませんが、引き続き、国の動向を注視し、情報収集を行うとともに、区民に対して迅速な情報発信や対策を講じてまいります。
7 みなと保健所の体制を強化するよう国、都への要請と、港区独自でも体制強化を図ること。
【答弁】
区では、現在、兼務職員も含め、みなと保健所の感染症対策部門で、約180名の体制を構築し、発生届の受理や積極的疫学調査の業務などを滞りなく行っております。
また、区独自に開発した疫学調査フォームや陽性者管理システムを活用し、業務の効率化を図り、第7波においても重症化リスクの高い患者へ迅速な対応ができております。
今後も、引き続き、国、東京都の保健所支援に関する動向を注視し、区民が安心して療養ができるよう、即応性のある体制の整備を一層推進してまいります。
【2】神宮外苑の自然・環境・景観・樹木を守ることについて
都環境影響評価審議会は8月18日、事業者が提出した神宮外苑地区の開発事業の環境影響評価案について、小池百合子知事に認める答申をしました。樹齢100年超を含む1000本近い樹木を伐採する同事業をめぐっては、都民から計画の見直しを求める声が広がり、評価書案についても前回審議会(5月)で外苑のシンボルであるイチョウ並木の保全への強い懸念が示され、異例の継続となっていました。答申ではそうした経緯を反映し、事業者への環境保全の徹底や積極的な情報公開を求めました。一方、専門家からは前回審議会で出た懸念に答える新しいデーターは提示されず、確実な保全が担保されていないなどと、厳しい指摘が出ています。
開発地内の樹木1381本のうち971本の伐採計画は都民の大きな批判を招き、ユネスコの諮問機関の国内委員会からは、伐採を2本に見直す案が提示されました。新建築家技術者集団東京都支部からは野球場も秩父宮ラクビー場も現在地の建て替えが環境への負荷をかけずにすむことも明らかにしています。
事業者は伐採樹木を971本から556本に削減するといいます。しかし、伐採削減数415本の内訳をみると、工事期間中に枯れる可能性があるとして伐採を保留する311本、反対が強かったラクビー場前のイチョウ並木を困難とされる移植から「検討」に変更19本を含み8割を占めています。
イチョウ並木ギリギリに野球場が計画されていることで、イチョウの根に大きな影響が出て、イチョウ並木への大きな影響が危惧されています。
中央大学研究開発機構の石川幹子教授は「新宿御苑下にトンネルを通した結果、トンネルに近い樹木ほど大きな影響を受けたことを調査し、この結果をイチョウ並木の保全に生かすべきだと述べています。
地球温暖化による異常気象が大問題になっている今、貴重な樹木を伐採する、超高層ビルを建設することを抜本的に見直す時です。
事業者の計画を強引に進めるのではなく、100年かけて作り上げた神宮外苑の自然・環境・景観・樹木を守るために、国民・都民の英知を結集して検討すべきです。
事業者、東京都に対し、計画をストップするよう要請すること。
【答弁】
区はこれまで、港区の優れた景観である、銀杏並木を保全し、緑豊かな風格ある都市景観に配慮することを事業者に求めてまいりました。
神宮外苑の再開発計画では、銀杏並木を確実に保全するため、新たに建設する建物を銀杏並木から離すなどの工夫に加え、新たに整備する中央広場と絵画館前広場をつなぐエリアにおいて、移植樹木を中心とした季節感のある緑を整備するとしています。
今後も、銀杏並木の保全について、更なる工夫を検討するよう事業者を指導してまいります。
【3】救急通報システムの12時間対応について
1 救急通報システムは、急病などで緊急に助けを求めたいとき、センサーにより一定時間人の動きが感じられないときなどに通報が行き、専門の警備員が出動し、安否確認や救助活動を行います。現在1075世帯が利用しています。
一人暮らし高齢者や高齢者世帯の命を守るうえで、重要な施策です。
ドアの開閉を感知するライフリズムセンサーは12時間と24時間を選択できることになっていますが、港区に何の相談もなく、警備会社が勝手に24時間設定にしていたことが、党区議団の調査で分かりました。
この12時間というのは命にかかわる重大問題です。
警備会社に厳重に抗議するとともに、12時間選択ができるようにすること。
【答弁】
救急通報システムのライフリズムセンサーの設定時間が、区に事前協議なく、新規設置時に12時間の設定が出来なくなっていたことに対し、警備会社に厳重注意いたしました。
現在は、必要な方が12時間の設定を選択できるようにしております。
なお、ライフリズムセンサーは正しく外出設定が行われず、誤報が多く発生していることから、利用者に対し、長時間の外出時は外出ボタンを押す必要があることなど、利用方法を丁寧に説明してまいります。
2 区は、緊急通報システムだけでなく、高齢者の施策を事業者任せにせず、高齢者の自宅を訪問し、機械や身体の調子を確認すべき。
【答弁】
本事業だけでなく、区民が利用している制度の利用状況や実態などを区で把握し、改善に努めることは必要と考えている。今後も、区民が利用しやすいサービス提供となるよう努めていく。
【4】男性トイレへのサニタリーボックスの増設について
前立腺がんの手術、膀胱がんの手術などで尿漏れパットや、オムツを利用する人が、外出の際に男性用の個室トイレに汚物入れがあると良いとの声が広がり、全国各地でサニタリーボックスを設置する自治体が増えています。
共産党区議団は今年の予算の総括質問で、男性のトイレにサニタリーボックスの設置を提案しました。6月28日に、来庁者が多い区役所本庁舎の1階、2階、11階のトイレに設置されました。
2 3区では、設置予定を含めると20区(設置は13区)になります。江戸川区は、53施設、285カ所の男性用トイレに設置、さらに拡大するとしています。足立区は8月から43カ所に設置しました。
当面、本庁舎の各階、総合支所や図書館、いきいきプラザなど、設置可能なトイレには、早急に設置を進めること。
【答弁】
本年6月28日、来庁者の利用の多い、本庁舎の1階、2階、11階の男性用トイレにサニタリーボックスを設置し、設置後の2か月間で、計5回の利用がありました。
ほかの区有施設への設置につきましても、引き続き、検討してまいります。
【5】75歳以上の医療費窓口負担2倍化をやめることについて
1 自公政権は、2016年度~21年度の6年間で社会保障費の「自然増」を計8300億円も抑制してきました。
コロナ禍で高齢者の受診控えによる健康悪化が懸念される中、政府は22年10月から75歳以上の医療費窓口負担2倍化を強行しようとしています。対象は約370万人です。
高齢になるほど収入は低下し、一方で医療にかかる機会は増え、治療も長期におよぶため、高齢者の医療費窓口負担は原則1割の今でも現役世代に比べて重くなっています。
窓口負担はさらなる受診抑制をまねき、高齢者の健康を守る上で大きな影響を及ぼします。
高齢者の命と健康を守るために、75歳以上の医療費窓口負担2倍化をやめるよう、国に要請すること。
【答弁】
次に、後期高齢者医療の窓口負担の見直しを行わないよう国に要請することについてのお尋ねです。
国は、団塊の世代が75歳以上となることを受け、後期高齢者の医療費の増加に伴う現役世代の負担上昇を抑えるため、本年10月から一定以上の所得がある被保険者の窓口負担を1割から2割に見直します。
対象となる被保険者に対しては、見直しから3年間は、1か月の負担増を最大でも3千円とする配慮措置も講じられており、区は、窓口負担の見直しを行わないよう国に要請することは考えておりませんが、引き続き、適切な制度運営に努めてまいります。
2 国は、激減緩和で毎月3千円以内に抑える配慮措置を講じているが、年金は減り、コロナ禍による今までにない出費や異常に物価が高騰している中で、介護保険料を払う必要がある。
高齢になれば、病院にかかる回数も増える。現役世代の負担軽減のためと言うが、高齢者と現役世代を敵対させるような方法は許されない。
高齢者の命に関わることのため、国に中止を求めるべき。
【答弁】
コロナ禍で一定の収入減があった方には、保険料の減免制度の適用もある。これらも含めて引き続き、適切な制度運用に努めていく。
【6】新型コロナウイルスに関連する持続化給付金等を区民向け住宅の家賃算定から除外することについて
この間、日本共産党山添拓参院議員の質問主意書に対し、4月22日に政府が「公営住宅の家賃算定にあたり、コロナ関連の給付金等の額を除外することは、各自治体の判断で可能」との答弁書が提出されました。
兵庫県では、日本共産党県議団の質問を受け、検討を約束。その結果、県営住宅の家賃算定にあっては、「入居者から持続化給付金等(持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成等)が一時的な収入であることが確認できる場合は、「家賃算定における収入から除外することは可能」との通知を、県営住宅各指定管理者にだしました。
兵庫県は、答弁書を受け、入居者の立場にたって検討した結果です。
自治体のあるべき姿勢です。
港区も、質問主意書の答弁、兵庫県を参考に、住宅家賃収入から給付金等を除くこと。
参考:「公営住宅法施行令第1条第3号の収入の特例」(昭和36年住発第56号)…「36年通知」
【答弁】
最後に、新型コロナウイルス感染症に関連する持続化給付金等を区民向け住宅の家賃算定から除外することについてのお尋ねです。
区民向け住宅の使用料の算定における収入は、各住宅の条例により、所得税法の例に準じて算出した所得金額と定めており、これに従い、子育て世帯への臨時特別給付金など、一時所得として非課税となるものについては、収入算定から除外しております。一方、持続化給付金等の収入を補填する性質のもので課税対象となる所得については、一時所得ではなく、収入算定に含めることとしております。
【7】小学校における体育用紅白帽の熱中症対対策について
小学校の体育で使われる「赤白帽(紅白帽)」について、赤色は表面温度が上がり、熱中症の危険が高まるとの研究結果を昨年まとめた武蔵野美術大学の研究者が、屋外で子どもに赤白帽をかぶってもらい、帽子内部の温度を調べる実験を行ったことが、新聞報道されました。報道によると、実験には5歳と10歳の男児2人が参加。7月3日、10日に武蔵野美大で実施。両日とも実験時間は体育の授業を想定した45分で行った結果、白帽子よりも赤帽子の方が40.7度と4度も高い結果が出ています。
この調査結果は熱中症を防ぐ上で重要です。
暑い日の屋外での体育については、赤帽子の利用は見合わせること。
【答弁】
区立小学校では、体育学習時の熱中症予防や、頭部を保護する目的で、児童に対して体育用紅白帽を着用することを推奨しております。
また、夏季の屋外での体育授業に参加する際は、熱中症予防の観点から原則、紅白帽を白帽子にして着用するよう指導しております。
今後、指導を徹底するため、改めて生活指導主任会及び保健主任会で周知してまいります。
【8】ジェンダーレス水着について
学校の水泳授業向けに、男女同じデザインの「ジェンダーレス水着」を水泳・介護用品メーカーが開発しました。生まれた時の性別と自認する性が異なるトランスジェスターの人への配慮のほか、「体形や肌を見せたくない」といった悩みにも応えるスクール水着として話題を集めています。
思春期になると、露出の多い水着は歓迎されません。また、体形や肌が見えてしまうのは恥ずかしい、という思いがあるといいます。メーカーの担当者は「アトピーや傷痕、体毛などさまざまな悩みで水着を着ることに抵抗がある人の役に立てるはず。水泳の授業に楽しく前向きに参加できるよう、選択肢の一つに取り入れてもらえたら」と話しています。
「男女同じデザインの水着(ジェンダーレス水着)」の活用について、学校現場、とりわけ実際に利用することになる、児童・生徒の意見を聞き、検討すること。
併せて、ラッシュガードの利用については、柔軟に対応すること。
【答弁】
現在、各学校では、児童・生徒や保護者の希望に応じて、ジェンダーレス水着を含めた水泳学習にふさわしい水着を着用することを認めております。
また、児童・生徒の日焼け防止等の観点から、水泳学習に影響があるフード付きなどを除きラッシュガードの着用についても個別に対応しております。
引き続き、トランスジェンダーへの配慮や、体形や肌を見せたくないといった児童・生徒の悩みに寄り添い柔軟に対応するよう、学校を指導してまいります。
【9】高輪築堤の5・6街区の完全保存・公開について
1.1872年10月14日、日本で初めて新橋、横浜間に鉄道が走りました。それから150年を前に、高輪築堤が発見されました。
多くの国民や団体は、日本だけでなく、世界的にも貴重な鉄道遺構として、完全保存と公開を求めました。しかし、JR東日本は多くの声に耳を傾けることなく、一部の現地保存だけでほとんどを記録保存として解体をしてしまいました。
あれほど貴重な鉄道遺構を、再び見る機会がなくなったことは残念でなりません。国民の共有財産が一部企業のもうけのために消えてしまうことがあってはなりません。
5・6街区での鉄道遺跡がどうなっているのか、大きな関心事です。この間発見された高輪築堤を見たときに、5街区、6街区にもある可能性が大です。開発優先でなく、50年先、100年先を見据えたまちづくりを考えるべきです。先人が築いた貴重な鉄道遺構が発見されたら完全保存、公開するようJR東日本、国などに要請すること。
【答弁】
5・6街区について、教育委員会は昨年5月に、高輪築堤跡の現地保存を考慮した開発計画を策定するよう、JR東日本に要望書を発出しております。
また、文化庁とは、高輪築堤跡の保存・公開について、これまでも協力して取り組んでいることから、国への要請は考えておりませんが、引き続き、区民の貴重な財産である高輪築堤跡を後世に継承していくため、文化庁、東京都教育委員会等の関係機関と連携して取り組んでまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
2.本年3月、港区教育委員会は「概説高輪築堤」を刊行した。ここには、高輪築堤跡は港区ばかりでなく、日本の歴史を語る文化遺産として長く保存していくことが必要と記載されており、完全保存を求める意見を聞かず、記録保存に留めて実質解体したJR東日本への学芸員の無念さが感じられる。
1月17日開催の第13回高輪築堤調査・保存検討委員会において、区が行った5・6街区の事前発掘調査では、貴重な物が見つかっている。
事業者と国に対し、保存するよう強く要請すべき。
【答弁】
5・6街区の開発については、これから立案されると聞いている。引き続き、区民の貴重な財産である高輪築堤後を後世に継承していくため、事業者であるJR東日本、文化庁、東京都教育委員会等の関係機関と連携して取り組んでいく。